素直な心になるために

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素直な心になるために
出版社
出版日
2004年04月19日
評点
総合
3.8
明瞭性
3.5
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

親元を離れての丁稚奉公生活から、一代で松下電器産業(現・パナソニック)を築き上げた伝説の経営者、松下幸之助氏。本書は「素直な心」をテーマに、松下氏の視点から、その意義や実践方法などを語りつくした一冊だ。

人は誰しも、生まれたときは素直である。だが、成長するにつれて徐々にその素直さを失い、自己中心的になり、自分の利益のためだけに行動したり、ほかの人の意見を聞かなくなったりしてしまう。結果として、他者との間に軋轢が生まれ、しまいには関係性を損なってしまうこともある。もしかすると、世の中のあらゆる争いごとは、この「素直な心」をお互いに鍛錬していないことに起因しているのかもしれない。そう思わされた一冊だった。

本書の元となる単行本が書かれたのは昭和の時代ではあるが、人間が抱える課題は昭和も令和も変わらないものであり、現代を生きる人にとっても大いに響く内容だろう。また「素直さ」という、人間の基本ながら実践は難しいテーマであるため、若手から年配の方まで幅広くおすすめできる。

「一生懸命頑張っているのに、最近どうも仕事がうまくいかない」「家族のことを大切にしているつもりだが、コミュニケーションに課題がある」……そんな人は、「素直さ」に目を向けてみると、改善の兆しが見えてくるかもしれない。

ライター画像
安齋慎平

著者

松下幸之助(まつした こうのすけ)
パナソニックグループ(旧松下電器)創業者、PHP研究所創設者。明治27(1894)年、和歌山県に生まれる。9歳で単身大阪に出、火鉢店、自転車店に奉公ののち、大阪電灯(株)に勤務。大正7(1918)年、23歳で松下電器を創業。昭和21(1946)年には、「Peace and Happiness through Prosperity=繁栄によって平和と幸福を」のスローガンを掲げてPHP研究所を創設。平成元(1989)年に94歳で没。

本書の要点

  • 要点
    1
    素直な心を持っている人は、だれに対しても謙虚に耳を傾けるため、多くの知恵が集まってくる。
  • 要点
    2
    素直な心を持っていると、こだわりやわだかまりが心に残らなくなり、こまかいことにくよくよせず、いつでも前向きなものの考え方ができる。
  • 要点
    3
    素直な心がないと、人が親切に教えてくれたり、助言してくれたりした大切なことでも、それを聞き入れることができない。結果として、物事に失敗しやすくなるだけでなく、人間関係を損なってしまうことさえある。
  • 要点
    4
    素直な心を養うには、客観的に自分を観察する“自己観照”を心がけるのがよい。

要約

【必読ポイント!】 素直な心の内容

私心にとらわれない

本書では、「素直な心の内容十カ条」として、素直な心とはどういう心なのかが10の項目にまとめられている。要約ではそのうち3つを取り上げる。

1つ目は私心にとらわれないということだ。

私心がない人などほとんどいない。だが、私心にとらわれてしまうのは問題だ。

たとえば政治家が、私心にとらわれて自分に都合のいい政治をするとどうなるだろうか。国民の多くが多大な損害をこうむり、政治家自身も支持を失ってしまうことだろう。

商売も同様だ。私心にとらわれると、自他ともに不幸になってしまいかねない。

素直な心になったなら、もちろん私心は働くけれども、私心にとらわれすぎることなく、他の人びとのことも十分に配慮できるだろう。お互いの日々の生活、活動のあらゆる面において、また社会のすべての分野の活動の上においても、私心にとらわれない態度、行動というものは、非常に好ましい姿をもたらし、よい結果につながるのではないだろうか。素直な心は、そういう私心にとらわれない姿を生む心であると思う。

だれに対しても謙虚に耳を傾ける
lielos/gettyimages

2つ目は、だれに対しても謙虚に耳を傾けるということだ。

戦国時代の武将・黒田長政は月に2~3回、“腹立てずの会”という会合を開いていた。これは、思っていることを何でも遠慮なくいう会であり、会での発言を恨んだり他言したり腹を立てたりしてはならないとされていた。この会は、血気盛んな武将が多かった当時、非常に珍しいものであった。

長政がこの会を続けていたのは、自分には至らない点がある、気づいていないことや知らないことがあるという謙虚な心をもっていたからではないだろうか。長政のこの謙虚さは、やはり素直な心から出てきたものであろう。

素直な心があれば謙虚さが生まれ、多くの人びとの知恵が集まってくるのである。

何事も融通無碍に考えられる

3つ目は、自由自在に見方、考え方を変え、よりよく対処していけるということだ。

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要約公開日 2024.04.27
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