経営を教える会社の経営

理想的な企業システムの実現
未読
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出版社
東洋経済新報社

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出版日
2023年11月21日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

グロービスは「経営に関するヒト・カネ・チエの生態系を創り、社会の創造と変革を行う。」をビジョンに掲げ、複数のサービスを展開している企業である。

具体的には、会社や組織がより良い経営を行うためのナレッジの発信や、実践的な教育プログラムの提供などである。読者の中には、「グロービス経営大学院」やオンライン学習サービス「GLOBIS 学び放題」などでその名を知る人もいるだろう。

同社のサービスを貫くキーワードは「経営」である。経営には、経営戦略、マーケティング、人材育成・管理、リーダーシップなど、様々な要素が絡んでくる。こうしたトピックを発信する中で、クライアントなどから「そもそもグロービスではどのような経営をしているのか」といった質問をよく受けるようになったことが、本書の執筆につながった。本書では、経営手法、組織設計、採用、人材育成、人事評価、報酬体系、組織文化の醸成まで、グロービスの経営システムがつまびらかにされている。

グロービスのすごいところは、創業以来30年間ほぼ右肩上がりに成長を続けていることだ。さらに「働きがいのある会社(日本版)」に10年連続選出されている。優れた業績と働きがい。この2つを両立するにはどうしたらいいのか。

グロービスのやり方は多くの企業に示唆を与えてくれるはずだ。経営者や管理職はもちろん、すべての企業人にお読みいただきたい。

著者

グロービス
1992年の設立以来「経営に関する『ヒト』『カネ』『チエ』の生態系を創り、社会の創造と変革を行う」ことをビジョンに掲げ、各種事業を展開している。
●学校法人 グロービス経営大学院
・日本語(東京、大阪、名古屋、仙台、福岡、オンライン)
・英語(東京、オンライン)
●グロービス・エグゼクティブ・スクール
●グロービス・マネジメント・スクール
●企業内研修/法人向け人材育成サービス
(日本・中国・シンガポール・タイ・米国)
●出版/電子出版
●GLOBIS 知見録/GLOBIS Insights(オウンドメディア)
●GLOBIS 学び放題/GLOBIS Unlimited(定額制動画学習サービス)
●グロービス・キャピタル・パートナーズ(ベンチャーキャピタル事業)
その他
●一般社団法人G1(カンファレンス運営)
●一般財団法人KIBOW(インパクト投資、被災地支援)
●株式会社茨城ロボッツ・スポーツエンターテインメント(プロバスケットボールチーム運営)

内田圭亮(うちだ けいすけ)
グロービス経営大学院教授
グロービス・コーポレート・エデュケーション マネジング・ディレクター
顧彼思(上海)企業管理諮詢有限公司 董事
慶應義塾大学法学部法律学科卒業、グロービス経営大学院経営研究科経営専攻修了。アクセンチュア株式会社にて経営コンサルティングに従事した後、株式会社出前館の上場に寄与。その後、グロービスにて、法人向け人材育成・組織開発のコンサルティング、経営管理本部長を経て、現在はコーポレート・エデュケーション部門マネジング・ディレクター兼中国法人の董事を務める。共著に『グロービスMBAマネジメント・ブックⅡ』(ダイヤモンド社)がある。

本書の要点

  • 要点
    1
    グロービスの経営は“複雑系”だ。様々な人たちが相互に関わり合い、1つの組織を形づくる考え方を複雑系という。複雑系の組織形成は、フラットな組織体制と自律型人材がポイントとなる。
  • 要点
    2
    グロービスはどんな環境にも適応できるよう、「スピード」と「柔軟性」を意識した組織設計をしている。
  • 要点
    3
    これからの人材育成には、実務と切り離したOff―JTを積極的に取り入れ、そのための予算を増やすべきだ。
  • 要点
    4
    グロービスの報酬体系は、ジョブ型の職務給でも日本型の年功給でもなく、「成果主義」「能力主義」「今後の期待」に基づいている。

要約

複雑系の経営

オープンでフラットな組織

創業以来グロービスは、常に経営環境の変化に適応し、また変化を先取りしてきた。その背景には組織のあり方が影響している。

その1つが、組織の“オープンさ”と“フラットさ”である。グロービスには立場に関係なく意見を表明でき、互いの情報を共有して新たな価値を生み出すというカルチャーがある。

こうした組織を創る上で重要となるのが「分権化によるフラットなネットワーク型組織」だ。その前提には“複雑系”という考え方がある。

複雑系は「森」を想像するとわかりやすい。森では様々な植物や動物たちが相互に関わり合いながら、森という1つの全体を創り上げている。このように多数の要素が影響し合い、非線形の相互作用を持つシステムを複雑系という。

会社組織も、様々な人たちがある目的の下に集まって、相互に影響を与え合いながら形づくっている。組織は複雑系そのものだ。ゆえに、複雑系の考え方に則って経営するとうまくいくのである。

複雑系を経営に生かすためのヒント
Morsa Images/gettyimages

グロービスでは、複雑系の考え方に基づいた組織づくりをしている。そのために重要なのは、組織を「横方向」に拡げていくことだ。

具体的には、階層を極力少なくして組織体系をフラットにする。例えば、グロービスと同じくらいの規模の会社では4~5階層ほどあるのが普通だが、グロービスでは主たる階層(職位と権限規定)を2つのみにしている。こうすることで経営と現場の情報共有がスムーズになり、素早い承認プロセスが可能となる。

しかし、階層を少なくするだけでは十分ではない。「指示がなければ動けない」社員ばかりなら、俊敏な機動力が生まれないからだ。スピーディーに動ける組織であるには、主体的に物事を考え、自発的に動くことができる自律型人材が必要だ。

さらに、全体がまとまりを持って活動するには、組織の理念やパーパスを浸透させなければならない。それらを浸透させることで各部署や各人への権限移譲が可能となり、各自が好きなことを好きなようにできる環境が整う。

このように、個々人の能力を解放してパフォーマンスを最大化することをグロービスでは「個の爆発」と呼び、全社員の「個の爆発」を奨励している。

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要約公開日 2024.09.27
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