「数字のセンス」と「地頭力」がいっきに身につく 東大算数

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「数字のセンス」と「地頭力」がいっきに身につく 東大算数
出版社
東洋経済新報社

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出版日
2024年06月11日
評点
総合
3.5
明瞭性
4.0
革新性
3.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

数字や数学が苦手だという人は数多くいる。自覚している場合だけでなく、実は自覚がないままによく理解できていない、というケースもけっして少なくないものだ。数(すう)や論理を扱う思考は、昨今ますます重要視されるようになってきている。数字に苦手意識を持つ人にとって、その力を身につけるのは容易なことではない。数字に強くなる方法なんて何ステップも上のことのように感じられるかもしれない。

本書は、そんな人たちの悩みに応えるべく書かれた一冊だ。数学のセンスと地頭力は、小学校の算数で身につけることができる、というのが本書の主張だ。

著者は偏差値35から東京大学に合格したという経験を持つ西岡壱誠氏だ。大学受験の際に、塾講師のアドバイスで小学校の算数からやり直したという。九九や100マス計算をやり続けた結果、中高の数学の問題が解けるようになっただけでなく、他の科目の成績まで上がったそうだ。

すべての人が同じ体験をできるかはわからないが、小学校の算数を本当の意味で理解することは意外に難しい、という点にはうなずけるところがある。数学が苦手だという自覚がある人だけでなく、自分は得意だと感じている人も、改めて点検してみると思わぬ発見があることだろう。当たり前に思っていることを見つめ直すときにこそ、本当に大切な学びはあらわれるものだ。

ライター画像
池田明季哉

著者

西岡壱誠(にしおか いっせい)
現役東大生。1996年生まれ。偏差値35から東大を目指すも、現役・一浪と2年連続で不合格。しかし「小学校の算数」から復習をしたことで成績が上がり始め、偏差値70、東大模試で全国4位になり、東大合格を果たす。
そのノウハウを全国の学生や学校の教師たちに伝えるため、在学中の2020年に株式会社カルペ・ディエム(https://carpe-di-em.jp/)を設立、代表に就任。全国の高校で「リアルドラゴン桜プロジェクト」を実施し、高校生に思考法・勉強法を教えているほか、教師には指導法のコンサルティングを行っている。
テレビ番組『100%!アピールちゃん』(TBS系)では、タレントの小倉優子氏の早稲田大学受験をサポート。また、YouTubeチャンネル「スマホ学園」を運営し、約1万人の登録者に勉強の楽しさを伝えている。
著書『「読む力」と「地頭力」がいっきに身につく 東大読書』『「伝える力」と「地頭力」がいっきに高まる 東大作文』『「考える技術」と「地頭力」がいっきに身につく 東大思考』『「学ぶ力」と「地頭力」がいっきに身につく 東大独学』(いずれも東洋経済新報社)はシリーズ累計43万部のベストセラー。

本書の要点

  • 要点
    1
    数字や数学のセンスを身につける基礎になるのは、小学校で習うレベルの算数である。
  • 要点
    2
    掛け算は足し算の省略である。当然に聞こえるかもしれないが、数学はその歴史を通じて、そういった省略や置き換えを駆使して物事を簡略化し、処理しやすくしてきた。簡略化・概念化は、思考そのものをスピードアップする。
  • 要点
    3
    立式は起きていることを数式として表すことで理解を助け、変数や定数の定義は変えられるものと変えられないものを区別することで、さまざまな方針を立てることにつながる。こうした思考はあらゆる分野で役に立つ。

要約

算数が「思考の武器」になる

数字のセンスが見方を変える

算数や数学は、ほかの科目と比較しても「できる人」と「できない人」の差が出やすい科目であるといわれている。一度「できない人」の側になってしまうと、なかなか後から逆転できず、「数字や数学が苦手」「数字のセンスがない」という状態で生きることになってしまう。

この差は「生まれつきのセンス」で決まっているわけではない。小学校で習うような初歩的な算数の勉強が、大きな差につながっている。算数には、無限の可能性がある。算数は「思考の武器」として、その後の人生で大いに役立ってくれる。しかし小学生のあいだに十分に学べている人は決して多くない。

数字のセンスがあるかないかで、世界は違って見える。算数を学び直すことで、数字に強く、数字のセンスがあり、思考が速い人になることができるのだ。

足し算・掛け算のエッセンス

掛け算とは何か
Image Source/gettyimages

「1〜100までの数の合計はいくつか」と聞かれて、すぐに答えられるだろうか。これはなかなか大変そうに見える。足し算で考えると、「1+2=3」「3+3=6」……というかたちで、99回計算をしなくてはならない。

しかし捉え方を変えると、とても簡単に答えを出すことができる。「1+100」は101である。「2+99」も101だ。同様に、「50+51」まで50個の101が出てくる。すると計算は「50×101」だけでよくなり、5050という答えが1回の計算で求められる。

このように、同じパターンを探して組み合わせを変えるだけで、より速く答えにたどり着くことができる。というのも、掛け算とは「足し算を簡略化したもの」であるからだ。

「この方法だと面倒だから、新たなこういう式・概念を導入しよう」という考え方をすることで、思考や計算のスピードを速くしてきたのが、算数や数学の歴史といってよい。そもそも「りんごがひとつ存在する」という事象を「1」という数に置き換えることが、数学の最初の一歩であった。算数を含めた数学という学問の本質は「簡略化」であるといっても過言ではない。そのもっとも典型的な例が、足し算を掛け算にすることなのだ。

【必読ポイント!】 割り算のエッセンス

割り算は「いくつに分ける」ではない

社会では「会社の成長率」「製品の事故率」といったかたちで「率」や「割合」がさまざまな場所で使われている。しかし割り算を本質的に理解できていないと、思わぬ勘違いをしたり、話を理解できていない状態になったりしかねない。

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要約公開日 2024.10.03
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