人事ガチャの秘密

配属・異動・昇進のからくり
未読
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配属・異動・昇進のからくり
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人事ガチャの秘密
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出版社
中央公論新社

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出版日
2023年02月10日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

本書のタイトルにある「人事ガチャ」という言葉を見て、苦い記憶が蘇ってきた……そんな人も多いだろう。特に入社まもない若手ビジネスパーソンにとって、配属はまさに「ガチャ」である。自分に合っている(と思える)部署に配属されるかどうか、上司に恵まれる(もしくは恵まれたと思える)かどうかによって、日々の仕事も今後のキャリアも変わってくる。結果に一喜一憂するのは当然のことだ。

さて、そんな「人事異動」について、あなたはどの程度知っているだろうか。試しに、次の問いに答えてみてほしい。

(1)人事異動は誰が決めている?

(2)ハイパフォーマー、ローパフォーマー、ミドルパフォーマーのうち、直属上司からの目配りが乏しくなりがちなのはどの階層の人?

(3)(2)の人たちにとって、目配りされないことのデメリットは?

どうだろう。意外と確信をもって答えられない人も多いのではないだろうか。

本書は、パーソル総合研究所シンクタンク本部にて上席主任研究員を務める藤井薫氏が、人事異動のからくりを明かした一冊だ。まずは若手社員の配属パターンを6種類に分け、それぞれの特徴を解説した後、あなたの人事異動の命運を握る人は誰か、人事異動の文脈において上司から目配りされないのはどのような人たちか、目配りされないことによる弊害とは……など、異動する可能性があるすべての人にとって興味津々の話題が目白押しだ。

純粋に人事異動の裏側を知りたい人はもちろん、自分の進む道をより明るいものにしたい人に、ぜひ手に取ってほしい。

著者

藤井薫(ふじい かおる)
パーソル総合研究所シンクタンク本部 上席主任研究員。電機メーカーの人事部・経営企画部を経て、総合コンサルティングファームにて20年にわたり人事制度改革を中心としたコンサルティングに従事。その後、タレントマネジメントシステム開発ベンダーに転じ、取締役としてタレントマネジメントシステム事業を統括するとともに傘下のコンサルティング会社の代表を務める。 2017年8月パーソル総合研究所に入社、タレントマネジメント事業本部を経て20年4月より現職。タレントマネジメントを中心とした調査研究を担当。人事専門誌などへの寄稿も多数。

本書の要点

  • 要点
    1
    異動配置に関する著者の調査によると、調査対象のうち3分の1の会社が「10年間で3部署経験させる」方針を採用していた。
  • 要点
    2
    あなたの異動のキーパーソンは、人事部ではなく直属上司だ。ある調査によると、人事部が人事異動案を作る会社は全体で3割にとどまっていた。
  • 要点
    3
    人事異動において、ミドルパフォーマーは目配りされない傾向にある。ミドルパフォーマーにとって大切なのは、40代半ばまでに、それ以降も管理職に伍してプロフェッショナルとして通用する専門能力を身に付けておくことだ。

要約

御社の異動はどのタイプ?

代表的な6パターン

異動配置において「よし、ラッキー!」と思ったことがある人もいれば、希望が叶わず「配属ガチャ」だと落胆した経験のある人もいるだろう。

異動配置の代表的なパターンには、次の6通りがある。

(1)10年間3部署・ジェネラリスト育成型

(2)10年間3部署・専門職育成型

(3)初期配属部署固定型

(4)幅出しローテーション個別対応型

(5)ポジションニーズ優先型

(6)手挙げチャレンジ型

「10年間で3部署」の会社が3分の1
Andrii Yalanskyi/gettyimages

大手企業31社の人事部長や人事企画・人事異動担当管理職を対象として、一般社員層の人事異動配置パターンについてヒアリングしたところ、「10年間で3部署経験させる」という回答が最も多く、全体の3分の1を占めた。「10年間で3部署経験させる」はさらに2つのパターンに分けられる。

まず「10年間3部署・ジェネラリスト育成型」だ。これは10年かけて一人ひとりの適性を見極め、ジェネラリストを育てていくパターンである。異動するたびに新しい仕事を覚えなければならないため、一時的な生産性の低下は避けられない。そのコストを負担してまでこのパターンを採用する会社は決して多くない。

もう1つは、より一般的な「10年間3部署・専門職育成型」だ。担当職種は変えずに、担当商品や顧客、勤務地などを変えるという「幅出し」の異動パターンである。

続いて、最初に紹介した6パターンのうち、残りの4パターンについても解説したい。

「初期配属部署固定型」は異動がないパターンだ。特に技術系や事務系にこの傾向が見られる。

「幅出しローテーション個別対応型」は、先述した「幅出し」のローテーションの有無やタイミングを職種や個人ごとに決めるものだ。各部門のニーズに応えやすいため、若手育成の異動において採用されやすい。

「ポジションニーズ優先型」は、ポジションの空きがあったり、本人の適性と現在の所属にミスマッチが見られたりする場合に異動が行われる。

「手挙げチャレンジ型」は、個人の希望を重視した異動配置を行おうとするパターンだ。このパターンでは、社内公募制度やフリーエージェント(FA)制度が活用される。

職務適性を決める「人」と「タイミング」

異動配置方針は、社員一人ひとりの職務適性を「誰が」「いつ」判断するのかによって異なる。「誰が」と「いつ」の組み合わせは4つに分けられる。

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要約公開日 2024.10.16
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