荻野調 Ph. D.(おぎの しらべ)
ハーバード⼤学⼤学院にてComputer Science修⼠号、東京⼤学⼤学院にて⼯学博⼠号取得。⼀橋⼤学⼤学院MBA。20代はソニー等にて新規事業の連続⽴ち上げや、500億円規模の事業再編を経験。30代は住友系・伊藤忠系ベンチャーキャピタルにて国内投資、海外投資を担当。40代はグリーにてグローバル事業を⽴ち上げ、Yahoo/KDDI等との戦略提携・ゲーム会社への投資・事業立ち上げ等に従事。その後AI×Financeのスタートアップを設⽴し、⾦融機関や官公庁にAIサービス等を提供した後事業売却。50代は大手コンサルや事業会社にて、⽣成AI特別チームの技術⾯・エミネンス⾯を率いて、生成AIを利用した製品化やサービス化を推進。フィンテック協会理事(2016~2020)。クラウド・AI表現技術検定試験委員(2021〜)。
⼩泉信也(こいずみ しんや)
大手通信会社での大規模ネットワーク構築、クラウド基盤上でのWebアプリケーション開発、AI技術検証など、多岐にわたるプロジェクトを経験。その後、デロイト トーマツ コンサルティング合同会社にて、データ分析基盤の構築、パブリックブロックチェーンを活用したアプリ開発、生成AIアプリケーション開発などにアーキテクト・チームリードとして従事。現在は、デロイト トーマツ ノード合同会社で生成AI技術のチームリードを務める。著書に、「エンジニアのためのWeb3開発入門」(インプレス)など。
久保⽥隆⾄ Ph. D.(くぼた たかし)
2011年に東京⼤学⼤学院にて物理学の博⼠号を取得。博⼠課程では欧州原⼦核研究機構(CERN)にて新型加速器を⽤いた新粒⼦探索のための検出器の構築と最初期のデータを⽤いた物理解析を⾏う。⾼エネルギー物理奨励賞(2011)、⽇本物理学会若⼿奨励賞(2012)を受賞。学位取得後、メルボルン⼤学の研究員として引き続き素粒⼦物理の研究を⾏う。2012年にCERNで発⾒されたHiggs粒⼦の研究に貢献するとともに、Australian Research Councilより複数の競争的資⾦を獲得し、自⾝の研究プロジェクトを推進した。2018年に帰国、複数のプロフェッショナルファームを経て、2021年にデロイト トーマツ コンサルティング合同会社に⼊社。現在、⽣成AI特別チームにてLLMの技術検証チームをリード。
⼤塚貴⾏(おおつか たかゆき)
通信キャリアで新規事業開発に従事し、携帯電話向け位置情報サービスや宿泊予約サイトの企画および開発を担当。その後、広告代理店でポイントマーケティング部門を立ち上げ、ポイントクラブサイトの受託運営や自社メディアのアフィリエイトビジネスの拡大に成功。求人広告会社ではメディア戦略部長として、日本最大級の医療・介護求人サイトの新規立ち上げに携わりつつ、非正規労働市場に関する総合研究所で雇用に関するリサーチレポートを多数発信。2022年からはデロイト トーマツ コンサルティング合同会社のCSIO Officeに参加し、人事系コンサルティングサービスのPeople Analytics基盤の構築と、生成AIを活用した業務プロセス改革プロジェクト(アプリ企画)のリードを務める(現職)。
【必読ポイント!】 生成AI導入&開発の7ステップ
7ステップの全体像
Igor Kutyaev/gettyimages
企業が生成AIをビジネスに活用するには、7つのステップが必要となる。それぞれ解説したい。
第1ステップは、ビジネス目標と成果の明確化だ。企業全体の方向性と連動していて、具体的で、かつ測定可能な目標を設定する。あわせて、その成果を実現するための具体的なユースケースを選定しておく。
第2ステップは、リスクとコンプライアンス評価だ。直面する可能性のあるリスクを理解・評価するとともに、対処計画を立てる。
第3ステップは、技術スタック(開発環境やソフトウェアなど)の選定だ。クラウドサービスが提供する基盤モデルの利用や、DB(データベース)や検索エンジンとオープンソースソフトウェア(OSS)の利活用が必要である。
第4ステップは、人材やパートナー選択だ。専門知識を持つ人材やビジネスパートナーを選ぶ。
第5ステップは、反復的なプロトタイピングだ。プロトタイプ(試作モデル)を作成し、改善を重ねていくプロセスを通じてフィードバックを収集しながら、性能を段階的に向上させていく。
第6ステップは、本番開発だ。プロトタイピングのフィードバックに基づき、本番開発を行う。スケーラビリティや性能の評価を含め、将来的な拡張性も考慮しておきたい。
第7ステップは、運用だ。回答精度の監視やデータの定期的な更新を行いながら、ビジネス目標達成に向けたメンテナンスと改善を繰り返す。
第1ステップ:ビジネス目標と成果の明確化
ここからは、先述した7つのステップのうち、2つのステップを詳細に説明する。
まず、第1ステップの「ビジネス目標と成果の明確化」だ。このステップは、さらに4つのステップに分けられる。
第1ステップは、戦略的目標の設定だ。「現状分析と課題の特定」「企業全体戦略との整合性」「市場動向と競争環境の評価」の3点を踏まえて、生成AIによって達成したい具体的な目標を検討する。
第2ステップは、成果とユースケースの具体化だ。目標達成によって期待される具体的な成果とあわせて、成果を実現するためのユースケースを定義する。ユースケースの定義においては、類似業界や競合他社の事例を参考にするといいだろう。このステップにより、戦略的な意思決定と投資対効果の仮説立案が可能となる。
第3ステップは、ステークホルダーの明確化と関与検討だ。ワークショップ、アンケート、個別ミーティングなどを実施することで、生成AIによって解決できそうな課題を抱えている部署からのフィードバックを得て、ステークホルダーの期待とニーズを理解しよう。このステップは、実現可能かつ価値のある目標を設定する上で欠かせない。
第4ステップは、柔軟な対応戦略の策定だ。生成AIを取り巻く市場や技術はどんどん変化していく。スピーディーな変化に対応できるよう、目標には適度な柔軟性を持たせる必要がある。
要約公開日 2024.10.31
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