フローとストック

世界の先が読める「思考」と「知識」の法則
未読
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世界の先が読める「思考」と「知識」の法則
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フローとストック
著者
出版社
出版日
2024年04月22日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

社会の中で生きていくにあたっては、学校や家庭での生活を通して一定の常識を学ぶこととなる。またこれまでに確立された既存の法則やルールを知識として学ぶことは、自然科学・人文科学を問わず学問や技術の基礎でもある。こうしたプロセスを通ってきた記憶は、誰の中にもあるだろう。しかし、常識としての知識は生きていくうえで役立つ一方、常識にとらわれて既成概念にしがみついてしまうと、時代に取り残され、イノベーションを生み出しづらくなることもまた真実だ。

本書は、ベストセラー『具体と抽象』『「具体⇄抽象」トレーニング』の著者である細谷功氏が、人間が自然界や社会の仕組みを理解したり常識を打破してイノベーションを生み出したりする際の思考方法を、「フローとストック」と「具体と抽象」という観点を組み合わせて解き明かしたものだ。知識やルールはなぜ必要とされるのか、どのようなときに既成概念を打ち破るきっかけが見出されるのか――。ものの見方と思考の枠組みの変化を論じながら、本書はその法則を見つけようと試みる。

世の中の多くは既成概念から物事を考える「ストック型」の思考で成り立っている。その地点に立脚しつつ、新たなアイデアを生み出す「フロー型」へと思考を転換することが重要なのだ。本書はそう結論づける。イノベーションを生み出すために必要なのは、積み上げたものから自由になり、流れに身を任せる瞬間なのかもしれない。

ライター画像
大賀祐樹

著者

細谷功(ほそや いさお)
ビジネスコンサルタント・著述家
神奈川県生まれ。株式会社東芝を経て、アーンスト・アンド・ヤング、キャップジェミニ、クニエなどの外資系/日系のグローバル・コンサルティングファームにて業務改革などのコンサルティングに従事したのち、独立。近年は思考力や「具体と抽象」に関する講演やセミナーを、企業や各種団体、大学などに対して国内外で実施。著書に、『地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」』(東洋経済新報社)、『具体と抽象 世界が変わって見える知性のしくみ』(dZERO)、『「具体⇄抽象」トレーニング 思考力が飛躍的にアップする29問』(PHPビジネス新書)などがある。

本書の要点

  • 要点
    1
    人間の知的活動においては、日々の「思考」というフローの積み重ねが、「知識」というストックとなって蓄積されていく。
  • 要点
    2
    「考える」とは、「具体」と「抽象」を往復することである。
  • 要点
    3
    世の中の具体的な個別の事象を、抽象度を上げて連続的に捉えることで、その変化のメカニズムからさまざまな事象を説明し、次に起きる出来事を予想できる。それを可能にするツールが、「フローとストック」を縦軸、「具体と抽象」を横軸にとった「CAFSマトリックス」だ。
  • 要点
    4
    イノベーションを生むためには、「ストックとしての具体」に当てはまらない例外としての歪みを見つけ出し、常識や慣習を解きほぐして、「フローとしての具体」へと転換する思考が必要とされる。

要約

フローとストック

「フロー」は流れ、「ストック」は蓄積

先の見えないこの時代に、どうしたら次に起こる出来事を予測できるだろう。それを可能にするのは、世の中の具体的な個別の事象を、抽象度を上げて連続的に捉えることだ。これにより、変化のメカニズムからさまざまな事象を説明し、次に起きる出来事を予想できる。

そのような行為の軸となるのは「フローとストック」と「具体と抽象」という考え方だ。まずは「フローとストック」について解説したい。

「フロー」とは「流れ」のことだ。これには、水や空気、人の流れのような「目に見える」流れだけでなく、お金、情報、時間などといった「目に見えない」流れも含まれる。

一方、「ストック」は「蓄積」「積み上げ」に近い概念だ。米や石油などといった「目に見える」ものだけでなく、お金や情報などの「目に見えない」ものも含まれる。

世の中の変化は、フローとストックの概念を使って説明できる。なんらかの入力と出力がフローだとするならば、その結果が履歴として蓄積されていくのがストックだ。浴槽と水にたとえるなら、蛇口から入ってくる水がフローで、浴槽に溜まった水量がフローの結果によるストック、そして排水はフローにあたる。

フローは「行為」、ストックは「状態」
Nobi_Prizue/gettyimages

「フローとストック」はそれぞれ独立しているものではない。フローがあればストックが生じ、ストックがあればそこに変化をもたらすフローが存在する。

たとえば、「転んで怪我した」という出来事について考えてみよう。「転ぶ」という「行為」はフローで、その結果として「怪我」という「状態」がストックとして生じる。こう考えれば、フローは個々の行為(動詞)であり、ストックはその結果として出力される「状態」(名詞)として捉えられるだろう。

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要約公開日 2024.09.20
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