Z世代の社員マネジメント

深層心理を捉えて心離れを抑止するメソドロジー
未読
Z世代の社員マネジメント
Z世代の社員マネジメント
深層心理を捉えて心離れを抑止するメソドロジー
未読
Z世代の社員マネジメント
出版社
日本経済新聞出版

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出版日
2024年09月11日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

「モチベーションが上がる仕事を望む」「配属ガチャに外れたので転職を考え中」「上司からのフィードバックに必要以上に落ち込んでいる」。こんな状況の若手社員にどう対応すればいいのか悩む読者もいるだろう。なぜ、Z世代のマネジメントはかくも難しくなったのか? そんな課題意識を持つマネジメント層にぜひおすすめしたい本が登場した。

本書の著者は、リンクアンドモチベーションが蓄積してきた延べ45万人のデータから「Z世代の若手社員にありがちな傾向」をあぶり出す。ビジネススキルとモチベーションタイプの両面から、彼らの得意・苦手分野、深層心理に迫り、わかりやすく解説していく。もちろん、画一的に「Z世代はこう」と決めつけはしない。むしろ、人間の多様性や複雑性を受け入れ、若手社員の内面に寄り添おう、という思いが一貫して伝わってくる。

本書の魅力は、Z世代の特性を提示したうえで、会社と彼らにとってよいマネジメントを応用性の高い方法論に落としこんでいる点だ。Z世代の早期離職を防ぎ、定着してもらうために、マネジメント層や人事はどんなことを意識・実践するとよいのか。キーワードの1つは、「We感覚」を育てるオンボーディングである。その詳細については、まず要約を読んでいただきたい。

マネジメント力を磨き、個人と組織の建設的な関係性を築きたい――。本書は、そんな願いを抱く読者の背中を押してくれるだろう。

ライター画像
松尾美里

著者

小栗隆志(おぐり たかし)
株式会社リンクアンドモチベーション フェロー。
1978年生まれ。2002年、早稲田大学政治経済学部卒、株式会社リンクアンドモチベーション入社(新卒一期生)。人事コンサルタントとして、100社以上の組織変革や採用支援業務に従事。2014年、パソコンスクールAVIVAと資格スクール大栄を運営する株式会社リンクアカデミー代表取締役社長就任。17年、株式会社リンクアンドモチベーション取締役に就任し、経営に携わる。23年より現職。同年、株式会社カルチベートを創業。

本書の要点

  • 要点
    1
    一人の人間には個人人格と組織人格が同時に存在する。両者を適切にチューニングすることが重要である。若手社員はこのチューニングに不慣れなため、早期離職に至っている。
  • 要点
    2
    Z世代のスタンスを強化するためのキーワードは、「Say」「Target」「Action」「Role play」である。これを「STARの観点」と呼ぶ。
  • 要点
    3
    若手社員の早期離職を防ぎ、定着を図るためには、オンボーディングで「We感覚」を育むことが重要となる。

要約

「働く人間」の真実

「個人人格」と「組織人格」

近代組織論の父とも呼ばれる経営学者チェスター・バーナード氏は、組織における人間には2つの人格があると唱えている。それは個人人格と組織人格だ。

個人人格とは、自由な意志や動機に基づいて、何にどのくらいの時間や労力を割くかを決めている人格である。一方、組織人格とは、組織の指針によってある役割を担うことを強制されて行動している人格である。バーナード氏は両方の人格が同時に存在しているという。

若手社員の離職を防ぐためには、個人人格と組織人格の存在を理解する必要がある。会社を演劇の舞台にたとえてみよう。会社が舞台ならば社員は役者である。舞台上では役者に配役があり、自分の役が持つセリフや動きを表現することで、観客を盛り上げる。ビジネススキルとは、舞台上での「役割演技力」といえる。プロデューサーや演出家は、その役者の特性に応じて配役を決めており、役者がその役を演じきることで舞台が成り立つ。観客が喜ぶことが舞台の成功だ。

重要なのは、一人の人間の中で個人人格と組織人格が適切にチューニングされることである。個人人格ばかり優先していては組織が成り立たない。とはいえ、組織人格ばかり優先していると、個人人格が犠牲を強いられ、健全な関係が築けない。

そもそも組織と個人は対等な関係だ。健全に発展する社会とは、組織と個人が互いに効力感と幸福感を感じられる社会である。

Z世代の若手社員にありがちな傾向
wakashi1515/gettyimages

個人人格と組織人格のチューニングができていないZ世代の特徴とは何か。それは個人人格を最優先にする傾向だ。

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要約公開日 2024.11.13
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