異動配置において「よし、ラッキー!」と思ったことがある人もいれば、希望が叶わず「配属ガチャ」だと落胆した経験のある人もいるだろう。
異動配置の代表的なパターンには、次の6通りがある。
(1)10年間3部署・ジェネラリスト育成型
(2)10年間3部署・専門職育成型
(3)初期配属部署固定型
(4)幅出しローテーション個別対応型
(5)ポジションニーズ優先型
(6)手挙げチャレンジ型
大手企業31社の人事部長や人事企画・人事異動担当管理職を対象として、一般社員層の人事異動配置パターンについてヒアリングしたところ、「10年間で3部署経験させる」という回答が最も多く、全体の3分の1を占めた。「10年間で3部署経験させる」はさらに2つのパターンに分けられる。
まず「10年間3部署・ジェネラリスト育成型」だ。これは10年かけて一人ひとりの適性を見極め、ジェネラリストを育てていくパターンである。異動するたびに新しい仕事を覚えなければならないため、一時的な生産性の低下は避けられない。そのコストを負担してまでこのパターンを採用する会社は決して多くない。
もう1つは、より一般的な「10年間3部署・専門職育成型」だ。担当職種は変えずに、担当商品や顧客、勤務地などを変えるという「幅出し」の異動パターンである。
続いて、最初に紹介した6パターンのうち、残りの4パターンについても解説したい。
「初期配属部署固定型」は異動がないパターンだ。特に技術系や事務系にこの傾向が見られる。
「幅出しローテーション個別対応型」は、先述した「幅出し」のローテーションの有無やタイミングを職種や個人ごとに決めるものだ。各部門のニーズに応えやすいため、若手育成の異動において採用されやすい。
「ポジションニーズ優先型」は、ポジションの空きがあったり、本人の適性と現在の所属にミスマッチが見られたりする場合に異動が行われる。
「手挙げチャレンジ型」は、個人の希望を重視した異動配置を行おうとするパターンだ。このパターンでは、社内公募制度やフリーエージェント(FA)制度が活用される。
異動配置方針は、社員一人ひとりの職務適性を「誰が」「いつ」判断するのかによって異なる。「誰が」と「いつ」の組み合わせは4つに分けられる。
3,400冊以上の要約が楽しめる