「怒り」を感じることに罪悪感を抱く人は多い。しかし、怒りは誰もが持っている自然な感情だ。心身の安心、安全が脅かされそうになったときに生じる、身を守るための「防衛感情」ともいえるだろう。
怒ること自体は悪いことではない。問題なのは、後悔するような悪い怒り方をした場合だ。「怒ること」と「怒る必要がないこと」を区別し、適切に対応することが重要だ。
怒りを感じる対象はさまざまだが、わたしたちそれぞれが持つ「べき」が原因である。「べき」は、理想や願望、譲れない価値観などを表しており、それが裏切られると怒りが生じる。価値観が同じ人は存在しない。そのため、互いの価値観の違いから怒りが生じてしまうのだ。
「怒る」「怒らない」を決めるには、自分の「べき」の許容範囲を明らかにし、境界線を明確にすることが大切だ。具体的には、自分の「べき」と同じである「許せるゾーン」、イラっとするが許容できる「まぁ許せるゾーン」、そして許容できないレベルの「許せないゾーン」の3つに分ける。また、境界線を広げる努力をしたり、機嫌によって境界線をコロコロ変えたりしないようにしたい。そして、その境界線を相手に伝える努力をすることで、互いの「べき」のズレはなくなっていく。
「アンガーマネジメント」とは、怒りで後悔しないために、必要なときに適切に怒り、怒る必要がないときは怒らないことを目指す心理トレーニングである。継続していけば、怒りを上手に扱えるようになるだろう。
自分が相手に何かしてあげたとき、感謝やお礼の言葉がないとがっかりするものだ。虚しさや怒りを感じることもあるだろう。しかし、どれだけ感謝を表すかは人それぞれのため、感謝の言葉を期待しすぎないことが大切だ。
相手が「やってもらって当たり前」と思っているタイプなら、「せめてありがとうは言ってほしい」と伝えるのも選択肢となる。「この人は感謝が足りない人だ」と嫌な態度をとったり、ほかの人に悪口を言ったりするのは、自分の評価を下げるため控えたい。
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