自分を否定しない習慣

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自分を否定しない習慣
出版社
出版日
2023年12月19日
評点
総合
3.5
明瞭性
3.5
革新性
3.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

できれば他人に迷惑をかけずに生きていきたい。こんな気持ちはとても自然なものであるように感じられる。特に、成果が求められ続けるビジネスの現場に身を置いていると、「迷惑をかけたくない」「役に立ちたい」という気持ちは強くなる。しかし、この誰もが抱くであろう感情が、自分を否定することの始まりかもしれない。

本書の著者である小澤竹俊氏は30年近くホスピス医として4000人以上の患者さんを看取ってきた。命の灯火が消えようとしている人が、「人に迷惑をかけずに」生きることが困難であることは想像に難くない。体の自由がきかなくなり、誰かの助けなしには生活ができなくなったとき、自分の存在を否定せずにいられるだろうか。

人の役に立つことで自分の価値を測ろうとする考え方は、役に立たない自分を否定することにつながっていく。だからこそ著者は、たとえ全く誰かの役に立つことができなくなっても、人には存在するだけで価値があると呼びかける。その人が生きている、何気ない1日に価値があるというのだ。

「自分を否定しない習慣」は、人生の終焉を迎えようとしている人にとってのみ重要なわけではない。生きづらさを感じ、日々の生活にストレスや不安を感じている人が、毎日を穏やかに過ごすためにこそ、役立てたい習慣だ。そうした日々の積み重ねによって、最期の瞬間にも自分を肯定することができるのだろう。

ライター画像
池田明季哉

著者

小澤竹俊(おざわ たけとし)
ホスピス医。1963年東京生まれ。87年東京慈恵会医科大学医学部医学科卒業。
91年山形大学大学院医学研究科医学専攻博士課程修了。救命救急センター、農村医療に従事した後、94年より横浜甦生病院ホスピス病棟に務め、病棟長となる。2006年めぐみ在宅クリニックを開院。これまでに4000人以上の患者さんを看取ってきた。医療者や介護士の人材育成のために、2015年に一般社団法人エンドオブライフ・ケア協会を設立。一人でも多くの人が、生きてきてよかったと思える最期を迎えられるよう、力を尽くしている。著書『今日が人生最後の日だと思って生きなさい』、『もしあと1年で人生が終わるとしたら?』(アスコム)がベストセラーとなる。

本書の要点

  • 要点
    1
    人生の終わりを迎えようとする人たちから、「迷惑をかけたくない」という言葉をよく聞くが、人生には人の支えが必要な局面がある。「お互い様」と許し合う姿勢は、穏やかに幸せに生きていくために欠かせないものだ。
  • 要点
    2
    本当の幸せを手に入れるには、今の自分をそのまま肯定し、「自分は存在していていい」と心から思えるようにならなければならない。
  • 要点
    3
    「自分を否定しない習慣」を手に入れる第一歩は、弱い自分を認め、支えてくれる人の存在に気づくことだ。

要約

看取りの現場で耳にする「迷惑をかけたくない」という言葉

自分自身を肯定するために
Kobus Louw/gettyimages

ホスピス医として働き、30年近くの間に4000人以上の患者さんを看取ってきた著者によれば、看取りの現場では最初のうち、自分や自分の人生を否定する患者さんが多いのだという。中でもよく「迷惑をかけたくない」という言葉を耳にする。かつては家族や会社のために一生懸命働いてきた人でも、病気や加齢で体の自由がきかなくなると、他者や社会の役に立たなくなったことに絶望してしまう。そして、自分には何の価値もない、周囲に迷惑をかけるだけの存在なのだと自分を責め、早く死にたいと願い、これまでの人生さえ無意味だと嘆くのである。

人生にはどうしても、人の手を借りなければならない局面がある。そんなとき、「お互い様」と許し合う姿勢も、人が穏やかに、幸せに生きていくために不可欠なことだ。若い人や健康な人でも、人に迷惑をかける自分を肯定できずに、自分なんていないほうがいいと感じる人は、たくさんいるのではないだろうか。

私たちはさまざまな理由から自分を否定し、責めてしまう。その気持ちそのものがなくなることはないが、人は誰でも、幸せになるべき存在だ。死を目前にした患者さんも、自分を肯定し、幸せになることができる。

今の自分を受け入れ、「自分は生きていていい」と思えるようになること。この世を去る瞬間まで、穏やかで幸せな人生を送ること。その第一歩は、自分を否定する気持ちを手放すことだ。

【必読ポイント!】 もう、自分を否定しなくていい

自分を否定する気持ちに気づく

世の中には、自分を否定してしまっている人がたくさんいる。ここで伝えたいのは、今の自分を「Good Enough」(それで良い)と肯定し、受け入れることの大切さだ。自分を否定せずに、今の自分をそのまま肯定することは、「自分は存在していていい」と心から思えるようになることだ。こう思えることは、本当の意味の幸せを手に入れることでもある。しかし、自分のことを否定しないのは難しい。なぜなら、「自分を否定していること」に気づくことが難しいからだ。

たとえば「死んでしまいたい」という気持ちを抱くのは究極の自己否定であるが、その渦中にいる人が「自分自身を否定している」と認識できるケースは少数だろう。また、子どもの頃から「ダメな子」と否定されてきた人は、「自分はダメな人間だ」という考えが当たり前になってしまう。すでに一生懸命頑張っているのに、「まだ努力が足りない」と自分を追い込んでしまう人もいる。こうした人は「真面目」と評価されやすいが、その一方で自分を否定していることに気づくことができない。

自分を否定する気持ちに気づく一つの方法は、信頼できる人の言葉に耳を傾けることだ。自分を否定している人は、一般の基準とはかけ離れた、自分の基準で自分に評価を下していることが少なくない。誰かが「あなたが存在してくれて嬉しいよ」「あなたは十分頑張っているよ」と言ってくれたら、その言葉を素直に聞き入れてみよう。

自分が感じたことを否定しない
PeopleImages/gettyimages

自分の気持ちを否定しないことも大切だ。たとえば、あなたがつらさやしんどさを感じたとき、他者への嫌悪感や憎しみを抱いたとき、その気持ちを押し殺そうとしてはいけない。

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要約公開日 2024.06.12
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