「マウンティング」(マウント)という言葉は、相手に対する自分の優位性を示す意味合いで用いられる。
誰もがSNSを使って情報発信している現代社会において、私たちはほかの人の生活や人生を詳細に把握するようになった。SNSで「マウンティング合戦」が絶え間なく繰り広げられる中、マウンティングによって精神を疲弊させる「マウンティング疲れ」はもはや深刻な社会問題だ。
自分らしく満ち足りた人生を送るうえで、不毛なマウンティング競争はできる限り回避したいものである。だが一方で、人間の行動の多くはマウンティング欲求に支配されているため、マウンティングを避けて生きることはできない。ならば、マウンティングを否定するのではなく、マウンティングは「現代社会を生き抜くうえで必須の教養」であり、「人生を切り開くツール」だと捉えるほうが得策ではないだろうか。
人間のマウンティング欲求を理解し、味方につけて、豊かな人生を送ろう。「マウンティングリテラシー」を高めてマウンティングをうまく使えば、人生は天国になりうるのだ。
「申し訳ありません、その日はあいにくのニューヨーク出張でして、同窓会に参加することができません」――同窓会を欠席する理由として「ニューヨーク出張」を挙げ、自身のグローバルな活躍ぶりを周囲に見せつけるマウント例
「ピーター・ルーガー、NYに住んでいた頃によく行きました。ニューヨークで食べる、いつもの味が懐かしいなあ」――自身の豊富な食体験を振り返ることで、ニューヨークに住んでいた事実をさりげなくアピールするマウント例
「ミュージカル『オペラ座の怪人』の大阪公演に行かれたんですね。私も数年前にブロードウェイ公演にクライアントからご招待いただいたのですが、本当に素晴らしかったです。大阪はどうでしたか?」――有名なミュージカルのNY公演にクライアントから招待されたことを語り、自身が特別な立場にあることをほのめかすマウント例
日本人にとって、世界の経済と流行の中心地であるニューヨークは特別な存在だ。だからこそ日本人の間では、ニューヨーク在住マウントやニューヨーク駐在マウント、ニューヨーク出張マウントといった、ニューヨークを題材にしたマウンティングが日々繰り広げられている。
また、ニューヨーク拠点と日常的にミーティングしている事実を示す「ニューヨークテレカンマウンティング」も存在する。退屈な飲み会でこれを使うと「ニューヨークと会議なら仕方ないか」という雰囲気が生まれ、比較的スムーズに帰宅できることが多い。
3,400冊以上の要約が楽しめる