本書では、「素直な心の内容十カ条」として、素直な心とはどういう心なのかが10の項目にまとめられている。要約ではそのうち3つを取り上げる。
1つ目は私心にとらわれないということだ。
私心がない人などほとんどいない。だが、私心にとらわれてしまうのは問題だ。
たとえば政治家が、私心にとらわれて自分に都合のいい政治をするとどうなるだろうか。国民の多くが多大な損害をこうむり、政治家自身も支持を失ってしまうことだろう。
商売も同様だ。私心にとらわれると、自他ともに不幸になってしまいかねない。
素直な心になったなら、もちろん私心は働くけれども、私心にとらわれすぎることなく、他の人びとのことも十分に配慮できるだろう。お互いの日々の生活、活動のあらゆる面において、また社会のすべての分野の活動の上においても、私心にとらわれない態度、行動というものは、非常に好ましい姿をもたらし、よい結果につながるのではないだろうか。素直な心は、そういう私心にとらわれない姿を生む心であると思う。
2つ目は、だれに対しても謙虚に耳を傾けるということだ。
戦国時代の武将・黒田長政は月に2~3回、“腹立てずの会”という会合を開いていた。これは、思っていることを何でも遠慮なくいう会であり、会での発言を恨んだり他言したり腹を立てたりしてはならないとされていた。この会は、血気盛んな武将が多かった当時、非常に珍しいものであった。
長政がこの会を続けていたのは、自分には至らない点がある、気づいていないことや知らないことがあるという謙虚な心をもっていたからではないだろうか。長政のこの謙虚さは、やはり素直な心から出てきたものであろう。
素直な心があれば謙虚さが生まれ、多くの人びとの知恵が集まってくるのである。
3つ目は、自由自在に見方、考え方を変え、よりよく対処していけるということだ。
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