会話をするうえで大切な原則は「誰しも最大の関心事は自分自身である」ということだ。お互いに関心が自分に向いていると、噛み合わない会話が生まれることがある。
たとえば、娘が母に「やっと退院できたけど、手術痕が痛くて、夜も眠れないの」と言ったとする。ここで母親から「大丈夫?」のひと言があれば、娘は共感されたと感じ、会話が続くはずだ。しかし、母親の関心が自分自身に向いていた場合、「私、昨日から小指にササクレができちゃって、痛くって……」と、噛み合わない返答をしてしまうことがあるかもしれない。
自分の話ばかりする人は、相手にまずい料理を出しているようなものだ。相手が美味しいと感じる話題にするために、意識すべきなのはたった3点。「相手の関心事を話題にする」「愚痴や悪口を言わない」「自慢をしない」だ。話題を相手好みの味つけで出せば、相手もあなたの話を最後まで聞いてくれるはずだ。
ラポール(信頼関係)を構築するうえではペーシング(同調行動)が重要だといわれているが、意識的より無意識的な部分を合わせるほうがより効果的である。なかでも、呼吸は重要だ。
仲がいいことを「息が合っている」と表現するが、仲のいい人同士は実際に同じタイミングで息を吸い込んでいて、自然に息が合っているものだ。なかなか寝ない赤ちゃんも抱っこして呼吸を合わせるとあっという間に寝てしまう。これはお昼寝の時間に保育士さんが使うプロの技でもある。
会話においては、呼吸は話すリズムに現れる。相手の話すスピードに合わせるとラポール(信頼関係)が生まれ、自分の話や意見を受け入れてもらえる確率がアップする。
生存欲求にも直結している呼吸は、命のリズムでもある。相手の呼吸と話すスピードに合わせると、深い安心感が生まれる。人から愛される人は、相手の命のリズムに合わせて話すことができ、意識的に信頼関係を築くことができる。
3,400冊以上の要約が楽しめる