「考えすぎて言葉が出ない」がなくなる

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出版社
サンマーク出版

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出版日
2024年06月20日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

あなたの優しさが会話を止めてしまう。人は相手の気持ちを優先しすぎると、会話が続かなくなりがちだ。嫌われたらどうしよう。私の質問におかしなところはないだろうか。どうせ口下手だから。コミュニケーションに対して苦手意識を持っている人は少なくない。でも性格は問題じゃない。話術がなくても、人は話し上手になれる。それを詳しく説明したのが本書である。

本書の著者は明治大学文学部で教鞭を執り、いくつものベストセラーを手掛けてテレビ出演も多数こなしてきた齋藤孝教授だ。そんな著者が、経験と学の両方を活かして上手なコミュニケーションの取り方を教えてくれる。

コミュニケーションは性格に依存するものだと思われがちだ。しかし、これはとても酷な話だ。なぜなら個人の特性である性格は、そう簡単に変えられるものではないからだ。だから、コミュニケーションに向いていない、と言われればもうどうしようもなくなる。

しかし、本書はコミュニケーションに性格は関係ない、と断言する。要するに、スキルや発想の転換で、コミュニケーションがうまくなる可能性があるのだ。それも難しいものではない。本書に書かれている技術は明日からでも実践できるものばかりだ。そして、これほど読みやすいのに情報量はとても多い。やったらダメなこと、努力の仕方、ビジネスでの活用の仕方など、平易な言葉でコミュニケーションのすべてが網羅されている。コミュニケーションに苦手意識のある人、コミュニケーション力をもう1ランク高めたい人に、読んでほしい一冊だ。

著者

齋藤孝(さいとう たかし)
1960年静岡生まれ。明治大学文学部教授。東京大学法学部卒。同大学院教育学研究科博士課程を経て現職。『身体感覚を取り戻す』(NHK出版)で新潮学芸賞受賞。『声に出して読みたい日本語』(毎日出版文化賞特別賞、2002年新語・流行語大賞ベスト10、草思社)がシリーズ260万部のベストセラーになり日本語ブームをつくった。著書に『いつも「話が浅い」人、なぜか「話が深い」人』(詩想社)、『大人の語彙力ノート』(SBクリエイティブ)、『話がうまい人の頭の中』(リベラル新書)等多数。著者累計発行部数は、1000万部を超える。テレビ出演多数。

本書の要点

  • 要点
    1
    会話の得意不得意に性格は関係ない。コミュニケーションに疲れないために必要なこと。それは、人格で会話しないことだ。そのためには、相手と自分の間に話題を置くのが大切だ。
  • 要点
    2
    話のネタは面白くなくていい。いくつか話題を用意し、相手の様子を見ながら寿司ネタのように話題を出していくようにする。そうすると一つくらいはいい反応が返ってくる。
  • 要点
    3
    コミュニケーションの肝はリアクションだ。面白い話をしなくても、相手の話に適切なリアクションをすることで相手はいい印象を持つだろう。

要約

「話すのが苦手」は思い込み

コミュニケーションに性格は関係ない?

誰かと会話をするとき、自分が相手にどう思われているか気になる人は多いはずだ。嫌われたらどうしよう。今の言葉で悪い印象を持たれたかもしれない……。

人間関係は考え過ぎると疲れるものだ。自分はあまり話すのが上手な性格ではないと考え、話すことに苦手意識を持っている人もいるだろう。しかし、「話がうまいかどうか」と性格はまったく関係がない。自分は話が苦手だと思ってしまうのは、思い込みの部分が少なくないのである。あなたが「話を盛り上げられなかった」と感じていても、相手はそう思ってないかもしれない。根拠のない思い込みで、自信を失ったり人間関係を遠ざけてしまったりするのは、損なことなのではないだろうか。

話せない人から話せる人になる大きな一歩。それは「自分が何を話そうか」という意識から「この場をどうしようか」の意識に変えることだ。これだけでその場を動かしていくことができるようになるし、もっと積極的に話せるようになるはずだ。ここでは、それが「自然にできる人」だけが知っている「話し方」のコツを見ていこう。

人格で会話をするから疲れる
pixelfit/gettyimages

どうして人と話すのはこれほどまでに疲れるのだろうか。実は、コミュニケーションで疲れる人にはある共通点がある。それは、「人格」でコミュニケーションしようとしているところだ。人格で人と向かい合うと、相手の言葉を自分自身への直接の評価のように受け止めてしまい、傷つきやすくなる。コミュニケーションでは、相手と向かい合わない方が圧倒的にラクだ。

「人格」でコミュニケーションをせずにすむための方法の一つが、共通して話せる「話題」を相手との間に置くということだ。たとえば野球の話題が出たら「大谷翔平選手はすごいですね……」とネタを振ってみる。これは一対一の人格として向かい合うのではなく、共通の話題を提供することで「大谷翔平について語り合う二人」というような構図をつくっているのだ。こうすることでお互いの人格をのぞき込むことをせずに、平和的に盛り上がることができるようになる。

「人格」という言葉は、「プライベートゾーン」と言い換えられる。人と会話することに疲れるのは、このプライベートゾーンを守ろうとしているからに他ならない。コミュニケーションの構造を理解し、「話題」を「人格」の間に挟めるようになると、少しずつ疲れない会話ができるようになる。

会話上手は「お世話ができる人」

テレビの収録現場では重宝される人に2種類いるように思われる。一つは面白い話でその場を盛り上げる人。もう一つは、上手に場を盛り上げる人だ。後者はさして面白くない話でも上手にリアクションをとることで、その場を面白くできるような人だ。テレビでは両方のタイプが重宝されるのに、日常生活では後者のタイプはあまり重要だとは思われていないようだ。

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要約公開日 2024.10.09
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