今後、中高年の方々は、外部環境の変化と向き合い、定年の概念をアップデートする必要がある。経済コラムニスト大江英樹さんの著書では、定年3.0に至る過程が次のように分類されている。
• 定年1.0:生活の不安なくのんびりと暮らせた時代のシニア像
• 定年2.0:「老後のお金」に関する常識が大きく変化した時代のシニア像
• 定年3.0:「お金」「健康」「孤独」の3つの問題をそれぞれ解決すべき時代のシニア像
これらを踏まえると、定年前の現役世代は、定年後も積極的に働くことを前提にせざるを得ない。これから描くべき定年の姿を、著者は定年4.0と位置づける。そのうえで、「リスキリングで現在の雇用に頼らない人生とキャリアを自ら創造するシニア像」と定義する。
労働市場では4つの変化が起きている。それは、「AIやロボットによる単純労働の自動化(ホワイトカラー含む)」「慢性的な人材不足と雇用の偏在(都市と地方)」「大きな労働移動の必要性(配置転換、副業、転職など)」「正社員からフリーランスへ(自分の雇用を自分で創出)」である。こうした変化の結果、高齢者には人材不足の分野でしか働く選択肢がない未来もあり得る。中高年はどんな対策を講じることができるのか。
まずは労働寿命と雇用寿命を延ばすことが必要だ。労働寿命は働くことができる時間を指す。一方、雇用寿命は企業などの組織に雇われる時間を指す。雇用されることが難しくても、個人事業主やフリーランスとして働き、自らの仕事を生み出すことができれば、労働寿命を延ばせるのだ。
急激なデジタル技術の浸透により、技術的失業に関する議論が再燃している。技術的失業とは、テクノロジーが浸透し、人間の労働の自動化が進むことで、AIやロボットに人間の雇用が代替されることである。
生成AIを含むテクノロジーの進化により、ホワイトカラー人材の余剰が本格化し、技術的失業は現実味を増している。雇用削減が加速する未来を予測する報道も増えてきた。
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