創業以来グロービスは、常に経営環境の変化に適応し、また変化を先取りしてきた。その背景には組織のあり方が影響している。
その1つが、組織の“オープンさ”と“フラットさ”である。グロービスには立場に関係なく意見を表明でき、互いの情報を共有して新たな価値を生み出すというカルチャーがある。
こうした組織を創る上で重要となるのが「分権化によるフラットなネットワーク型組織」だ。その前提には“複雑系”という考え方がある。
複雑系は「森」を想像するとわかりやすい。森では様々な植物や動物たちが相互に関わり合いながら、森という1つの全体を創り上げている。このように多数の要素が影響し合い、非線形の相互作用を持つシステムを複雑系という。
会社組織も、様々な人たちがある目的の下に集まって、相互に影響を与え合いながら形づくっている。組織は複雑系そのものだ。ゆえに、複雑系の考え方に則って経営するとうまくいくのである。
グロービスでは、複雑系の考え方に基づいた組織づくりをしている。そのために重要なのは、組織を「横方向」に拡げていくことだ。
具体的には、階層を極力少なくして組織体系をフラットにする。例えば、グロービスと同じくらいの規模の会社では4~5階層ほどあるのが普通だが、グロービスでは主たる階層(職位と権限規定)を2つのみにしている。こうすることで経営と現場の情報共有がスムーズになり、素早い承認プロセスが可能となる。
しかし、階層を少なくするだけでは十分ではない。「指示がなければ動けない」社員ばかりなら、俊敏な機動力が生まれないからだ。スピーディーに動ける組織であるには、主体的に物事を考え、自発的に動くことができる自律型人材が必要だ。
さらに、全体がまとまりを持って活動するには、組織の理念やパーパスを浸透させなければならない。それらを浸透させることで各部署や各人への権限移譲が可能となり、各自が好きなことを好きなようにできる環境が整う。
このように、個々人の能力を解放してパフォーマンスを最大化することをグロービスでは「個の爆発」と呼び、全社員の「個の爆発」を奨励している。
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