算数や数学は、ほかの科目と比較しても「できる人」と「できない人」の差が出やすい科目であるといわれている。一度「できない人」の側になってしまうと、なかなか後から逆転できず、「数字や数学が苦手」「数字のセンスがない」という状態で生きることになってしまう。
この差は「生まれつきのセンス」で決まっているわけではない。小学校で習うような初歩的な算数の勉強が、大きな差につながっている。算数には、無限の可能性がある。算数は「思考の武器」として、その後の人生で大いに役立ってくれる。しかし小学生のあいだに十分に学べている人は決して多くない。
数字のセンスがあるかないかで、世界は違って見える。算数を学び直すことで、数字に強く、数字のセンスがあり、思考が速い人になることができるのだ。
「1〜100までの数の合計はいくつか」と聞かれて、すぐに答えられるだろうか。これはなかなか大変そうに見える。足し算で考えると、「1+2=3」「3+3=6」……というかたちで、99回計算をしなくてはならない。
しかし捉え方を変えると、とても簡単に答えを出すことができる。「1+100」は101である。「2+99」も101だ。同様に、「50+51」まで50個の101が出てくる。すると計算は「50×101」だけでよくなり、5050という答えが1回の計算で求められる。
このように、同じパターンを探して組み合わせを変えるだけで、より速く答えにたどり着くことができる。というのも、掛け算とは「足し算を簡略化したもの」であるからだ。
「この方法だと面倒だから、新たなこういう式・概念を導入しよう」という考え方をすることで、思考や計算のスピードを速くしてきたのが、算数や数学の歴史といってよい。そもそも「りんごがひとつ存在する」という事象を「1」という数に置き換えることが、数学の最初の一歩であった。算数を含めた数学という学問の本質は「簡略化」であるといっても過言ではない。そのもっとも典型的な例が、足し算を掛け算にすることなのだ。
社会では「会社の成長率」「製品の事故率」といったかたちで「率」や「割合」がさまざまな場所で使われている。しかし割り算を本質的に理解できていないと、思わぬ勘違いをしたり、話を理解できていない状態になったりしかねない。
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