完璧主義な人は、完璧でないと満足できない。しかし、完璧にはキリがないから永遠に満たされず、結果的に人生の満足度が下がってしまう。
「完璧主義だからこそ達成感があり満足できる」という人もいるかもしれない。しかしそれは、自分が目指す「完璧」に努力で追いつき、追いついたら次の完璧を求めてまた努力しているのであり、人生の満足度をまるで自転車操業のように維持しているだけなのだ。
この状態には余裕がない。環境や体調の変化など、何かあれば崩れてしまうだろう。いつもパーフェクトということはあり得ない。そうなると、完璧主義がゆえにできなかったことがストレスとなり、落ち込んでしまう。落ち込むことでよりできなくなり、自己評価が下がる。その結果、人生の不満がたまっていく、という負のスパイラルに陥る。
そこで著者が提唱するのが、適度にほどほどに生きる「ほどほど力」である。「ほどほどなんて張り合いがない」と感じるかもしれない。だが、「ほどほど力」とは「適切に頑張るところと、ほどほどにするところを使い分ける力」であり、器用な完璧主義とも言える。
完璧にしたい部分は完璧にするが、そうでない部分はほどほどでいい。真の強さは、しなやかに生きることで得られるのだ。
「ほどほど力」を身につけるための最初のステップは、自分が完璧にしたいところとそうでないところを区別することだ。「必要なこだわり」と「必要でないこだわり」を分けて、書き出してみよう。
たとえば、著者のこだわりは次のとおりである。
・健康でいる
・人間関係を良好に保つ
・仕事が適度に充実している
・趣味や遊びの時間も適切にとれる
これらを必要なこだわりと必要でないこだわりに分けるためには、より内容を具体的にし、こだわりの解像度を上げていく必要がある。
一例として、「健康でいる」ことの解像度を上げてみよう。健康の基準は人によって異なる。あなたにとっての健康は、筋肉ムキムキのマッチョで風邪をひかないことだろうか。それとも、自分で動くことができて自立した生活ができることだろうか。
著者にとっての「健康」は、大きな怪我や病気をせず、健康的な体型を維持し、規則正しい生活ができることである。マッチョになりたいという気持ちもあるが、厳しい食事制限やトレーニングは年齢的なことを考えてリストから外した。マッチョは一番大切なものではないからだ。
大切なのは、具体的に考え、優先順位を意識することだ。それだけでも、「ほどほど力」の基本は身につけることができる。
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