「働き手不足1100万人」の衝撃

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「働き手不足1100万人」の衝撃
出版社
プレジデント社

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出版日
2024年02月09日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

「2040年、働き手が1100万人足りなくなる」。この一文に衝撃を受けた。

リクルートワークス研究所では、2040年の労働市場に対する未来予測シミュレーションを行った。本書はその結果をもとに、今後日本が直面する「労働供給制約」の実態を明らかにしていく。労働供給制約とは、社会の維持に必要な働き手を供給できなくなる構造的な人手不足のことだ。

これまで人手不足というと、後継者やデジタル人材の不足といった産業・企業視点の問題のように捉えられていた。しかし、これからの日本が直面するのは、生活維持に必要な労働力を日本社会が供給できなくなるという、クリティカルな社会問題である。物流、建設、介護、医療などのサービスが縮小・消滅を余儀なくされるというシミュレーションは、大きな反響を呼んでいる。

だが、本書は驚愕の事実を読者に突きつけて終わりではない。働き手不足を解消するための「4つの打ち手」を提言し、さらに先の未来に向けて、個人・企業・行政がどんな行動をとるべきかを示していく。その根底には、日本社会をよくしたいという著者らの強い使命感がある。

シミュレーションの結果と分析は、次にとるべきアクションを練るための出発点となる。未来を数字で直視し、具体的な行動を起こせば、将来を変えていける。まさに、「危機」を「希望」に変える書だ。これからの生き方・社会のあり方を考えるための羅針盤としておすすめしたい。

ライター画像
松尾美里

著者

古屋星斗(ふるや しょうと)
リクルートワークス研究所主任研究員
一橋大学大学院社会学研究科総合社会科学専攻修了後、経済産業省入省。産業人材政策、福島復興、成長職略立案などに携わる。2017年より現職。労働市場や次世代のキャリア形成研究を専門とする。著書に『ゆるい職場 一若者の不安の知られざる理由』(中央公論新社)など。

リクルートワークス研究所
1999年1月に設立された、株式会社リクルート内にある「人」と「組織」に関する研究機関。「一人ひとりが生き生きと働ける次世代社会の創造」を使命に掲げ、調査・研究などを実施する。

本書の要点

  • 要点
    1
    これからの日本は「労働供給制約社会」を迎え、生活維持に必要な労働力を供給できなくなることが予測されている。労働供給は2040年に1100万人余り不足する。
  • 要点
    2
    著者らは、労働供給制約という危機が、日本を新しい豊かな社会に変えるための突破口になると考えている。そして、働き手不足を解消するために4つの打ち手を提示する。それは、「機械化・自動化」「ワーキッシュアクト」「シニアの小さな活動」「仕事におけるムダ改革」だ。

要約

働き手不足1100万人の衝撃

生活維持のための労働力がなくなる

リクルートワークス研究所が未来予測に取り組んだ発端は、日本社会における「労働供給制約」という切迫した状況に、強い問題意識を持ったことである。労働供給制約とは、社会を維持するために必要な働き手の数を供給できなくなる構造的な人手不足を指す。

社会の高齢化は、著しい労働の需給ギャップ、需要過剰をもたらすと考えられる。人は何歳でも労働力を消費するが、加齢とともに労働力の提供者ではなくなっていくためだ。日本では世界最速で高齢化が進むため、社会に必要な労働力の需給のバランスが崩れ、慢性的な労働供給不足に陥ってしまう。これを「労働供給制約社会」と呼ぶ。

これは、後継者不足や技能承継難、デジタル人材の不足といった産業・企業視点の問題だけではない。生活維持に必要な労働力を日本社会が供給できなくなるという「生活者の問題」なのである。

労働供給不足の慢性化がもたらす危機
wildpixel/gettyimages

これから起こる人手不足は、景況感や企業業績に左右されず、労働供給量がボトルネックになって発生する。予測されるのは、人手不足感が特に高い業種が現れることだ。懸念されるのは生活維持サービスの低下・消滅である。物流や建設・土木、介護・福祉、接客などの職種は、すでに需給ギャップが顕在化している。

日本が労働供給制約社会になることは、ほぼ確実な未来である。なぜなら、人口動態統計という最も確実な予測が可能なデータに基づいているためだ。

「Works未来予測20XX」プロジェクトのシミュレーション結果を見てみよう。もし何の打ち手も講じなければ、次のような問題が顕在化する。

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要約公開日 2024.10.05
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