努力革命

ラクをするから成果が出る! アフターGPTの成長術
未読
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ラクをするから成果が出る! アフターGPTの成長術
未読
努力革命
出版社
出版日
2024年05月20日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

ChatGPTが登場して数年が経つが、本当の意味で活用できている人は決して多くないだろう。刻一刻と変化するこの時代を航海するために最も有益なツールの一つであることに、大半の人々はまだ気づいていないように思う。だが本書を読めば、きっと考えが変わるはずだ。

本書の著者は、『1分で話せ』の伊藤羊一氏と『プロセスエコノミー』の尾原和啓氏だ。伊藤氏はLINEヤフーアカデミア学長として次世代リーダー開発に携わり、尾原氏は事業立ち上げ・投資が専門である。2人の共通点は「これからのリーダーに必要なものは何か」という視点を持ちつつ、常に新しいことにチャレンジしているという点だ。

本書ではそんな2人が、アフターGPTの“正しい努力”の仕方を教えてくれる。ChatGPTを用いて壁打ちしたり、「頭の良さ」「経験」「センス」をコピーしたりできる今、“正しい努力”のあり方は大きく変わったようだ。大量のトレーニングをして思考力を身につけたり、がむしゃらに経験を積んでセンスを磨いたりするのは、もはや“正しい努力”とは言えない。

ChatGPTを使いこなせれば、誰もがラクに楽しく成長し、多くのチャンスを得られる――。このような「努力革命」が起こっていることを、本書を読めば理解できるだろう。自分には使いこなせそうにないからといってChatGPTを遠ざけている人、使ってみたけれど期待外れだったという人、成長のスピードを速めたい人をはじめ、今を生きるビジネスパーソン全員におすすめする一冊である。

ライター画像
鈴木えり

著者

伊藤羊一(いとう よういち)
アントレプレナーシップを抱き、世界をより良いものにするために活動する次世代リーダーを育成するスペシャリスト。2021年より武蔵野大学アントレプレナーシップ学部(武蔵野EMC)を開設し学部長に。23年6月にスタートアップスタジオ「Musashino Valley」をオープン。「次のステップ」に踏み出そうとするすべての人を支援する。また、LINEヤフーアカデミア学長として次世代リーダー開発を行う。代表作『1分で話せ』(SBクリエイティブ)は60万部超のベストセラー。

尾原和啓(おばら かずひろ)
IT批評家。京都大学大学院で人工知能を研究。マッキンゼー、Google、iモード、楽天執行役員、リクルートなど、事業立ち上げ・投資を専門とし、内閣府新AI戦略検討、経産省対外通商政策委員等を歴任。現在13職目。NHK「令和ネット論」にてChatGPT/DXなどを解説。『モチベーション革命』(幻冬舎)は、2018年Amazon Kindle Unlimited年間1位。『アフターデジタル』(藤井保文氏との共著、日経BP)は元経済産業大臣・世耕弘成氏より推挙され、11万部超のベストセラーに。『プロセスエコノミー』(幻冬舎)は「読者が選ぶビジネス書グランプリ2022」にてイノベーション部門受賞。著書は、韓国・台湾・中国などで多数翻訳されている。

本書の要点

  • 要点
    1
    ChatGPTは格好の壁打ち相手になってくれる。コツは「ざっくり→じっくり」の順で質問を繰り返すことだ。
  • 要点
    2
    ChatGPTを使えば、頭の良い人の思考回路を簡単にコピーできる。「ファクト→抽象化→転用」によって企画のアイデア出しをするのも、ChatGPTを使えば簡単だ。
  • 要点
    3
    ChatGPTは、論理的思考や合理性の積み重ねは得意だが、それを超えた非合理的な決断をする「飛ぶ力」は備えていない。これからの時代は、「飛ぶ力」を用いた意思決定こそが人間の役割となる。

要約

ChatGPTがもたらした3つのゲームチェンジ

「80点」が合格ラインでなくスタート地点になる

ChatGPTをはじめとする生成AIは、ビジネスの世界に3つの変化をもたらした。

1つ目の変化は、「80点」が合格ラインでなくスタート地点になることだ。

2023年11月に日本の一般企業向けにサービス提供を開始した「Microsoft 365 Copilot(コパイロット)」は、会議の議事録作成、役割に応じたToDoリストの振り分け、商談の下調べ、プレゼン資料作成などを自動化できるツールだ。

こうした仕事は、今までホワイトカラーと呼ばれる職種の人たちがやってきた「80点までの仕事」にあたる。これまでは「80点までの仕事」ができれば十分合格といえたが、これからの時代はAIがその仕事を担ってくれるから、「80点」は単なるスタート地点になる。人間に求められるのは、「100点」や「120点」を目指し、お客さんを感動させられるようなアウトプットを生み出すことだ。

あらゆる物事は「個別化」していく
Rawpixel/gettyimages

2つ目の変化は、あらゆる物事が個別化していくことだ。

たとえば新NISAについて知りたいとき、生成AIを使えば、「小学生でもわかるように説明してください」「すでにiDeCoをやっている人が、新NISAも始めるときに、注意しなければならないことはありますか?」などと質問することで、個別化した回答を受け取れる。

この性質はビジネスや社会のあり方を大きく変えるだろう。教育の場では学ぶ側の進捗や興味に合わせた指導ができるし、ビジネスの現場では1000人の顧客に1000通りのセールスレターを用意することも可能だ。

正解主義から修正主義へ

3つ目の変化は、正解主義から修正主義になることだ。

これまでの社会には確固たる「正解」があり、それに最短距離でたどりつく力が求められていた。ところが、AIが常に80点の答えを準備してくれる時代においては、正解を出す力だけでは勝負できない。修正を繰り返しながらブラッシュアップしていく力が求められる。

また、正解主義から抜け出せない人は、AIがライバルとなる中、成果を出せずに疲弊していく。一方、「これ好き!」「面白い」を発信できる人、「だってやりたいんだもん」と言い切れる人、尖った強みを持つ人は、AIと張り合う必要がないため、自分らしく活躍できるだろう。

ChatGPTを壁打ち相手にする

ChatGPTと新しいものを「共創」する5つのステップ
Luke Chan/gettyimages

ChatGPTは壁打ち相手として最適だ。ChatGPTとの対話により、自分の考えを整理し、アイデアを練ったり、問題の解決策を探したりしながら、ともに新しいものを「共創」できる。ここでは、そのプロセスを5つのステップで紹介する。

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要約公開日 2024.09.02
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