よく「会話の沈黙が怖い」という声を聞くが、会話に沈黙ができるのは自然なことだ。そもそも、「沈黙を作らないこと」が会話の目的ではないはずである。
著者が沈黙の時間に使う手は、「なるほど〜、そうなんですね」と間を作りながら、目の前の料理やドリンクについて触れることだ。著者はよくラーメン店を取材するが、しゃべらない店主はとても多い。そういった相手と接するときは、まくしたてず、ゆっくりとした会話のペースを保つようにしている。
会話中、何よりも大事なのは相手が「話したい」と思うリズムを作ることだ。話題に困っても焦らず「このコーヒー、あったまりますね〜」などとつなぎ、心地よい空気を作ることを意識しよう。
「円滑なコミュニケーションを取るためには、明るくないといけない」と思い込んでいないだろうか。天性の明るさの持ち主ならいざ知らず、そうでない人には酷である。実際、世で活躍しているインタビュアーや司会者たちすべてが、底抜けに明るいというわけではない。
会話やコミュニケーションは、相手があって成り立つものだ。そのためコミュニケーションの「正解」は、相手に合わせることである。相手の明るさに合わせて自分の明るさレベルを変えていければ、尚よいだろう。
とはいえ、相手から多くの言葉を引き出すために“よいしょ”してしまう人もいるかもしれない。だが著者の経験上、よいしょがいい結果を生むことはない。お世辞であるよいしょは中身がなく、相手にも伝わってしまう。とくに有名な人は褒められ慣れているため、その人の薄っぺらさをすぐに見抜くだろう。
安易に懐に入ろうとするより、「正面からいってもどうせ敵わない人だ」と開き直ってしまおう。等身大の自分でぶつかっていく方がよりよい結果につながるはずだ。
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