脳をしっかり休ませる方法

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脳をしっかり休ませる方法
出版社
出版日
2024年03月05日
評点
総合
3.5
明瞭性
4.0
革新性
3.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

休日に家でのんびりしたのに、仕事の疲れが取れない――。このように感じている人は多いだろう。実はその疲れは、脳の疲れからきているのかもしれない。

本書は、文筆家やタレントとしても広く活躍する脳科学者の著者が、脳の疲れを解消する方法を科学的な視点で解説した一冊である。身体を休める重要性は誰もが知るところであり、多くの人は、身体を休めさえすれば私たちは元気になると考えている。しかし、疲れを完全にリセットするためには脳を休ませなければならず、そのためには別のアプローチが必要だと著者は語る。

スマホを例にとってみよう。現代の私たちの脳が疲れやすい原因の一つはスマホやタブレットにあるため、それらの電子機器を見ずにボーッとする時間こそが脳を休めることにつながる、と著者は指摘している。要約者は早速このアドバイスを実行し、昼休みにスマホを触る習慣を改めてボーッと過ごすようにしてみた。すると、確かに午後の疲労感が少なくなったのだ。著者が説くように、何もせずにボーッと過ごすひとときは時間の無駄などではなく、脳を休めるために必要不可欠な時間なのである。

本書には、脳が疲れるメカニズムや、脳の疲れを取る方法が数多く紹介されている。このところ疲れて仕事のパフォーマンスが悪いという人は、ぜひ本書のメソッドを実践してほしい。脳を休ませることで得られる効果を、身をもって実感するはずだ。

ライター画像
木下隆志

著者

茂木健一郎(もぎ けんいちろう)
脳科学者。1962年、東京都生まれ。ソニーコンピュータサイエンス研究所上級研究員。東京大学大学院特任教授(共創研究室、Collective Intelligence Research Laboratory)。東京大学大学院客員教授(広域科学専攻)。屋久島おおぞら高校校長。東京大学理学部、法学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻課程修了、理学博士。理化学研究所、ケンブリッジ大学を経て、現職。脳活動からの意識の起源の究明に取り組む。2005年、『脳と仮想』(新潮社)で第4回小林秀雄賞を受賞。2009年、『今、ここからすべての場所へ』(筑摩書房)で第12回桑原武夫学芸賞を受賞。
著書に、『頭は「本の読み方」で磨かれる』(三笠書房)、『クオリアと人工意識』(講談社)などがある他、IKIGAIに関する英語の著作が、世界31カ国、29の言語で翻訳出版される。2022年4月には、二冊目の英語の著作The Way of Nagomi(「和みの道」)が出版された。

本書の要点

  • 要点
    1
    どんなに身体を休めても、脳がしっかり休まっていないと身体全体や仕事のパフォーマンスに悪影響が生じる。
  • 要点
    2
    ひらめきを生むには「ぼんやりと過ごす」ことが重要だ。ボーッとすることで脳が休まり、蓄積された記憶や情報が整理される。
  • 要点
    3
    脳を休めるためには、脳の「デフォルト・モード・ネットワーク」機能を働かせる必要がある。そのためには質の高い睡眠が欠かせない。
  • 要点
    4
    脳を休ませる方法には、スマホを見ない時間を作る、退勤したら着替える、一人の時間をつくる、などがある。

要約

【必読ポイント!】 脳を休めれば創造性が上がる

「ぼんやり」がひらめきを生む

「なんだか疲れが溜まってきたな……」と感じて、休日に家でゴロゴロしたり温泉に浸かったりしたのに、それでも疲れが取れない、という経験はないだろうか。その原因は「脳の疲れが取れていない」からかもしれない。いくら身体を休めても、脳がしっかり休まっていないと脳に疲労が蓄積し、身体全体や仕事のパフォーマンスに悪影響を与えてしまう。

最新の脳科学では、「ぼんやり」と過ごして脳を休めることで、クリエイティブなひらめきが生まれることがわかってきた。ボーッとして脳を休めている間に、一度集約された情報や記憶が整理されるのだ。

重要なのは、集中とリラックスのバランスだ。机に向かって一生懸命考えているだけではアイデアは出てこない。集中したあとで脳がリラックスしアイドリングしているときにこそ、ひらめきが生まれるのだ。

一流のクリエイターは脳を休めている
maruco/gettyimages

歌手の松任谷由実さんや作曲家の秋元康さんなど、一流のクリエイターは総じて「脳の休ませ方」がうまい。毎日多忙なはずなのに、まるで「夏休みの宿題が終わった小学生」のような余裕のある雰囲気をまとっている。

実は、脳を休ませることと創造性には密接した関係がある。彼らはすべての時間を創作に捧げているのではなく、現場から離れてボーッとする時間を意識的に設けている。脳を休ませてエネルギーを回復する隙間時間をつくることで、後世に残るような名曲を生み出しているのだ。

一方、ただがむしゃらに働いているビジネスパーソンは脳の休め方を知らない。こういった働きぶりは短時間の集中はできても、長い時間、高密度の仕事をすることはできない。つまり、なかなか仕事のクオリティを上げられないということだ。

がむしゃらだけでは結果が出ない。それを知っている一流のクリエイターは、あえて脳を休ませる時間をつくるのだ。

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要約公開日 2024.07.29
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