『本は読み方次第で、いくらでも、読み手の頭をよくしてくれます。いくつかの専門分野なら、読書による独学も可能です。読書は、いまも、わたしにとって最高の勉強法です。』
小宮氏は冒頭で読書について上記のように語っている。しかし、この言葉だけを切り取って、多読に走るのは少し待っていただきたい。がむしゃらに多読しても頭はよくならないのだ。小宮氏は以下のように読書の注意点を指摘している。
『読書で頭をよくすることができる。でも、どんな読書法をしようと、頭をよくする本としない本がある。逆に、頭をよくする本でも、読書法が間違っていると、頭は良くならない。』
それではどのように「読書」するのが望ましいのだろうか。
小宮氏は、読書は「速さ」によって区別されるものではなく、「目的」によって使い分けるべきものであると主張している。
小宮氏は読書をその目的に応じて、①速読、②通読レベル1、③通読レベル2、④熟読、⑤重読(再読)の5つに分けている。以下ハイライトでは、5段落に分けてその5つの読書法を紹介していきたい。
巷では「速読」というスキルは脚光を浴びがちであるが、小宮氏は本章でいきなり「速読では頭はよくならない」と指摘している。小宮氏の言う「頭のよい」状態というのは「高い論理的思考力」を兼ね備えた状態のことである。論理レベルを高めるためには、論理レベルが高い人が書いた本を読んで、その論理を「なぞる」のが非常によい方法である。しかし、残念ながら、速読でそれを得ることはまず不可能なのだ。
例えば、論理レベル3の人が、論理レベル5の本を速読で読んだとしたら、どうなるだろうか。目次程度の表面的な「情報」は得ることができるが、所詮は表面的な「知識」にすぎない。知識はすぐに忘れてしまう。本を読んだ気にはなるだろうが、それだけのことなのだ。頭をよくするには、自分より論理レベルの高い人の本を、じっくり読む必要があるのだ。
だからといって、小宮氏は速読を否定しているわけではない。というのも、速読にもメリットが存在するからだ。そのメリットとは、「必要十分な知識・情報を素早く手に入れることができる」ということだ。すなわち、頭からすべて読むのではなく、自分が必要なポイントだけ拾って読んでいくのが速読なのである。
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