精神科医Tomyのほどほど力

全力投球は、もう卒業よ
未読
精神科医Tomyのほどほど力
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全力投球は、もう卒業よ
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精神科医Tomyのほどほど力
出版社
出版日
2024年04月15日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

「完璧主義の何が悪い」。そう思ったら、本書をぜひ手に取っていただきたい。完璧主義は「完璧ではないこと」を、思い知るのではないだろうか。

本書が提唱しているのは、「ほどほど力」である。完璧であろうとせず、ほどほどに適度を心がける。完璧主義の人は、「そんなゆるい生き方は無理だ」と思うかもしれない。しかし、実は物事はほどほどにしたほうが望む結果に近づけるのだ。

著者は、精神科医のTоmy氏である。『精神科医Tоmyの気にしない力』など数多くの著書を持ち、メディアでも活躍している。Ⅹ(旧ツイッター)では、ハッとさせられるような人生の教訓と、「アテクシ」「~なのよ」「~だわ」などの独特な語り口が話題を呼び、2024年6月現在、39万人を超えるフォロワーを持つほどの人気ぶりだ。

そんなTomy氏もクリニック開院当初は、当時のパートナーの死も重なり、「ほどほど力」を忘れ、全力投球で働いていたことがある。その結果、クリニックには多くの患者が訪れるようになったが、Tomy氏自身は重度の不眠やうつ状態に悩まされるようになり、体調が戻るまで何年もの時間を要したという。完璧を目指し全力投球することで得られるものは確かにあるかもしれないが、一方で大切なものを失いかねないのだ。

自分にとって大切なことを見極め、それを手に入れるのが「ほどほど力」である。頑張りすぎて疲れてしまった人はもちろん、これからの人生をどう生きるかと考え始めた人にもおすすめしたい。

ライター画像
中山寒稀

著者

精神科医Tomy(せいしんかい とみー)
1978年生まれ。名古屋大学医学部卒業後、医師免許取得。精神保険指定医、日本精神神経学会専門医。2019年6月から本格的に旧ツイッターで投稿を開始すると大きな反響を呼び、現在はフォロワー39万人超。
著書に『精神科医Tоmyの気にしない力』(だいわ文庫)、『精神科医Tоmyが教える30代を悩まず生きる言葉』、『精神科医Tоmyが教える1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』、小説『精神科医Tоmyが教える心の荷物の手放し方』(以上、ダイヤモンド社)、『穏やかに生きる術』(KADOKAWA)、『「内向的な人」の幸福戦略』(朝日新聞出版)ほか多数。
X:@PdoctorTomy
Voicy:https://voicy.jp/channel/2157

本書の要点

  • 要点
    1
    完璧主義は、自分が目指す「完璧」を努力で追い続ける自転車操業のようなもので、いつか限界が来る。
  • 要点
    2
    「ほどほど力」とは、頑張るところと力を抜いてほどほどにするところを使い分ける力だ。「器用な完璧主義」とも言える。
  • 要点
    3
    脳はパソコンのメモリと同様、タスクが極度に集中するとフリーズしてしまう。こまめに休憩をとることが大切だ。
  • 要点
    4
    「ほどほど力」を身につけるためには、優先順位をつけ、行動の指針となる「自分軸」を見出すことが重要だ。

要約

【必読ポイント!】 こだわりを捨てる

完璧に終わりはない

完璧主義な人は、完璧でないと満足できない。しかし、完璧にはキリがないから永遠に満たされず、結果的に人生の満足度が下がってしまう。

「完璧主義だからこそ達成感があり満足できる」という人もいるかもしれない。しかしそれは、自分が目指す「完璧」に努力で追いつき、追いついたら次の完璧を求めてまた努力しているのであり、人生の満足度をまるで自転車操業のように維持しているだけなのだ。

この状態には余裕がない。環境や体調の変化など、何かあれば崩れてしまうだろう。いつもパーフェクトということはあり得ない。そうなると、完璧主義がゆえにできなかったことがストレスとなり、落ち込んでしまう。落ち込むことでよりできなくなり、自己評価が下がる。その結果、人生の不満がたまっていく、という負のスパイラルに陥る。

そこで著者が提唱するのが、適度にほどほどに生きる「ほどほど力」である。「ほどほどなんて張り合いがない」と感じるかもしれない。だが、「ほどほど力」とは「適切に頑張るところと、ほどほどにするところを使い分ける力」であり、器用な完璧主義とも言える。

完璧にしたい部分は完璧にするが、そうでない部分はほどほどでいい。真の強さは、しなやかに生きることで得られるのだ。

こだわりの解像度を上げる
PeopleImages/gettyimages

「ほどほど力」を身につけるための最初のステップは、自分が完璧にしたいところとそうでないところを区別することだ。「必要なこだわり」と「必要でないこだわり」を分けて、書き出してみよう。

たとえば、著者のこだわりは次のとおりである。

・健康でいる

・人間関係を良好に保つ

・仕事が適度に充実している

・趣味や遊びの時間も適切にとれる

これらを必要なこだわりと必要でないこだわりに分けるためには、より内容を具体的にし、こだわりの解像度を上げていく必要がある。

一例として、「健康でいる」ことの解像度を上げてみよう。健康の基準は人によって異なる。あなたにとっての健康は、筋肉ムキムキのマッチョで風邪をひかないことだろうか。それとも、自分で動くことができて自立した生活ができることだろうか。

著者にとっての「健康」は、大きな怪我や病気をせず、健康的な体型を維持し、規則正しい生活ができることである。マッチョになりたいという気持ちもあるが、厳しい食事制限やトレーニングは年齢的なことを考えてリストから外した。マッチョは一番大切なものではないからだ。

大切なのは、具体的に考え、優先順位を意識することだ。それだけでも、「ほどほど力」の基本は身につけることができる。

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要約公開日 2024.09.05
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