誰かと会話をするとき、自分が相手にどう思われているか気になる人は多いはずだ。嫌われたらどうしよう。今の言葉で悪い印象を持たれたかもしれない……。
人間関係は考え過ぎると疲れるものだ。自分はあまり話すのが上手な性格ではないと考え、話すことに苦手意識を持っている人もいるだろう。しかし、「話がうまいかどうか」と性格はまったく関係がない。自分は話が苦手だと思ってしまうのは、思い込みの部分が少なくないのである。あなたが「話を盛り上げられなかった」と感じていても、相手はそう思ってないかもしれない。根拠のない思い込みで、自信を失ったり人間関係を遠ざけてしまったりするのは、損なことなのではないだろうか。
話せない人から話せる人になる大きな一歩。それは「自分が何を話そうか」という意識から「この場をどうしようか」の意識に変えることだ。これだけでその場を動かしていくことができるようになるし、もっと積極的に話せるようになるはずだ。ここでは、それが「自然にできる人」だけが知っている「話し方」のコツを見ていこう。
どうして人と話すのはこれほどまでに疲れるのだろうか。実は、コミュニケーションで疲れる人にはある共通点がある。それは、「人格」でコミュニケーションしようとしているところだ。人格で人と向かい合うと、相手の言葉を自分自身への直接の評価のように受け止めてしまい、傷つきやすくなる。コミュニケーションでは、相手と向かい合わない方が圧倒的にラクだ。
「人格」でコミュニケーションをせずにすむための方法の一つが、共通して話せる「話題」を相手との間に置くということだ。たとえば野球の話題が出たら「大谷翔平選手はすごいですね……」とネタを振ってみる。これは一対一の人格として向かい合うのではなく、共通の話題を提供することで「大谷翔平について語り合う二人」というような構図をつくっているのだ。こうすることでお互いの人格をのぞき込むことをせずに、平和的に盛り上がることができるようになる。
「人格」という言葉は、「プライベートゾーン」と言い換えられる。人と会話することに疲れるのは、このプライベートゾーンを守ろうとしているからに他ならない。コミュニケーションの構造を理解し、「話題」を「人格」の間に挟めるようになると、少しずつ疲れない会話ができるようになる。
テレビの収録現場では重宝される人に2種類いるように思われる。一つは面白い話でその場を盛り上げる人。もう一つは、上手に場を盛り上げる人だ。後者はさして面白くない話でも上手にリアクションをとることで、その場を面白くできるような人だ。テレビでは両方のタイプが重宝されるのに、日常生活では後者のタイプはあまり重要だとは思われていないようだ。
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