今、日本では企業の不正・不祥事が頻発している。三菱電機の検査不正、日立グループの品質不正、また、金融機関のシステム障害や日本郵便局長の不祥事など、枚挙にいとまがない。かつて「イノベーション大国」であった日本は見る影もない。技術力、労働生産性はともに低下し、日本企業は時価総額ランキングでも低迷している。
日本企業がこのような状態になってしまった理由は単純ではない。リーダーシップの不在、近視眼的短期志向、管理強化による組織の疲弊など、さまざまな要因が複雑に絡み合った結果、「失われた30年」の間に日本企業の競争力は削がれていった。現在の日本企業は「活力枯渇病」という重篤な病にかかっている。これは組織の活力が失われ、活気や熱気、やる気のようなものが消えうせた状態だ。挑戦を避け、闘争心を失い、ファイティングポーズを取らない社員が増え続けている。
組織は適切にマネジメントされなければならない。米国ではこの意識が浸透し、組織論の研究が進んでいるが、日本ではその重要性はあまり認識されていない。それは、かつての日本的経営による組織では、疑似的な家父長制のもと社員が一丸となり一所懸命働くという暗黙の了解があり、社員たちは経営の都合のいいように勝手に組織を運営してくれると信じられていたからである。多くの日本企業はいまだに組織マネジメントを軽視し、科学的、合理的な知見を持ち合わせていない。
ファイティングポーズを取らない組織は問題解決ができない。問題が起きても見て見ぬふりをし、隠そうとするから不正や不祥事が横行するのだ。これは組織全体を覆う空気感や雰囲気、つまり組織風土に問題がある。日本企業の組織風土は劣化し、傷んでいることを認識しなければならない。
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