金谷元気(以下、著者)が起業したのは24歳の時だった。今でこそ世界一を目指して頑張っているが、それまではサッカー一筋で、ビジネスにまったく興味がなかった。高校卒業後はJリーガーを目指しながらアルバイトをしていたが、どの職場でもミスばかり。シフトを減らされてしまい、貯金もまったくなかった。
しかし2004年の春、自分の得意なことに気づく出来事があった。その時著者は、当時付き合っていた彼女と天王寺にいた。これから電車で帰ろうと財布を見ると、200円ちょっとしかない。しかも彼女も財布を持っていない。電車賃は500円以上かかるため、どうしようと思っていたところ、雨が降り出した。
雨宿りをしていると、近くの100円ショップに販売されている100円のビニール傘が目に入った。「これを2本買って1本300円で売れば、電車賃がまかなえるのではないか」。著者は持っていたノートに「ビニール傘 1本300円」とサインペンで書き、店から少し離れた場所で掲げてみた。するとスーツを着た2人組が目をとめて、傘を2本買ってくれたのだ。
600円を手にした著者らは、電車で帰ることに成功した。著者はこの時、自分は「営業」のようなことが得意かもしれないと気づき、ビジネスに興味を持つようになった。
それからもJリーガーになる努力は続けたが、結局プロになることはできなかった。「22歳までにプロ契約できなければ、サッカーを引退する」と決めていた著者は、2009年2月、24歳で起業した。
資本金は5万円。家賃4万円の自宅をオフィスにして、「合同会社ギャラクシーエージェンシー」を立ち上げた。業務内容は、通信会社の営業代行だ。在庫を持たずに済み、キャッシュフローがいいことが決め手だった。
3,400冊以上の要約が楽しめる