余白思考

アートとデザインのプロがビジネスで大事にしている「ロジカル」を超える技術
未読
余白思考
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アートとデザインのプロがビジネスで大事にしている「ロジカル」を超える技術
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余白思考
出版社
出版日
2024年01月09日
評点
総合
3.7
明瞭性
3.5
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

「余白」という言葉を聞いて、あなたは何をイメージするだろう? 積極的につくりたいポジティブなものだろうか、それともできる限り削りたいネガティブなものだろうか。

本書における「余白」は前者を指す。本書の冒頭に挙げられている例を借りると、「何かを書いたあとに残ってしまったスペース」ではなく「書かれている何かを引き立たせるために、あえて余らせているスペース」「あらゆるものが入る可能性にあふれた空間」「本当に大事なものを守るために、あえて余らせている時間や力」などといったニュアンスだ。

本書の著者、山﨑晴太郎氏は、アートディレクター・アーティストであり、デザイン事務所の経営者でもある。その経験をもとに、「『白と黒の間にある灰色の領域を活用してみよう』という柔軟な考え方を勧める」のが本書だ。この考え方を山﨑氏は「余白思考」と呼んでいる。

たとえば、山﨑氏がフリーランスではなく会社経営という働き方を選び、チームで仕事をするのも「余白思考」によるものだそうだ。ひとりで仕事をしていると、アウトプットの量や質は自分の枠内に留まってしまう。一方、誰かと一緒に仕事をすると、期待を超えるアウトプットが生まれやすいのだという。

私たちは自分の予定やバッグの中身をたくさん詰め込むことに慣れている。だが、本書を読むと、自分の生活にはもっと自由な「余白」が必要であると気づけるだろう。その気づきにより、あなたの日常は身体的・心理的・時間的にラクなものになるはずだ。

ライター画像
菅谷真帆子

著者

山﨑晴太郎(やまざき せいたろう)
アートディレクター・アーティスト。
株式会社セイタロウデザイン代表。3児の父。
株式会社JMC(東証グロース)取締役兼CDO。株式会社プラゴCDO。
ブランディングを中心に、グラフィック、WEB・空間・プロダクトなどのアートディレクションを手がける。「社会はデザインで変えることができる」という信念のもと、各省庁や企業と連携し、様々な社会問題をデザインの力で解決している。グッドデザイン賞金賞や日経MJ広告賞 最優秀賞など、国内外の受賞歴多数。各デザインコンペ審査委員や省庁有識者委員を歴任。2018年より国外を中心に現代アーティストとしての活動を開始。TBS「情報7daysニュースキャスター」、日本テレビ「真相報道 バンキシャ!」にコメンテーターとして出演。主なプロジェクトに、東京2020オリンピック・パラリンピック表彰式、旧奈良監獄利活用基本構想、JR西日本、Starbucks Coffee Japan、広瀬香美、代官山ASOなど。

本書の要点

  • 要点
    1
    自分自身と「外」との間に身体的・心理的なスペースがないと疲れてしまう一方、余白を上手に作れれば、忙しい毎日でも今より「ラクに」「楽しく」「前向きに」生きられる。詰め込みすぎはやめて、余白を取り戻そう。
  • 要点
    2
    チームで仕事をする際、リーダーは「ここからここまでは自由に動いてOK」という幅を設定し、その間の余白をメンバーに開示しておくことが重要だ。

要約

【必読ポイント!】 余白の大切さ

余白とは何か

本書でいう「余白」とは、「何かを書いたあとに残ってしまったスペース」ではない。「書かれている何かを引き立たせるために、あえて余らせているスペース」「あらゆるものが入る可能性にあふれた空間」「本当に大事なものを守るために、あえて余らせている時間や力」などといったポジティブな意味で使っている。余白の「余」は余分の「余」ではなく余裕の「余」であり、その先に無限の時間や空間が続いていくイメージだ。

たとえるなら、余白は「縁側」「土間」のような、内と外の概念が曖昧になる中間領域に近い。誰かの部屋でもないし、決まった使用目的もない、何をしてもよい場所だ。余白はまさにそのような存在である。

余白が大切な理由
Wachiwit/gettyimages

人にはそれぞれ、他者が自分に近づいて不快にならない物理的な距離として「パーソナルスペース」がある。パーソナルスペースが侵され、身体(物理)的にまったく余白がない満員電車は、非常に不快なものだ。

誰もが満員電車を嫌うように、誰だって余白の大切さは分かっているだろう。それなのについ、物事をいっぱいまで詰め込んでしまうのだ。

余白はいわば、子ども時代の「日曜日」のようなものだ。子どもの頃のあなたにとって日曜日とは、何をしてもいい、可能性にあふれた1日だったのではないだろうか。このように、「さあ、今日は何をして過ごそうか」というワクワク感を受け止めてくれるのが余白の存在だ。

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要約公開日 2024.05.09
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