急成長を導くマネージャーの型

地位・権力が通用しない時代の“イーブン”なマネジメント
未読
急成長を導くマネージャーの型
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地位・権力が通用しない時代の“イーブン”なマネジメント
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急成長を導くマネージャーの型
出版社
技術評論社

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出版日
2021年11月13日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

組織におけるマネジメントは普遍的なテーマであり、時代や目的とともに変化を遂げていく。では急成長するベンチャーではどんなマネジメントが求められるのだろうか? ベンチャー特有のマネジメントのあり方を深堀りしていくのが本書だ。

安定成長志向で事業基盤が強い組織と、急成長志向で事業基盤が弱いベンチャー。両者では、マネジメントに求められる能力は全く異なる。そう語る著者は、DeNAにてマネジメントスキルを極め、その後ハウテレビジョン社を上場に導いた人物である。現在は株式会社EVeM社の代表を務めており、ことベンチャーのマネジメントに関して右に出る者はいないだろう。

著者が開発した「マネジメントの地図」にはマネージャーの役割やピープルマネジメントの技術などの実践的なフレームワークが網羅されており、その納得度の高さは圧巻である。相応のボリュームがあるが心配はいらない。「マネジメントの地図」を用いれば、俯瞰してマネジメントを捉えられるようになり、ポイントが頭にスッと入ってくる。

マネジメント職に就いている方はもちろん、マネージャーをめざす方、特にベンチャー志向の組織に身を置く方におすすめしたい一冊だ。今後増えていく「イーブンな関係」のマネジメント技術を習得するのにぴったりだ。これから進むべき方向を指し示す羅針盤となってくれるにちがいない。

著者

長村禎庸(ながむら よしのぶ)
株式会社EVeM代表取締役。2006年大阪大学卒、株式会社リクルート入社。2009年株式会社ディー・エヌ・エーに入社。広告事業部長、㈱AMoAd取締役、採用マネージャー、経営企画マネージャー、PMIプロジェクトリーダー、㈱ぺロリ社長室長兼人事部長など、さまざまなチームのマネージャーを担当。2017年株式会社ハウテレビジョンに入社。取締役COOとして、管理部門以外のすべての部門を統括。停滞する業績を急成長させ、2019年同社を東証マザーズ上場に導く。2020年8月、ベンチャーマネージャーを育成する株式会社EVeMを設立。創業1年にしてベンチャー中心に100社以上の経営者・マネージャーにオンライン完結型のマネジメントトレーニングを実施。情報経営イノベーション専門職大学客員教授も務める。

本書の要点

  • 要点
    1
    大企業とベンチャー、異なる環境でキャリアを積んだ著者は、同じマネージャーでも求められる役割が大きく異なることに気付く。その後、著者はベンチャーにおけるマネジメントのノウハウを体系化した「マネジメントの地図」を開発した。
  • 要点
    2
    マネジメントの地図は「役割」「基本動作」「ピープルマネジメントの技術」「立ち位置と心得」という4つの項目から構成される。マネジメントの地図を活用すれば、地位や権力が通用しない現代でも強い組織マネジメントを実現できる。

要約

マネジメントの「型」

マネジメントの役割

著者の長村氏は新卒でリクルートに入社し、ゼクシィの営業に配属された。3年で数字として最上位レベルを稼ぐトップセールスに成長した彼は、上司にチームリーダーにしてほしいと願い出る。だが、「周囲と調和が図れない」などの理由から断られてしまう。

そこで長村氏は、当時ベンチャー企業だったDeNAへの転職を決めた。DeNAでは年功序列も政治もなく、「できる人により大きな責任を」という考え方が徹底されていた。前職とは景色が大きく違った。

ベンチャーとは事業基盤がなく「弱い」会社だ。実力のある人に責任を付与し、事業を引っ張っていく「勝利にこだわるマネジメント」が求められる。一方、前職のリクルートは盤石な基盤が既にある「強い」大企業だ。備えるべきは「外敵」ではなく「内乱」であり、「和を以て貴しとなすマネジメント」が求められるのだ。

同じマネージャーでも、その役割は大企業とベンチャーで全く異なる。長村氏は、ベンチャーにおけるマネジメントの専門性を求められる場所で仕事を続けようと決めた。

これからの時代は、副業解禁、DXにより、さまざまな人が有機的につながり協働していく「ネットワーク型組織」が増えていく。一社内での地位や権力を活かしたマネジメントは通用しない。多様な立場の人と対等=イーブンな関係でチームをまとめあげることが求められていく。

マネジメントの地図を使いこなす
本書P34「マネジメントの地図」

長村氏は業務の範囲も定義も曖昧なマネジメントについて、ベンチャーにおけるマネジメントに絞り、ノウハウの体系化を試みた。そうして開発したのが「マネジメントの地図」だ。マネジメントの地図は4つの大項目から成る。

1.役割

2.基本動作

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要約公開日 2024.05.10
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