強固な文化を持つチームには、メンバー間の温かなつながりと、自分の意見を述べる意思がある。こうした心理的安全性は「帰属のシグナル」を出し続けることによって築かれていく。
帰属のシグナルとは、次のようなメッセージを明確に伝えるちょっとした態度や行動のことだ。
・私たちはつながっている
・私たちは同じ未来を共有している
・私はあなたのことを気にかけている
・ここではあなたの意見が尊重される
・あなたは大切な存在だ
私たちの脳は、帰属のシグナルを感知するとスイッチが切り替わる。危険がないかどうかをつねに探っている「警戒モード」から、周りの人と積極的に協調しようとする「つながりモード」に移行するのだ。これにより、強固な文化の基礎となる「安全な環境」を確立できる。
次からは、「安全な環境」づくりに役立つ行動を紹介していこう。
いくら有能であっても、人間性に問題がある人を許容してはならない。これまでの研究では、「有能な人でなし」が大きな成果を出したとしても、その人物の存在によってチーム全体が受ける損害のほうが大きくなることがわかっている。
「有能な人でなし」を一切許容しないという方針は、明確な帰属のシグナルとしての役割を果たす。この方針はすなわち「たとえどんなに有能であっても、チーム全体よりも優先されることはない」というメッセージになるからだ。
人でなしのいないチームを作りたいなら、「有能な人でなし」を一切許容しないという態度を明確にルール化し、採用の過程で候補者にはっきりと伝えるとともに、許容されない態度や行動の例をくり返し発信しよう。許容できない態度をとる人がいたらすぐに指摘し、改まらないようならチームから追放するという判断も必要だ。
メンバー同士がお互いの長所や性格、習慣などを知ることは、チームのパフォーマンス向上に役立つ。
その具体的な実践方法の一つが、「私のトリセツ」をつくることだ。それぞれのメンバーが、自分の価値観、コミュニケーション法の好み、やると元気が出る活動・消耗する活動などを開示する。次の4つの質問に答えるのもいいだろう。
・私が最高の自分になれるのはどんなときか?
・私が最低の自分になってしまうのはどんなときか?
・「これなら私に任せて」と言えるものは何か?
・他のメンバーに望むものは何か?
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