現代は、インプットしたことをまとめて言語化する機会が増えている。どうすれば良い言語化ができるのか。本書は、「読む・聞く」「まとめる」「言葉にする」というそれぞれのプロセスを一連の流れとして捉え、前後のプロセスを意識して実践することが大事だという立場に立つ。
職場の1on1を例にとろう。メンバーが話をしやすい空気をつくろうと、相槌やうなずきを工夫している方は多いだろう。もちろん、それらも効果的だが、もう1つ有効なのが、相手の想いを言語化することだ。「あなたの大事にしているのは、こういうことですか」などと、まとめて言葉にする。これにより、相手は「言いたいことが伝わった」と感じ、心を開きやすくなる。
つまり、1on1は「聞く」スキル単体で完結するのではなく、「聞く」「聞いたことを整理する」「その内容をコメントする」というプロセスでできている。それぞれのつながりを意識するからこそ、アウトプットの質が上がり、成果が出やすくなるのだ。
「読む・聞く、まとめる、言葉にする」という一連の流れを実践すると、それぞれのスキルが高まるだけでなく、対話がうまくなって信頼関係が築きやすくなる、思考の整理力が身につく、本質を掴む力が身につく、といった効果を得ることができる。
言語化というと、文章力が必要と思うかもしれない。だが、「まとめて言葉にする」際に大事なのは、言葉を装飾したり、美しい表現をめざしたりすることではない。
良い言語化は、「読む・聞く・観る・体験する」といったインプットの質が決め手となる。インプットの独自性や面白さがなければ、その後どれだけ手を加えても、人の心に響くものにはなりにくい。
同時に、言語化力は「解釈の力」でもある。話を聞いたり、旅行に行ったりしたときに、どんな視点で物事を捉え、その本質を抜き出すか。つまり、自分の「解釈」によって、どの部分をどう言語化するかが変わってくる。
言語化の際には、良いインプットを前提とし、「まとめる」のフェーズで伝えたい本質を正しく抽出して、わかりやすい解釈を添えることが大事になる。
まとめて言語化する前に隠れたステップがある。それは、まとめを「伝える相手」と「伝える目的」を決めることだ。これらによって、アウトプットの方向性、まとめる基準、インプットの質が変わる。
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