番狂わせの起業法

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番狂わせの起業法
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番狂わせの起業法
出版社
かんき出版

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出版日
2024年07月29日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

起業したい、何かビジネスをやってみたい。そう思ったら、まず何をすればいいのだろうか。

資金を貯める、ノウハウを学ぶ、人脈を広げる――。もちろん、それらも一案だ。しかし本書を読むと、何よりも大事なのは「一歩を踏み出す勇気」であることを知るだろう。

本書は、駐車場シェアリングサービス「アキッパ」を手がけるakippa株式会社の創業物語である。今でこそ新進気鋭のテックカンパニーであるが、もとは著者の金谷元気氏がたった一人で立ち上げた営業代行会社だった。当時、ビジネスの知識はほとんどなく、開業資金は5万円。それがなぜここまで成長できたのか? 「番狂わせ」はどのようにして起きたのか?

本書の構成は、金谷氏の起業ストーリーと、akippa社の経営を分野別に解説する2部構成となっている。“汗と涙のノンフィクション”に終始せず、スタートアップ経営のイロハを示してくれているところが、本書の醍醐味でもある。

会社を運営していく過程では、当然ながら様々な困難に直面する。初志や自分のやり方にこだわるあまり、組織の成長を自ら阻んでしまう経営者は少なくない。しかし金谷氏は、人の意見に素直に耳を貸し、時に軌道修正もいとわない。良き協力者たちが次々と集まり、組織や事業を着実に育てられたのは、この姿勢に依るところが大きいと要約者は感じた。

さて、起業するには何が必要か。本書を読んで、そのヒントを見つけていただきたい。

ライター画像
矢羽野晶子

著者

金谷 元気(かなや げんき)
◉──akippa株式会社 創業者兼代表取締役社長CEO
◉── 1984年生まれ。駐車場シェアリングサービス「アキッパ」を運営するakippa株式会社の代表取締役社長CEO。高校卒業後から4年間はJリーガーを目指し関西サッカーリーグでプレー。サガン鳥栖やザスパ群馬(当時のザスパ草津)の練習生にもなったが、プロ契約ならず22歳で引退。2009年に24歳で会社を設立。
X:@genki_kanaya
Instagram:@genki_kanaya

akippa(あきっぱ)
◉── 2009年に創業者の金谷元気が設立。当初は営業代行会社として、様々
な他社商材を取り扱ったが「なんのために仕事をやるのか?」を深く考え、2014年に駐車場シェアリングサービス「アキッパ」をリリース。SOMPOホールディングス、ディー・エヌ・エー、グロービス・キャピタル・パートナーズ、住友商事などから総額35億円の出資を受けている。「アキッパ」の会員登録数は2024年現在で累計400万人を突破している。

本書の要点

  • 要点
    1
    高校を卒業してJリーガーを目指していた著者は、ある出来事をきっかけにビジネスに興味を持つ。そして24歳の時、営業代行会社を起業する。
  • 要点
    2
    大口の資金調達はしたものの、会社は火の車だった。ある日、自宅の電気を止められてしまった著者は、電気のような「なくてはならないサービスをつくりたい」と思うに至る。これが駐車場シェアリングサービス「アキッパ」誕生のきっかけとなった。
  • 要点
    3
    大手テックカンパニーが次々と参入してきたが、著者らは人材補強や地道な駐車場開拓活動を展開。ついには「ジャイアントキリング」を起こした。

要約

【必読ポイント!】番狂わせの起業

Jリーガーの夢を諦め、起業する
Moment Capsule Photography/gettyimages

金谷元気(以下、著者)が起業したのは24歳の時だった。今でこそ世界一を目指して頑張っているが、それまではサッカー一筋で、ビジネスにまったく興味がなかった。高校卒業後はJリーガーを目指しながらアルバイトをしていたが、どの職場でもミスばかり。シフトを減らされてしまい、貯金もまったくなかった。

しかし2004年の春、自分の得意なことに気づく出来事があった。その時著者は、当時付き合っていた彼女と天王寺にいた。これから電車で帰ろうと財布を見ると、200円ちょっとしかない。しかも彼女も財布を持っていない。電車賃は500円以上かかるため、どうしようと思っていたところ、雨が降り出した。

雨宿りをしていると、近くの100円ショップに販売されている100円のビニール傘が目に入った。「これを2本買って1本300円で売れば、電車賃がまかなえるのではないか」。著者は持っていたノートに「ビニール傘 1本300円」とサインペンで書き、店から少し離れた場所で掲げてみた。するとスーツを着た2人組が目をとめて、傘を2本買ってくれたのだ。

600円を手にした著者らは、電車で帰ることに成功した。著者はこの時、自分は「営業」のようなことが得意かもしれないと気づき、ビジネスに興味を持つようになった。

それからもJリーガーになる努力は続けたが、結局プロになることはできなかった。「22歳までにプロ契約できなければ、サッカーを引退する」と決めていた著者は、2009年2月、24歳で起業した。

資本金は5万円。家賃4万円の自宅をオフィスにして、「合同会社ギャラクシーエージェンシー」を立ち上げた。業務内容は、通信会社の営業代行だ。在庫を持たずに済み、キャッシュフローがいいことが決め手だった。

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要約公開日 2024.11.23
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