現代社会はいわば「不安情報社会」だ。不安を煽るような情報ばかりが報道され、人が憎しみ合い、人と人を比べ、人に優劣がつけられる。こうした社会のあり方は、まわりまわって貧富やいじめ、うつ病の問題につながっているのではないだろうか。
このような問題の原因の一つは「定住」にあるかもしれない。
人類の歴史を遡ると、定住によって文明が生まれたのは確かだ。ただその一方で、権力が生まれ、「より得する側」と「より損する側」というヒエラルキーがつくり出されたのも、定住によってである。
狩猟時代の人類は、サバイバル能力がないと生き残れなかった。常に食料が手に入るとは限らないし、敵がいつ襲ってくるかもわからないからだ。
狩猟時代とは違う意味で、現代も変化の激しい、予測不可能な時代だといえる。ところが私たち日本人は、たった一つの答えを見つける教育しか受けてきていないから、予想外の出来事への対処が苦手だ。
そんな私たちがサバイバル能力をつけるには、日本のルールが通用しない国に行くのが近道だ。もしくは、会社員を辞めたり引っ越しをしたりして、今までのルールが通用しない状態をつくる手もある。
著者は38歳のとき、勤めていた出版社を辞めて独立し、ハワイに移住した。
会社員だったときは東京からほとんど動かなかったが、独立後は毎週のように日本全国を飛び回り、毎月アメリカと日本を往復している。そんな生活を経て、年収はどんどん上がっていき、本を出版するなど、会社員時代では考えられないような生き方になっていった。「定住」「安定」という環境から飛び出しただけで、自分の才能と能力が覚醒したのだ。
「定住」「安定」の環境にいるとき、私たちのキャラクターは固定されている。結果として、能力が制限され、人生は徹底的につまらないものになる。
人生を変えるというのは、自分のキャラクターを変えることに尽きる。つまり人生を変える近道は、環境を変えることによって新たなキャラクターを獲得することなのである。
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