「カルチャー」を経営のど真ん中に据える

「現場からの風土改革」で組織を再生させる処方箋
未読
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「現場からの風土改革」で組織を再生させる処方箋
著者
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「カルチャー」を経営のど真ん中に据える
著者
出版社
東洋経済新報社

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出版日
2022年07月21日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

日本企業の不正・不祥事が止まらない。品質や検査不正が横行し、会社はどんどん不健全になっていく。社員のチャレンジ精神は失われ、優秀な人材は海外へ流出している。日本はどこで間違えたのだろうか。

その問いに対し、「カルチャー」という視点から答えるのが本書だ。「カルチャー」とは、人が働く上での土壌である。健全で良質な土壌がなければ、その上に健全な組織が立つはずがない。企業の持続的な成長や発展には「カルチャー」が欠かせないというのが本書の主旨だ。

本書によれば、現在の日本企業は「活力枯渇病」に侵されており、それを解消するには「現場力」の強化しかないのだという。「現場力」を高めるには、組織風土と組織文化から成る「カルチャー」が欠かせない。この「カルチャー」変革は、単なるトップダウンでは成しえない。現場が当事者として主体的に考え、挑戦し、成功体験を積み重ねる中で、自信と活力を取り戻さなければならない、と著者は語る。

本書では、さまざまな企業の社外取締役や経営顧問として経験を積んだ著者が、豊富な事例を挙げながら「カルチャー」変革の方法を指南する。「カルチャー」がなぜ重要かという理論だけでなく、実際にどうすればいいかを具体的に示している点が非常に実践的だ。

現代は混沌の時代である。変化が速く、確かなものは何もないように思える時代だ。そんな今だからこそ、揺るがぬ経営の指針となる「カルチャー」を見直すことに意味があるのではないだろうか。

ライター画像
千葉佳奈美

著者

遠藤功(えんどう いさお)
株式会社シナ・コーポレーション代表取締役。
早稲田大学商学部卒業。米国ボストンカレッジ経営学修士(MBA)。三菱電機、複数の外資系戦略コンサルティング会社を経て、現職。2006年から2016年まで早稲田大学ビジネススクール教授を務めた。2020年6月末にローランド・ベルガー日本法人会長を退任。同年7月より「無所属」の独立コンサルタントとして活動している。多くの企業で社外取締役、経営顧問を務め、次世代リーダー育成の企業研修にも携わっている。
株式会社良品計画社外取締役。SOMPOホールディングス株式会社社外取締役。株式会社ネクステージ社外取締役。株式会社ドリーム・アーツ社外取締役。株式会社マザーハウス社外取締役。
15万部を超えるロングセラーである『現場力を鍛える』『見える化』(いずれも東洋経済新報社)をはじめ、『現場論』『生きている会社、死んでいる会社』(いずれも東洋経済新報社)、『新幹線お掃除の天使たち』(あさ出版)、『ガリガリ君の秘密』(日経ビジネス人文庫)など、ベストセラー著書多数。

本書の要点

  • 要点
    1
    日本企業は今、不正・不祥事の頻発、技術力・労働生産性の低下など、深刻な状況にある。その要因として挙げられるのが「活力枯渇病」である。これは組織の活力が失われ、活気や熱気、やる気のようなものが消えうせた状態である。
  • 要点
    2
    「活力枯渇病」を克服するには、現場力を高めるしかない。現場力の向上には組織風土と組織文化からなる「カルチャー」の変革が必要だ。「カルチャー」が強まることで、実行力である「ケイパビリティ」も高まり、組織の活力が戻ってくる。

要約

【必読ポイント!】 日本企業が低迷する理由

「活力枯渇病」という病

今、日本では企業の不正・不祥事が頻発している。三菱電機の検査不正、日立グループの品質不正、また、金融機関のシステム障害や日本郵便局長の不祥事など、枚挙にいとまがない。かつて「イノベーション大国」であった日本は見る影もない。技術力、労働生産性はともに低下し、日本企業は時価総額ランキングでも低迷している。

日本企業がこのような状態になってしまった理由は単純ではない。リーダーシップの不在、近視眼的短期志向、管理強化による組織の疲弊など、さまざまな要因が複雑に絡み合った結果、「失われた30年」の間に日本企業の競争力は削がれていった。現在の日本企業は「活力枯渇病」という重篤な病にかかっている。これは組織の活力が失われ、活気や熱気、やる気のようなものが消えうせた状態だ。挑戦を避け、闘争心を失い、ファイティングポーズを取らない社員が増え続けている。

日本企業の組織風土は劣化し、傷んでいる
LaylaBird/gettyimages

組織は適切にマネジメントされなければならない。米国ではこの意識が浸透し、組織論の研究が進んでいるが、日本ではその重要性はあまり認識されていない。それは、かつての日本的経営による組織では、疑似的な家父長制のもと社員が一丸となり一所懸命働くという暗黙の了解があり、社員たちは経営の都合のいいように勝手に組織を運営してくれると信じられていたからである。多くの日本企業はいまだに組織マネジメントを軽視し、科学的、合理的な知見を持ち合わせていない。

ファイティングポーズを取らない組織は問題解決ができない。問題が起きても見て見ぬふりをし、隠そうとするから不正や不祥事が横行するのだ。これは組織全体を覆う空気感や雰囲気、つまり組織風土に問題がある。日本企業の組織風土は劣化し、傷んでいることを認識しなければならない。

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要約公開日 2024.09.14
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