多動力

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多動力
出版社
出版日
2017年05月30日
評点
総合
4.2
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.5
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おすすめポイント

これまで信じてきた価値観がゴッソリ根っこから覆される本との出合いは久々だ。現在、IoTなどのテクノロジーの進展により、あらゆる産業のタテの壁が溶けて消失しつつある。そんな時代に求められるのは、各業界の垣根を軽やかに越えていく「越境者」だ。越境者には、次から次に好きなことをハシゴしまくる「多動力」が欠かせないと著者はいう。

著者の堀江氏は、石の上にも三年、完璧主義といった価値観をぶった斬り、180度の転換を図っていく。これからの時代で大切なのは、「自分の時間」を生きることだ。仕事を効率よく進める工夫をし、原液のように濃厚なコンテンツをつくることで、自分の分身が仕事をしてくれるようになる。「いやいや、堀江さんだからできるんでしょう?」と一蹴するのは早計だ。本書に紹介されている考え方は、とかく制約の多い会社員でも明日から実践できるものばかりである。

堀江氏の著書の面白さは、「誰かに言葉にしてほしかった真実」が突きつけられ、世界との対峙の仕方を見直すチャンスを得られる点にもある。一見バラバラな活動を、あれもこれも試す生き方だってアリ。本書を読めばそう思わずにはいられない。

今の生き方に疑問がある方は、新しい生き方・働き方の決定版として迷わず本書を読んでいただきたい。人生を1秒残らずワクワクで埋め尽くしたくなるにちがいない。

ライター画像
松尾美里

著者

堀江 貴文(ほりえ たかふみ)
1972年、福岡県生まれ。SNS media & consulting株式会社ファウンダー。現在は宇宙ロケット開発や、スマホアプリ「TERIYAKI」「755」「マンガ新聞」のプロデュースを手掛けるなど幅広く活動を展開。有料メールマガジン「堀江貴文のブログでは言えない話」の読者は1万数千人の規模に。2014年8月には会員制のコミュニケーションサロン「堀江貴文イノベーション大学校」をスタートした。
近著に『すべての教育は「洗脳」である』『むだ死にしない技術』など。
Twitterアカウント: @takapon_jp

本書の要点

  • 要点
    1
    今後は業界の壁を軽やかに飛び越える「越境者」が求められる。越境者に必要なのは、次から次に好きなことをハシゴしまくる「多動力」である。
  • 要点
    2
    多動力を発揮するには、何か一つのことにサルのようにハマり、飽きたらすぐに次に移るとよい。
  • 要点
    3
    「原液」のように濃厚なコンテンツを生み出すことで、それに熱狂した自分の分身が勝手に仕事をしてくれるようになる。
  • 要点
    4
    人生に目的はいらない。ワクワクすることにハマれば結果はあとからついてくる。

要約

一つのことをコツコツやる時代は終わった

寿司屋の修行なんて意味がない
IPGGutenbergUKLtd/iStock/Thinkstock

あらゆるモノがインターネットにつながることによって、全業界のタテの壁が崩れ去り、フラットに開かれた社会が誕生した。これからは、業界の壁を軽やかに飛び越える「越境者」にこそ、チャンスがあるという。「越境者」に必須となる能力が、次から次に好きなことをハシゴしまくる「多動力」だ。

修行や下積みなど、苦しいことを我慢して行うという美学から、日本人は解放されたほうがよい。寿司職人が修行に何年も費やすのは、貴重な時間の無駄遣いでしかない。現に、大阪の「鮨 千陽(ちはる)」の土田秀信店長は、専門学校で3カ月寿司づくりを学んだだけで、開店からたった11カ月にして『ミシュランガイド京都・大阪2016』の「ビブグルマン」部門に選ばれるという快挙を成し遂げた。

これまで、情報や技術、権利は、限られた人間の専売特許として囲い込まれていた。しかし、インターネット出現後は「オープンイノベーション」が前提となっている。こうした時代においては、情報収集に貴重な時間をかける必要はなく、そもそも情報自体の価値はゼロといってよい。みんなで情報を共有し、それをもとに新しい発想や発明を積み重ねるほうが技術の進化は速くなる。今後必要なのは、とにかくチャレンジする行動力と、アイデアを進化させる力なのだ。

三つの肩書きで、あなたの価値は1万倍になる

あらゆる産業の「タテの壁」が崩壊した今、一つの肩書きにこだわっている人は、その他大勢に埋もれてしまう。ダイヤモンドの価値が高いのは、それが美しいからではなく、珍しいからだ。

元リクルートの藤原和博氏は「レアカードになる方法」を提唱している。一つのことに1万時間、つまり1日6時間として5年間取り組めば「100人に1人」の人材になれるという。ここで別の分野に1万時間取り組めば、「100人に1人」×「100人に1人」の掛け算で、1万人に1人という貴重な人材になれる。さらに別の分野に1万時間かければ、100万人に1人の人材が誕生し、結果的に価値が上がる。三足のワラジは二足のワラジ以上の相乗効果を得られる。

ポイントは、似通ったワラジよりも異なるワラジを掛け合わせたほうが希少性を高められるという点だ。複数の肩書きを掛け算し、レアな存在になろう。

バカ真面目の洗脳を解け

「全部自分でやらなければいけない」、「準備万端でなければいけない」。これらは思いこみにすぎない。中でも、「すべての仕事で100点をとらなければいけない」という思いこみは根強いものである。しかし、常に全力投球ではすぐに息切れしてしまうだろう。

重要なのは、たまに手を抜くことである。試合中、常に全力疾走のサッカー選手は肝心のチャンスで100%の力を発揮できない。一方、超一流の選手は試合のうち大半をサボっていて、ここぞというときに得点を奪う。

仕事に忙殺されている人は完璧主義をやめ、一度手をつけた仕事をサクサクと完了させる「完了主義」を意識しよう。そうすれば、大量のプロジェクトを動かせる。

サルのようにハマり、鳩のように飽きよ

まずは、一つのことにサルのようにハマれ
Wavebreakmedia/iStock/Thinkstock

多動力とは、異なる、いくつものことに次から次へとハマる力である。その源泉となる好奇心と集中力を培い、何百もの物事にハマるには、まずは何か一つのことにサルのようにハマるとよい。

バランスを重んじる日本の教育は、子どもの好奇心と集中力をそぐようにできている。例えば給食の時間に「三角食べ」を指導するのは、無理やり子どもたちを「バランス信仰」に洗脳しようとしていたとしか思えない。しかし、ノーベル賞をとるような研究者や医師など、頭一つ抜きん出た人物は総じて、バランスを欠いた変人だ。こうしたことからも、子どもには平均的になるような教育をするのではなく、好きなことをとことんやらせておくほうがよいといえる。

著者はゲームにハマった経験を、スマホゲームのアイデアの着想や、グルメアプリ、サロン運営などに活かしている。一つのことに夢中になり、根っこまで掘り下げれば、そのジャンルの真髄がわかり、あらゆるものに応用できるのだ。

飽きっぽい人ほど成長する

飽きやすいというと、ネガティブにとらえられることが多い。しかしそれは、

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要約公開日 2017.06.14
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