著者はこれまで、自分のネガティブな思考グセや弱点とうまく付き合う術を模索してきた。
たとえば、どこからともなく湧いてくる「面倒くさい」という感情。この感情に飲まれてしまうと、復活するまでに余分な時間やエネルギーがかかる。この「面倒くさい」という感情を上手に飼い慣らすべく、意識的に実践しているのは、「小さなごほうびの予定」を作ることだ。美味しいものを食べに行ったり映画や演劇といったエンタメに触れたりする予定を、仕事のピークを過ぎそうなタイミングにあらかじめ入れておく。そうすれば、仕事が立て込んできて「面倒くさい」感情が発動し始めた頃、ごほうびがあることを思い出してごきげんになれるのだ。
なお、仕事の可視化とうっかりミスを防ぐため、スケジュール管理は自分の記憶に頼るのではなく、すべてGoogleカレンダーで行っている。収録・取材は赤色、打ち合わせと会議は青色、企画の考案や原稿の執筆はオレンジ、映画の公開や舞台の公演などのごほうびは緑色で登録するのがマイルールだ。Googleカレンダーが仕事関連の赤色、青色、オレンジで埋め尽くされてきたら危険信号だと捉え、すかさず緑色の予定を作るように心がけている。
生活が「やらなければならないこと」で埋め尽くされると、気分が沈み、モチベーションが湧きづらくなるもの。だからこそ色分けされたGoogleカレンダーで己の状態を予見し、小さなごほうびで自分を釣って、良い気分で満たすのだ。
スケジュールアプリはメンタル全般の管理にも使える。
この習慣を始めたきっかけは入社1年目の頃、ADの仕事があまりにキツく、自分を見失いそうになったことだ。人員が足りず、配属初日から5日間は会社に寝泊まりし、その後も週3日は徹夜する日々だった。
2クール(6ヶ月)続くドラマが終了した年末年始、仕事との向き合い方をちゃんと見直そうと決めた。そこで始めたのが、スケジュール帳に簡単な日記をつけて、自分の置かれている状況を把握することだ。
日記には、嬉しかった出来事、落ち込んだことやムカついたこと、改善していきたい点、体調について1行程度で書くようにした。数ヶ月続けてみると、スケジュールと自分の状態から、「これくらい仕事が詰まるとメンタルをやられるな」「こういうプレッシャーがかかると不眠になりがち」などと、不調に陥りがちなタイミングが見えてきた。また、メンタル不調の原因がクリアになり、ネガティブな感情にハマって悶々と悩むことがぐんと減った。
自分はどんな時にネガティブに、もしくはポジティブになるのか。これを日記という客観的なデータをもとに分析することは、ごきげんに生きる上でとても大切だ。
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