あっという間に人は死ぬから

「時間を食べつくすモンスター」の正体と倒し方
未読
あっという間に人は死ぬから
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「時間を食べつくすモンスター」の正体と倒し方
未読
あっという間に人は死ぬから
出版社
出版日
2024年07月19日
評点
総合
3.7
明瞭性
3.5
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

「あっという間に人は死ぬ」。

そう言われて、どれだけの人が自分が死ぬそのときのことを想像できるだろうか。自分もいつか死ぬのだと誰もが頭ではわかっている。だが、「いつか」は遠い未来のことのように思えてしまう。納得のいかない毎日を送っていたとしても、「いつか」自分らしい人生が送れるようになると漠然と思っているうちに、あっという間に人生が終わってしまった――。 「こんなはずではなかった」と思ってからではもう遅いのである。

人生を有意義に、納得のいくかたちで過ごしたい。そんな誰しもが抱えているであろう願いに挑むのは、リサーチャーとして、企業、行政、学校などの組織のデータ分析や、商品開発・マーケティング支援、新規事業開発支援などを行なっている“サトマイ”こと佐藤舞氏である。リサーチャーらしく、本書でも研究的なエビデンスを豊富に引用しながら、後悔しない人生の時間の使い方を体系的に整理している。

本書のテーマは時間であるが、「時短術」や「効率術」を扱うのではない。「人生の浪費の正体」「人生の3つの理(ことわり)」「自分の本心」「本心に従った行動」の順に、自分にとって有意義な時間の使い方を探り、自分の内面に問い直すことを目的としている。

後悔のない生き方が何かは、自分の心に問いかけるしかない。本書を読み終われば、自分が人生で向かいたい方向をつかむことができるはずだ。

ライター画像
池田明季哉

著者

佐藤舞(さとう まい)(サトマイ)
データ分析、活用コンサルタント。ビジネス統計学の専門家。合同会社デジタルクリエイト代表社員。ビジネス系YouTuber。SNS総フォロワー40万超(2024年6月現在)。桜花学園大学客員教授。
「確率・統計を使い、知的かつ面白く、世の中の謎を解く」をコンセプトに情報発信中。「就職活動から起業するまでの間、人生がぐるぐる迷走してました。『これからどこに向かえばいいのか分からない』そんなあなたの人生の羅針盤となるよう(=価値観がわかるよう)、想いを込めて本書を書きました。ご興味があれば、ぜひ!」。
国立福島大学卒業後、会社員としてパチンコ店などで働いたものの、会社になじめず、うつ病気味に退職。「このままでは、なんか、いろいろ溶けそう」という焦りから、見切り発車的に起業するが、ぐるぐる迷走人生に突入。学生時代、①統計学・マーケティング・消費者心理を学んだこと、②株式会社野村総合研究所主催の「マーケティング分析コンテスト」に入賞していたこと、の2点に活路を見出し、データ分析・統計解析事業をスタート。26歳で独立。学生時代は仕方なく学んでいた統計の知識が、人生を好転させるための情報探索(リサーチ)に生かせることに気づく。そこからは「ぐるぐる迷走人生」から脱却し、順調に毎日を積み上げる。現在は、企業のマーケティングリサーチや需要予測調査、商品開発支援などを行いながら、ビジネス統計学の専門家としてYouTubeや講演活動を通じて情報発信を行う日々。著書『はじめての統計学 レジの行列が早く進むのは、どっち!?』(総合法令出版)は、都内の国立中学校の入試問題で引用。好きな食べ物は、緑のバナナ。最近の悩みは、旅行で同室になった人に「昨晩電話してた?」と聞かれるほど、“騒音寝言”を解き放ってしまうこと

YouTube:『謎解き統計学|サトマイ』
X:@satou_rco
TikTok:@satoumai

本書の要点

  • 要点
    1
    私たちは「時間がない」と嘆く一方、スマホいじりなどで時間を浪費している。有意義な時間を過ごさねば、人生はあっという間に終わってしまう。
  • 要点
    2
    人生には「死」「孤独」「責任」という、逃れられない3つの理(ことわり)がある。この現実から目をそらし、不安を紛らわせるため“代替の行動”で時間とお金を浪費することこそが、「人生の浪費」の正体である。
  • 要点
    3
    人生を有意義に過ごすには、「目的」「目標」「手段」の3段階で、自分の価値観に合った目標設定をすることが有効だ。
  • 要点
    4
    人生を後悔なく生きる秘訣は、自分の価値観を見つけ、自分の人生に主体的に関わることである。

要約

「充実した時間」を取り戻すために

大人の時間感覚は歪んでいる
xavierarnau/gettyimages

大人になるとなぜ、時間に追われるようになるのだろう。

著者は小学校の頃、20分ほどの休み時間には校庭に向かい、ときにはオリジナルの遊びを生み出しながら、時間いっぱい創造的で健康的な時間に没頭していた。しかし大人になった今では「20分では何もできない」と感じ、手元のスマホで時間を浪費してしまうことがある。

本書のテーマは時間であるが、扱うのは「時短術」や「効率術」ではない。「時間がない」と嘆いているのに、スマホいじりなどで時間を浪費してしまう。そんなチクハグな時間感覚から抜け出し、生きていることそのものを楽しむような瞬間を取り戻すことが目的だ。

「大人になると時間の進み方が早くなる」理由には諸説ある。スターリング大学の実験によると、「周囲の文脈から対象を把握する脳の能力は、成長とともにゆっくりと発達する」という。何かを判断する時、大人になるにつれ経験から推測したり、場の空気を読んだりすることを覚えていく。それは脳の省エネのために有効ではあるが、「思い込み」にとらわれて、現実によくない影響をおよぼすこともある。

時間の感覚もその一例である。小学校の時の時間感覚を失ってしまうのは、大人になった現在の時空が歪んでいるからかもしれないのだ。

現代は昔に比べて便利になったはずなのに、時間はあっという間に過ぎていっているように感じる。本書は現代人の課題を「有意義な時間の使い方」にあると考え、後悔しない人生を送るための方法を体系的に整理する。

「人生の浪費」の正体

なぜ「有意義な人生」が送れないのか

時間術について書かれた書籍は多い。こうした本を読むと、人間は時間を自由自在にコントロールできるかのような錯覚に陥る。しかし、現実にはそううまくいかない。お金は使わなければ貯められるが、時間は貯金ができない。時間は使っても使わなくても、刻一刻と失われるのである。

著者は、「有意義な時間を過ごす」というテーマに対し、ある前提をおいた。それは、人は本当は有意義な時間を過ごしたいと思っているが、やるべきことをしようとすると邪魔が入り、後回しにしてしまっている、ということだ。これが繰り返されると、「日々をこなす」だけで時間が過ぎてしまい、「このままでいいのかな」という漠然とした焦りや不安が生まれるのではないだろうか。

時間の使い方に関する真の課題は、当の本人すら「自分にとって有意義な時間とはなにか」、そして「有意義な時間を邪魔するものの正体」も分かっていないことである。

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要約公開日 2024.08.19
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