編集者のひつじは、友人である著者に質問を投げかけた。「双雲さんっていつも元気ですよね。自由にやりたいことをやって、しかも世界から評価されている。どうしたら双雲さんみたいに、毎日元気で幸せいっぱいになれるんですか?」
著者は「まっすぐな線を引く方法って知ってる?」とひつじに言った。書道でまっすぐな線を引くとき、著者は自分のはるか先、宇宙の果てまで無限の線があると考えるという。無限の線を思い浮かべ、その線の上を筆でなぞると、まっすぐな線が引けるのだ。逆に筆と紙ばかりを意識しているとフラフラしてしまうし、強く筆を握ると、前に出ようとするエネルギーにブレーキをかけてしまう。
リラックスしたほうが力が出やすくなり、結果的に正しく動くことができるのだ。
著者の作品には型にはまらない自由さがある。しかし書道だから「お手本」があるだろうとひつじは考えたが、「手本はなく、全部がお手本」なのだという。映画や服、建物など人間がつくり出したものから、動物や植物、景色、地球など神が創造したものまで、著者にとってはこの世のすべてがお手本なのである。
人間は表現することはできても、創造することはできない。あくまで創造されたものを「大本」にして、表現しているにすぎないのだ。著者にとっての表現とは「大本」にアクセスして、そこにパイプを通して作品にすることにほかならない。
表現はパイプとして「無」になったときに出てくるため、著者に生みの苦しみはないという。クリエイティブな力を得るには、「自分が生み出す」という意識を捨てて、あらゆる経験や宇宙のおかげだと思うことが大切だ。
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