2008年、カリフォルニア州の有権者には「カリフォルニア高速鉄道」というプロジェクトが提案された。ロサンゼルス中心部の駅から列車に乗ると、たった2時間半でサンフランシスコ中心部に到着する新幹線で、運賃は86ドルの予定だ。世界の二大都市とその間にあるシリコンバレーを結ぶという計画だ。この「先見的」な鉄道の総工費は330億ドル、開業は2020年の予定だった。
だが、着工から14年後の現在までに、計画は遅延を重ね、コスト見積もりも増大した。本書の執筆時点での見積もり最高額は1000億ドルである。2019年のカリフォルニア州知事は計画の大幅縮小を発表し、カリフォルニアの住民しか知らないような2都市を、北米最先端の鉄道で結ぶことになった。コストは230億ドルで、これが完成したらプロジェクトは停止する予定だという。批評家には「どこにも行かない新幹線」と呼ばれている。
カリフォルニアのビジョンは野心的だった。だが、莫大な資金があってもビジョンだけでは何も成し遂げられないのだ。
対照的に、計画を前倒しして予算内で完結させたビッグプロジェクトもある。
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