話し方の戦略

「結果を出せる人」が身につけている一生ものの思考と技術
未読
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出版社
プレジデント社

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出版日
2024年04月26日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

「重要なプレゼンを任せたい」「結婚式のスピーチ、お願いできませんか?」……いずれもあなたへの信頼を物語る、光栄な依頼だ。さて、あなたは「喜んで」と即答できるだろうか。もし一瞬でも「断れないかな」という考えが脳裏をかすめるなら、本書を手に取ってほしい。

本書の著者、千葉佳織氏は、話し方トレーニングサービスを提供する株式会社カエカの代表だ。新卒入社したDeNAでは、スピーチライティング・トレーニング業務を立ち上げ、代表取締役のスピーチ執筆や登壇者の育成に携わった。これまで5000名以上の経営者や政治家、ビジネスパーソンにトレーニングを提供し、「すごいベンチャー100」と「2024年注目の日本発スタートアップ100選」に選出されている。

本書は、そんな千葉氏が、プレゼンやスピーチの場で使える「一生ものの思考と技術」を惜しみなく教えてくれる一冊だ。ノウハウは「言葉」と「音声・動作」の2軸に分かれており、「言葉」は「言語化」「構成」「ストーリー」「ファクト」「レトリック」、「音声・動作」は「発声」「沈黙」「身体表現」で構成され、それぞれ1章ずつを使って丁寧に語られる。

本書の魅力の一つは、ノウハウと事例のバランスのよさだろう。フワちゃん、バラク・オバマ元大統領、豊田章男さん、指原莉乃さん、江頭2:50さんなど、バラエティ豊かな著名人たちのスピーチを引用しながら、それぞれのスピーチが人を惹きつける理由が解説されている。これ一冊あれば、プレゼンやスピーチが怖くなくなるはずだ。

著者

千葉佳織(ちば かおり)
株式会社カエカ代表/スピーチライター
1994年生まれ、北海道札幌市出身。
15歳から日本語のスピーチ競技である「弁論」を始め、2011年から2014年までに内閣総理大臣賞椎尾弁匡記念杯全国高等学校弁論大会など3度の優勝経験を持つ。
慶應義塾大学卒業後、新卒でDeNAに入社。人事部にてスピーチライティング・トレーニング業務を立ち上げ、代表取締役のスピーチ執筆や登壇者の育成に携わる。
2019年、株式会社カエカを設立。AIによる話し方の課題分析とトレーナーによる指導を組み合わせた話し方トレーニングサービス「kaeka」の運営を行う。経営者や政治家、ビジネスパーソンを対象としてこれまで5,000名以上にトレーニングを提供している。2023年、週刊東洋経済「すごいベンチャー100」、Forbes「2024年注目の日本発スタートアップ100選」選出。
本書が初の著書。

本書の要点

  • 要点
    1
    人になにかを「話して伝える」ためには、話し始める前の段階で「話す目的」を明確にし、「対象者」を分析するとともに、「話す」という行為の特徴を正しく認識しなければならない。そのうえで、「言葉」と「音声・動作」の2軸でアプローチする必要がある。
  • 要点
    2
    相手の記憶に残る話をするには、「コアメッセージ」の設定が不可欠だ。
  • 要点
    3
    ストーリーの力は偉大だ。聞き手の共感を得たいなら、指原莉乃さんの総選挙スピーチのように、弱みを「決意」「成果」とセットで語るとよい。

要約

「話し方の戦略」とは

話し方を構成する2つの軸

人になにかを「話して伝える」ためには、話し始める前の段階で「話す目的」を明確にし、「対象者」を分析するとともに、「話す」という行為の特徴を正しく認識しなければならない。これが本書の「3つの原則」だ。この原則に基づき、本書では具体的な話し方を「言葉」(発する言葉の選び方)と「音声・動作」(非言語情報)の2軸に分けて解説している。

重要なのは、「言葉」と「音声・動作」の両面からアプローチすることである。両方がそろってこそ、本当の意味で話し方は良くなるのだ。

「伝わる」ための3つの原則
Cecilie_Arcurs/gettyimages

ここでは、3つの原則をもう少し詳しく紹介する。

原則のひとつめは、「話す目的を明確にする」だ。多くの人は、まったく目的意識を持たないまま、なんとなく話しているものだ。だが、目的が明確になっているか否かで、話の質に大きな差が生まれる。

原則のふたつめは、「対象者を分析する」ことだ。聞き手の属性や状況、コミュニケーションのスタイル、知識量などを分析すれば、適切な言葉を選べる。また、自主的に話を聞きたがっているのか、仕方なく聞いているのかなど、対象者の「気持ち」を考えることで、話の組み立て方が変わるだろう。

基本原則の最後は、「話し言葉の意識を持つ」ことだ。「話す」とは、瞬間的に言葉の解釈をしなければならない、とてもシビアなコミュニケーション形態であること、そして、いちど発した言葉は決して取り消せないという特徴を意識しておきたい。

【必読ポイント!】「言葉」の戦略:伝えたいことを「ひとことで言うと」

コアメッセージを明確にする

まず「言葉」の戦略のうち、コアメッセージについて紹介する。

コアメッセージとは、話す目的を具体的なフレーズに落とし込んだものを指す。コアメッセージの設定により、本当に伝えたいことを明確にし、相手の記憶に残る話をすることができる。

例えば、会議で部長が来期の抱負を語る場面があったとする。次のふたつの例を比べてみよう。

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要約公開日 2024.06.24
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