「思考」はただそこにあるものであって、それを変えることはできない。だが、そこにある思考の中から集中すべきものを選ぶことならできる。
アメリカの思想家、ラルフ・ワルド・エマーソンは「あなたが一日中考えていることが、あなた自身になる」と言っている。著者もこの言葉に賛成だ。思考の後には行動が続くのだから、行動を変えたければ、まずは自分の意思で思考を変えなければならない。
著者は本書で、プラグマティズムを基盤とした「明晰思考」という思考法を提唱する。明晰思考とは、事実を見て、他者の意見を聞き、そのうえで現実的な結論を導き出す思考法だ。
2014年、著者はオランダのレーワルデンからロンドンに移り住んだ。そしてその2か月後には、新しい部屋への引っ越しを決めた。引っ越しにあたっては、両親と兄弟がオランダから手伝いに来てくれることになった。
しかしここで事件が起こる。入居直前に大家の気が変わり、やはり貸さないと言われてしまったのだ。著者はパニックを起こし、長々と自分を責めた。
このエピソードを紹介したのは、思考の影響力を理解するのにぴったりだからだ。当時の著者は自分の思考にとらわれていて、現実が見えておらず、明晰な思考を失っていた。家がないなんて、ささいな問題なのに。
翌日になると、自分に「Think Straight.(まっすぐ考えろ)」と言い、頭の中の混乱を解消して、解決策を探すことにした。明晰思考で考えると、答えは意外と簡単に見つかった。Airbnbで部屋を借りて、新しい部屋を探せばいいだけだ。まっすぐ考えることの大切さを痛感した出来事だった。
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