部下がついていきたい上司は、トップからの信頼が厚く、愛をもって部下を導く人物だ。そして、適切に権限委譲をし、成果を部下に与えて責任をとる。こうした理想の上司が必ず身につけているのは、「人が話をしに来てくれる人間力」である。人間力に磨きをかけるには、口角を上げて微笑む習慣を付けることから始めるとよい。職場でも街中で道を聞くときも口角を上げると、相手との雰囲気が良くなり、相手に好印象を残せる。コストゼロ、効果は絶大である。
人の話を聞くときは「1.5秒の間」を意識するとよい。適切な「間」をとることで、相手の話す内容をしっかり腹に落とし込めるし、その様子を見た相手は安心して会話を続けられる。人に話をするときにも同じく「間」をうまく活用したい。
また、相手に熱意を伝え、信頼を築くにはアイコンタクトも欠かせない。適切にアイコンタクトをとりながら、前のめりで相手の話を聴く姿勢は、誠意をもってコミュニケーションをしているという証になる。
部下を変えようとすればするほど、彼らは内に閉じこもるか反発をする。複雑な感情を持つ人間の気持ちを自分の意のままにすることは不可能といってよい。
しかし、相手は変えられなくても、自分の行動を変えることはできる。大塚製薬で常務取締役を務める渡辺達朗氏は、「変えられることにエネルギーを集中せよ」と助言している。自分を良いほうへ変えることで、人間関係を大きく改善できる。
著者が運営するビジネス塾「西岡塾」では、次の三カ条がある。「出過ぎた杭になれ」、「雄弁は金、沈黙はクズ」、「自己変革の意識無き者は去れ」という内容だ。
中でも、雄弁であることはリーダーシップの大事な要素である。上司の役割は、ビジョンの達成に向けて部下を鼓舞し、ベクトルをそろえていくことであるため、自分の信念を明快に、説得力をもって主張することが求められる。
では、説得力を高め、わかりやすく話せるようになるにはどうしたらいいのか。著者がおすすめする方法は、要点を一言でズバッと表すことである。物事の本質を見極めていなければ、端的に伝えることは難しい。
ホンダの創業者、本田宗一郎氏は、常に「A00」を問うていたという。「A00」とは米軍の作戦計画書の最初に登場する「本質的な目標」を指す。
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