自己肯定感は「人生を支える軸となるエネルギー」である。周囲の環境などが影響して上下動するものであり、もともと高い人、低い人がいるが、「何歳からでも後天的に育てることができる」。
自分がどう感じているか客観視することを、心理学では「自己認知」という。私たちの感情はマイナスからいきなりプラスに転じることはなく、いったんフラットな状態を経由する。自分の自己肯定感の状態を認識できていれば、いつでも自分をフラットな状態に戻し、冷静に感情をコントロールすることができる。
自己肯定感の高め方は2つあるという。瞬発型の「自己肯定感がパッと一瞬で高まる方法」と、持続型の「自己肯定感をじわじわと高める方法」だ。具体的にはあとで紹介するが、これらを組み合わせながら、小さなステップを踏む感覚が重要となる。1つのワークを達成したときに、自分に対して「よくやったね」といったご褒美の言葉をかけることで、自己肯定感の湧き出すさまが潜在意識まで根づく。そうしてモチベーションを持続させる考え方を、アメリカの心理学者バラス・スキナーは「スモールステップの原理」と呼んだ。脳の報酬系に働きかける小さな成功体験の積み重ねによって、自己肯定感は勝手に高まるのだ。
自己肯定感を低下させる要因は、「過去の失敗へのこだわりやトラウマ」と「他人との比較や劣等感」である。過去のトラウマや劣等感があると、存在の安心を得るために承認欲求が強くなる。しかし、自分で自分を認められない状態なので、行動が他者依存的になってしまう。逆に言えば、認められたいと感じるのは自己肯定感が低くなっているからなのだ。
どうしても忘れられない失敗などがあるなら、「そのまま放置して残しておくこと」だ。過去の出来事も他者も、自分の力では変えられない。そんなことに悩んでも仕方ないと自分が納得していれば、自然と忘れていける。
自己肯定感は6つの感に支えられているという。自分には価値があると思える「自尊感情」、ありのままの自分を認める「自己受容感」、自分にはできると思える「自己効力感」、自分を信じられる「自己信頼感」、自分で決定できる「自己決定感」、そして自分は役に立っているという「自己有用感」の6つだ。これらがダメージを受けると自己肯定感全体のバランスが崩れるし、どれかが満たされるとほかにプラスの影響をもたらすこともある。要約では「自尊感情」「自己効力感」「自己決定感」の3つを紹介しよう。
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