人間の基本的なあり方は、大まかに言うと3つに分けられる。
まずは「個人」だ。その個人が集まって「関係」ができるわけだが、そのなかには「身近な関係」と「身近でない関係」がある。身近な関係は友情や恋愛、夫婦、家族などを指す。これは想像しやすいだろう。
では身近ではない関係とは何か。平たく言えば「社会」である。「家族」や「友だち」とは違い、「社会」という言葉が漠然としているように感じられるのは、それが「身近でない関係」だからだ。家族、友だち、恋人、ご近所、夫婦、会社といった具体的な関係を取り除いたとき、バラバラになった一人ひとりが「個人」で、バラバラな「個人」がバラバラなまま集まっているのが「社会」である。そういう意味で、「身近でない関係」は「社会的な関係」とも言い表すことができる。
人間の基本的なあり方は「個人」「身近な関係」「社会的な関係」の三本立てである――。そう理解したほうが、「個人」と「社会」の二元論で捉えるよりも正確だ。
ちなみに、ここでいう「社会」は「集団」とは異なる。「社会」を「単なる集まり」とするならば、集団は「何かの理由で集まっている」ものだ。そういう意味で、会社をはじめとする集団は「個人」と「社会」の中間のようなもので、広い意味での「身近な関係」に該当する。
前項で、人間関係には、他人同士の単なる集まりである「社会」と、お互いによく知っている「身近な関係」があることがわかっただろう。では「片方は相手を知っているけど、片方は相手のことを知らない」という場合はどうか? たとえば、あなたはよく行くコンビニの店員さんのことを認識しているが、相手はそうではないとしたら? あなたはその店員さんのことを知っているが、相手はあなたのことを知らない。この関係は「社会」だろうか、それとも「身近な関係」だろうか。
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