自信

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出版社
出版日
2000年12月10日
評点
総合
3.7
明瞭性
3.5
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

よい人生だったと最後に思えるかどうか。それは、その人の自信に表れるという。「人生は外側から見れば、うまくやっている人と、下手に生きている人といる」ように見えるが、「最終的には自信によって清算されている」と著者は書く。

加藤諦三氏は、これまでに多くの著作を世に送り出してきた心理学者であり、ラジオの「テレフォン人生相談」のパーソナリティを半世紀以上にわたって務めてきた「レジェンド」だ。本書は自己の信念に忠実であることの大切さが書かれている一冊である。自分と他者の間にある「正しい人間解釈」に焦点をあて、どうすれば自信をもてるようになるかについて考えていく内容だ。

自分自身を守るために「他人なんかどう思ったってかまわない」と相手を拒絶しても、「虚無感に苦しめられる」だけだと警鐘を鳴らす。それはただの独りよがりであり、私たちは他者がいなければ自己を確立できないからだ。社会の中で誰かと関わり合いながら生きていきつつ、いかにして自分の内側に自信を見つけ、育てていけばよいのか。その方策が描かれている。

自信をもてず、ついくよくよと悩んでしまう経験は、誰しもあるだろう。その原因の多くが対人関係にあり、本来の自分が半ば無意識的に抑圧されていることに気づかされる。本書には、あなたの自信を失わせる数々の「ひどい人」がたくさん出てくる。あの言葉が、あの態度が、自分の自信を消し飛ばしていたのだと合点がいくだろう。今こそ、その抑圧と闘うときだ。

著者

加藤諦三(かとう たいぞう)
心理学者。1938年生まれ。東京大学教養学部卒業。同大学院修士課程修了。早稲田大学名誉教授。1973年以来2021年までハーバード大学ライシャワー研究所客員研究員。ラジオの「テレフォン人生相談」パーソナリティーを半世紀担当。
主な著書に、『感情を出したほうが好かれる』『自分を許す心理学』『無理しない練習』『「自分の心」をしっかり守る方法』(三笠書房《知的生きかた文庫》)、『あなたは、あなたなりに生きれば良い。』『自分を嫌うな』『うつ病は重症でも2週間で治る、もし……』『無理しないほうが愛される』『「心の重荷」の降ろしかた』(三笠書房)、訳書に『心の名医シーベリー博士が教える幸せな生き方』(デヴィッド・シーベリー、三笠書房)など多数がある。海外へ翻訳されている著作は約80冊に及ぶ。
[加藤諦三ホームページ]
https://www.katotaizo.com/

本書の要点

  • 要点
    1
    自信には、自分自身の心をありのままに伝える自己主張が欠かせない。それを素直に受け止めてもらう人間関係はそこから構築できる。
  • 要点
    2
    拒絶されるかもしれないという恐怖心を克服し、はっきり「ノー」と主張する勇気をもとう。その経験が、自分自身を成長させてくれる。
  • 要点
    3
    自分の心の中を知るためにも、まず行動してみよう。具体的にやりたいことをリストアップし自発的に動き出せば、少しずつ自分が変わっていく。

要約

自分の中の自信がなくなる時

よい人は「都合のよい」人

「自信のない人」とはどんな状態の人だろうか。たとえ不当な扱いを受けても、相手の願いを聞き入れてしまう“よい人”であることが多い。“よい人”は他者に気に入られようとするため行動を操作されやすく、したがって自信を失いがちだ。

相手を操作しようとする人は劣等感や不安を無自覚に抱えているものだ。自分の要求を満たしてくれない人は全員エゴイストだと思い込む。そうした態度は結局、自己主張のない受動性の現れである。

自分の周囲にいる人をよく見てほしい。自信のある、なしは本人だけの問題ではなく、その人を取り巻く人間関係によって、いかようにも変わっていく。自信をなくしている人は、受動的な人との人間関係が原因になっているはずだ。誰かを操作しようとする人は、自身の情緒的な成熟を達成することなく、自分の心のトラブルを一時的にでも忘れるために相手を利用する。そこから逃れようとすると「今までの友人を大切にすべきである」などと正論で責める。良心の呵責からその非難に屈し、そうした人に過剰適応するほど、自信の欠如した「都合のよい人」になってしまう。

「ノー」と言える人間関係
PeopleImages/gettyimages

他者に操作されている「自信のない人」は、操作してくる相手に何もかも委ねてしまうから、その人が不満を抱かないか常に顔色をうかがうことになる。こうなると心まで支配されている状態だが、「自分に関することは自分が決めてよい」ことを自覚しよう。

不当な要求に対してであっても、「ノー」と言うこと自体に罪悪感を覚えてしまう人はいるが、それは決して罪ではない。自分の行動の良し悪しまで誰かに判断を任せるその弱さにつけ込んで、「それをしたら後悔する、みんなに嫌われる」と平気で言いながら操作しようとする。自分の行動を自身で判断するようになれば、そうした人たちにとって利用しづらい人間になるため、余計におどしたりなだめすかしたりしてくるはずだ。そうして、周囲の人間がいかに卑怯で厚顔無恥だったのか見えてくる。

自分の依存心を克服できれば、やがて「自分にとって都合のよい解釈を相手に押しつけないような人たち」が集まってくる。卑怯な人間を近づかせないためにも、行動の最終的な責任は自分でとろう。

コミュニケーションへの道

本来、コミュニケーションとは自己主張があるからこそ初めて可能であり、人に自信を与えるものだ。ところが、他者から見捨てられる恐怖に囚われていると、常に周囲の期待に応えようとした結果、自己主張をなくしてしまう。

他人に好かれることを目標にするのではなく、自分を尊敬できるようになるべきだ。他者に見せるための自分と実際の自分という二つの自分を持ってしまうと、他者との深いコミュニケーションは難しくなる。

自己主張は、「自分の統合性が保たれている」からこそ実現できる。分裂した自分は結局、虚勢やわがまま、甘えを発露させるだけであり、統一的な自分であることを妥協してはならない。すべてをさらけ出す必要はないが、正当な感情を向けるべき他者に向けることは、「親しい人をつくる本質的な道」である。

【必読ポイント!】 自信を奪う恐怖心に立ち向かう

自分をごまかさないこと

自信のなさの原点は、特に家族関係、親子関係から探っていける。そこに「ごまかし」がなかったかを振り返ってみてほしい。真の自分の望みに目を向けることなく、利己的な期待や虚栄心を押しつけてくる親の言いなりとなり、人生の第一歩から自分を偽ってきたのではないだろうか。

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要約公開日 2024.05.01
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