先の見えないこの時代に、どうしたら次に起こる出来事を予測できるだろう。それを可能にするのは、世の中の具体的な個別の事象を、抽象度を上げて連続的に捉えることだ。これにより、変化のメカニズムからさまざまな事象を説明し、次に起きる出来事を予想できる。
そのような行為の軸となるのは「フローとストック」と「具体と抽象」という考え方だ。まずは「フローとストック」について解説したい。
「フロー」とは「流れ」のことだ。これには、水や空気、人の流れのような「目に見える」流れだけでなく、お金、情報、時間などといった「目に見えない」流れも含まれる。
一方、「ストック」は「蓄積」「積み上げ」に近い概念だ。米や石油などといった「目に見える」ものだけでなく、お金や情報などの「目に見えない」ものも含まれる。
世の中の変化は、フローとストックの概念を使って説明できる。なんらかの入力と出力がフローだとするならば、その結果が履歴として蓄積されていくのがストックだ。浴槽と水にたとえるなら、蛇口から入ってくる水がフローで、浴槽に溜まった水量がフローの結果によるストック、そして排水はフローにあたる。
「フローとストック」はそれぞれ独立しているものではない。フローがあればストックが生じ、ストックがあればそこに変化をもたらすフローが存在する。
たとえば、「転んで怪我した」という出来事について考えてみよう。「転ぶ」という「行為」はフローで、その結果として「怪我」という「状態」がストックとして生じる。こう考えれば、フローは個々の行為(動詞)であり、ストックはその結果として出力される「状態」(名詞)として捉えられるだろう。
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