近代組織論の父とも呼ばれる経営学者チェスター・バーナード氏は、組織における人間には2つの人格があると唱えている。それは個人人格と組織人格だ。
個人人格とは、自由な意志や動機に基づいて、何にどのくらいの時間や労力を割くかを決めている人格である。一方、組織人格とは、組織の指針によってある役割を担うことを強制されて行動している人格である。バーナード氏は両方の人格が同時に存在しているという。
若手社員の離職を防ぐためには、個人人格と組織人格の存在を理解する必要がある。会社を演劇の舞台にたとえてみよう。会社が舞台ならば社員は役者である。舞台上では役者に配役があり、自分の役が持つセリフや動きを表現することで、観客を盛り上げる。ビジネススキルとは、舞台上での「役割演技力」といえる。プロデューサーや演出家は、その役者の特性に応じて配役を決めており、役者がその役を演じきることで舞台が成り立つ。観客が喜ぶことが舞台の成功だ。
重要なのは、一人の人間の中で個人人格と組織人格が適切にチューニングされることである。個人人格ばかり優先していては組織が成り立たない。とはいえ、組織人格ばかり優先していると、個人人格が犠牲を強いられ、健全な関係が築けない。
そもそも組織と個人は対等な関係だ。健全に発展する社会とは、組織と個人が互いに効力感と幸福感を感じられる社会である。
個人人格と組織人格のチューニングができていないZ世代の特徴とは何か。それは個人人格を最優先にする傾向だ。
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