「しんどい心」がラクになる本

未読
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「しんどい心」がラクになる本
出版社
出版日
2024年06月20日
評点
総合
3.5
明瞭性
4.0
革新性
3.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

「なんで自分だけうまくいかないんだろう」「みんなみたいにちゃんとできない自分がイヤ」。

そんなふうに感じたことがあったら、本書をおすすめしたい。

悩みがあるときや心にしんどさを抱えているときは、「こんな悩み自分だけかもしれない」と思いがちだ。しかし、本書によれば、日本ではおよそ5人に一人が生涯に一度、心の病気を経験するという。つまり、「私だけかもしれない」と感じている悩みは、多くの人も経験していることなのだ。本書の著者、心理カウンセラーのきい氏も、心の病気を経験したことがある。きい氏は、強い「ネガティブ思考」ゆえに、頻繁に悩み苦しんでいたが、「心」について学ぶうちに、多くの人が「共通の見えない悩み」を抱えていることを知ったそうだ。そんな著者は、生きづらい人は考え方にクセがあるだけで、本人に落ち度があるわけではないと呼びかける。この言葉だけでも、悩んでいる心が少し軽くなる気がする。

本書では、55項目の陥りやすい「苦しい心の状態」が紹介されており、かわいいたぬきの相談役が登場するマンガを交えて、自分の心の状態とそれから抜け出すヒントが掲載されている。自分にあてはまる項目があったら、そこを確認してみるといいだろう。

自分に対する考え方は、コミュニケーション時の相手への対応に現れる。自分の心がしんどければ、相手にも負荷をかけることになってしまう。「心のしんどさ」を感じているならば、ぜひ本書からヒントを得て、役立ててみてほしい。

著者

きい
1987年生まれ、福岡県出身。心理カウンセラー。武蔵野美術大学卒業。統合失調症、適応障害の経験から認知療法やアドラー心理学などを学び、抑うつ状態を改善。インスタグラムで発信する心理学の考え方や役に立つ知識が評判に。現在は、活躍の場をカウンセリングや講座開催、オンラインサロンにも広げ、多くの人から共感を得ている。
著書に『「私は自分が好き」と言うことから始めよう』(大和出版)がある。
インスタグラム:@kiitanuma

ゆうきゆう
精神科医・マンガ原作者。東京大学医学部卒業。
ゆうメンタルクリニック・ゆうスキンクリニックグループ総院長。
医師業のかたわら心理学系サイトの運営、書籍執筆なども手がける。
Jam氏との共著『マンガ版 ちょっとだけ・こっそり・素早く「言い返す」技術』(三笠書房)のほか、シリーズ累計300万部を超える『マンガで分かる心療内科』(イラスト:ソウ/少年画報社)などマンガ原作、著書が多数ある。

本書の要点

  • 要点
    1
    常に理想の状態に近づくため行動する「完璧主義者」は、思い描いた結果に終わらなければ、自分を責めて落ち込んでしまいがちだ。他人も自分も「ほどほどでいい」と思えるようになるとラクになる。
  • 要点
    2
    相手からの評価を気にするあまり、自分の感情を抑え込むことはやめよう。自分の感情を後回しにすると、つらい状態に陥っていることに気づけなくなることもある。もっと「自分本位」で生きてよい。
  • 要点
    3
    「恐怖」は生きるうえで不可欠な感情である。人が持っていて当然の10個の恐怖の中から、自分が何に恐怖を抱くのかを把握しておくと、自身を扱いやすくなる。

要約

【必読ポイント!】 「ほどほどでいい」でラクになる

苦しい完璧主義の人

「完璧主義の人」の特徴として、「適当が苦手」「些細なことが気になって仕方ない」「理想が高く低評価が怖い」「理想と比較してできないことや足りないことに意識が向く」といったことが挙げられる。「できることを増やして質を高めたい」という意欲は、伸ばすべき才能だ。しかし、100%完璧にできないと落ち込んでしまうのであれば、それはつらく苦しい完璧主義だ。

完璧にしたいという気持ちは、拒絶される恐怖の裏返しだ。完璧主義な自分を客観的に見つめ、気持ちをゆるめる考え方のコツを知っていこう。

「〜すべき」にとらわれない
fizkes/gettyimages

他人に“イラッ”とすることは誰にでもある。しかし、次から次へとイライラしてしまうのは苦しいものだ。怒りがピキッと走ったら、そのイラッについて少し考えてみよう。「普通はこう」「こんなことするなんて信じられない」というイラッの背景には、「私の普通」が隠れてはいないだろうか。

「私の普通」「私の見解」を当てはめたときに、その通りにできない、やらない人もいる。それは尊重すべきものであるし、もっと言えばその通りにできない自分ややらない自分がいてもいい。

イラッとしたときは、他人の「部分」に自分ルールが発動しているんだな、これは自分を発見するチャンスだ!と考えてみよう。たとえば、人から感謝されずにイラッとしたら、「私は自分が感謝することを頑張っているから、他人にも感謝してほしいんだな」のように考える。自分の気持ちに気づいたら「私はそこにこだわって頑張っているんだな」と、頑張っている自分をねぎらい、共感を示す。こうすることで落ち着き、余裕を取り戻すことができる。そうすれば、イラッとした他人の「部分」への対応も考えやすくなるはずだ。

自己否定をやめる

悩む人の共通点は「今の自分を否定している」ということだ。自分が描いた「こうなりたい」という理想があるから、その合格ラインに届かないと自分にダメ出しをするクセがついている。

それは向上心や責任感があるからだともいえる。しかし、厳しいほどに自分に変化を求め、成長のために責めるというやり方は、しんどいものだ。

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要約公開日 2024.09.16
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