アップルの創業者、スティーブ・ジョブズは、「最も重要な決定とは、何をするかではなく、何をしないかを決めることだ」という言葉を遺している。人生には必ず終わりがやって来るし、ずっと休みなく働き続けることはできない。人の時間もエネルギーも有限だ。
要領のいい人たちは、時間やエネルギーが有限であることを理解し、成果につながる仕事やより重要な活動に集中している。自分の目標や価値観に基づいて、力を入れる「やること」と、力を抜く「やらないこと」を明確に区別しているのだ。
著者はかつて、その区別ができていなかった。どんな仕事も迷わず受け、「自分がやらなくてもいいこと」にまで全力で取り組んでいたのだ。だが、自分がすり減るような感覚を抱くようになり、興味や気分に合わない仕事は断るようにした結果、最小限の努力で成果が出るようになっていった。
忙しいと何かをしている気になってしまうものだが、忙しいからといって価値を作り出せているとは限らない。まずは「その仕事をやらなかったら、どうなるか?」と自問してみよう。不要な仕事であることに気づいたり、より良い方法が見つかったりするかもしれない。「やらないこと」を決め、本当に重要なことにだけ集中するのが、人生を豊かにする秘訣だ。
世界的な名サッカープレイヤー、リオネル・メッシは、試合中に常に全力で走っているわけではない。ゴールの瞬間や試合の行方を左右する決定的なシーン以外は休んでいることもある。重要な場面で力を発揮するために、余力を蓄えているのだ。
パレートの法則に従えば、全体の20%の努力で80%の成果が得られる。要領がいい人たちは、力の入れどころを見極め、本当に大切な20%のタスクに焦点を当て、残りの80%のタスクは頑張りすぎないようにしている。
力の入れどころをコントロールしていると、ここぞというシーンで全力を出せるだけでなく、長期にわたって安定的なパフォーマンスを発揮しやすくなる。現役として長く働き続けなければならない現代において、常に全力疾走を続けるのは難しい。目の前のタスクが大きな目標にどう貢献していくかを見極め、重要な場面で全力を尽くす働き方にシフトしていくべきだ。
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