「いつも幸せでいたい」と思っても、私たちは日々苛立ったり落ち込んだり、不安になったりしてしまう。しかし、もし明るくハッピーな感情しかなければ、人類はとっくに絶滅していただろう。
脳の最重要任務は「あなたを生かしておくこと」である。そのために脳は感情を使ってメンタルを左右し、行動を起こさせるのだ。
人間は歴史の99.9%の時間を狩猟採集民として生きてきた。狩猟採集民の時代、子供の半数はウイルスや細菌の感染によって10代になる前に死んでいた。大人になってからも、病気、飢え、動物の襲撃などによって死ぬ危険と隣合わせだった。
私たちの脳はそのような世界で進化したため、脳は今でも「自分たちはサバンナで狩猟採集民として暮らしている」と思っている。そのため、脳は「感情」という「道具」を使って危険を遠ざけ、私たちを安全な状態にいさせようとする。
たとえば、崖に近づいた時に「怖い」と感じ、不安になって足がすくむのは、脳が「引き返そう」と働きかけているからである。引き返してほっとするのは、「安心」という感情のごほうびだ。
感情とは、周りで起きていることへの反応ではない。周囲の知覚情報と身体の中の情報(心拍や血糖値など)を記憶と組み合わせて、瞬時に理解できるように脳が「まとめ」たものなのだ。
人間の集中力には限界があり、一度に1つのことにしか集中できない。そのため、脳がたくさんの情報をまとめて、私たちがすぐ行動に移せるようにしているのである。
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