仕事も人間関係もうまくいく引きずらない力

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仕事も人間関係もうまくいく引きずらない力
出版社
出版日
2024年06月05日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

情報社会で生きる私たちは、より短い時間でたくさんの情報を処理することに追われている。人間関係では、自分を押し殺してまわりに合わせることに神経をすり減らしている人も少なくない。プレッシャーの多い日々の中、私たちはささいなことで傷ついたりモヤモヤしたりしている。

そんな私たちに本書が提案するのが「引きずらない力」である。「引きずらない力」とは、いい意味で「鈍感」になること。物事に執着すると生まれるのが「引きずる力」なら、その対極にある、物事に「執着しない」ことだと捉えてもいい。

本書の著者は曹洞宗の住職であり、庭園デザイナーや大学教授の肩書きも持つ枡野俊明氏だ。そんな著者が、禅宗の考え方に基づいた助言を日常に応用できる形で提示している。見開きページの右に寸言、左にその解説が書かれているというシンプルな構成だ。やさしい文章で綴られていて、するすると読み進められる。

著者は本書の冒頭で、「感情は自然なものだからクヨクヨ・イライラするのは仕方ないが、その感情を『引きずる』のはよくない」と説いている。本書では「引きずらない力」をつけて、気持ちを前向きに切り替える99の知恵が紹介されている。

普段の生活で、後悔に苛まれたり不安になったり、ささいなことに怒りがちだと感じたら、迷わず本書を開いて欲しい。ささくれ立った心がすーっと穏やかになるはずだ。

ライター画像
Harumi Yaguchi

著者

枡野俊明(ますの しゅんみょう)
1953年、神奈川県生まれ。曹洞宗徳雄山建功寺住職、庭園デザイナー、多摩美術大学名誉教授。大学卒業後、大本山總持寺で修行。禅の思想と日本の伝統文化に根ざした「禅の庭」の創作活動を行ない、国内外から高い評価を得る。芸術選奨文部大臣新人賞を庭園デザイナーとして初受賞。ドイツ連邦共和国功労勲章功労十字小綬章を受章。また、2006年「ニューズウィーク」誌日本版にて「世界が尊敬する日本人100人」にも選出される。近年は執筆や講演活動も積極的に行なう。
主な著書に、『人生を好転させる掃除道』(三笠書房)、『仕事も人間関係もうまくいく放っておく力』『仕事も人生もうまくいく整える力』『心配事の9割は起こらない』『小さな悟り』『上手な心の守り方』『リーダーの禅語』(以上、三笠書房《知的生きかた文庫》)などベストセラー・ロングセラーが多数ある。

本書の要点

  • 要点
    1
    世の中に自分と同じ人間はいない。「自分と人は違っていて当たり前」と割り切れば不安や怒りは生まれず、人間関係もうまくいくようになる。
  • 要点
    2
    何かを選択するときは「選ぶ」ことをやめて「どっちでもいい」と考えよう。選ぶ必要があるときは「ご縁」のあるほうを優先すればいい。
  • 要点
    3
    忙しいときこそ規則正しい生活をしよう。請け負う仕事は「自分の能力の2割増しくらい」がちょうどいい。
  • 要点
    4
    過去や未来のことに思い悩むのは無意味である。今日に集中し、目の前のことに全力を尽くすことが大切だ。

要約

「人間関係」をこじらせない

人はみんな違うと考える

世の中に一人として同じ人間はいない。家族でも、親しい友人でも、趣味趣向や思考回路が自分と似ていると思える人でも、自分とは違う。

禅語には「宇宙無双日 乾坤只一人」という言葉がある。宇宙に太陽が2つないように、私という人間も天と地の間にただ一人だけの存在という意味だ。

容姿や体格、性格、そして能力や価値観まで、「自分とすべて同じ」という人は存在しない。だが私たちは、自分と違う考え方や行動をする人を見ると「それはおかしい」と腹を立ててしまう。

人は自分と違っていて当たり前、と割り切ろう。そうすれば、不安や怒りが生まれにくくなり、人間関係もうまくいくようになるだろう。

勝手に期待しない
JLco - Julia Amaral/gettyimages

人に期待するのは構わない。がんばってほしいという思いは相手に伝わり、「よし、やるぞ!」という気にさせるからだ。ワールドカップやオリンピックで選手に国民が期待をするのは、その最たるものだろう。

しかし、期待をすることで相手にプレッシャーを与えてしまうこともある。期待をかけた人が期待どおりの結果を出せないとき、勝手に裏切られたような気持ちになる人がいるが、それはお門違いというものだ。

人に期待するときは、結果を求める気持ちを脇に置こう。期待していることを伝えて応援したら、あとはどんな結果であろうと淡々と受け止める。「がんばったね」「残念だったね」でいいのである。

自分の「正義」に溺れない

「正しいこと」が常に通るとは限らない。実際、「それは正論かもしれないけど、現実離れしてないか」と受け入れられないこともあるし、「正論」を吐く人が嫌われることも少なくない。世の中にはさまざまな立場や考え方の人がいて、自分が考える「正義」が、人にとってはそうだとは限らないからだ。

まず自分にとっての「正義」が、ほかの人にも当てはまるかを疑ってみよう。そして自分の考えを伝えるときは、「こんなことを思いついた」「自分はこう考えている」と自身の考えを手短に伝えてから、「みんなはどう思う?」と投げかける。一方的に自身の考えを主張するよりも、そのほうが素直に聞いてもらえるし、ほかのアイデアも出やすくなる。さまざまな視点から意見を出し合うことで、いいものが生まれる確率も高まるはずだ。

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要約公開日 2024.08.13
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