ビジネスを取り巻く環境はめまぐるしく変化し続けている。「明日、何があるかわからない」という不安を消そうとするのではなく、不安だからこそ自分なりに先を見通す努力をして、変化に素早く対応する必要がある。
ビジネスの本質とは、「求める人と与える人のエコシステム(生態系)」である。お腹がすいた人においしい料理を出す。手持ちぶさたな人に手軽なゲームを提供する。人々が求めているものを感じ取り、それを具体的な形にする技術を磨き続け、ニーズの変化にいち早く対応することができれば、どんな時代でも生きていけるはずだ。
ユーザーが真に求めているものを生み出すために集中することがビジネスの成功につながる。
会社は、「人」がすべてである。どんな人が働いているかによって企業文化が決まり、企業の盛衰が決まる。
LINE株式会社は、採用には慎重を期している。「ユーザーのニーズに応える」こと以外をモチベーションにする人が紛れ込んでしまわないように、大量採用を避け、一人一人の「人物」を見極める必要があると考えているからだ。面接での見極めのポイントは、目をキラキラさせながら「どんな仕事をしたいのか」「自分をどう活かしたいのか」を語れるかどうかや、謙虚にさらなる成長を求めているかどうかという点である。
本当に優秀な人が求めているのは、お金でも地位でもなく、業界トップの「すごい人」と一緒に働くことである。社内に「すごい人」がたくさんいれば、自然と優秀な人を引き寄せる。採用戦略の根幹は、優秀な社員が能力を思う存分発揮できる環境を整えることだといえる。
LINE株式会社でヒット商品をつくり続ける「すごい人」たちの共通点は、自分の感性を信じ、自分が「面白い」と思うものを追求しているところだ。様々なゲームをやり尽くし、気になるアプリを片っ端からダウンロードして試す。だからこそ、モノの良し悪しがわかり、感性がどんどん磨かれていく。ユーザーの気持ちに思いを馳せながら、自分の感性を追求すれば、自然とユーザーに喜ばれるものに近づいていくのだ。
著者が企画の採択で重視するのは、つくり手の「これが面白い」というウソ偽りのない「実感」が込められているかどうかである。ヒット商品を生み出し続ける人たちの企画には、この実感が必ず込められている。
また、「空気を読まない」のも「すごい人」たちの共通点である。彼らは上司や仲間に臆することなく自分の意見を述べ、ときにはダメ出しをすることもある。それは、彼らが職場で批判されることよりも、ユーザーのニーズからズレることを恐れているからである。ユーザーが求めているものから、ほんの「1ミリ」ズレただけでも、つくり上げたプロダクトは相手にしてもらえないというマーケットの厳しさが骨身に沁みているのだ。職場の空気を読まず、ユーザーのニーズをシンプルに追求する人だけが、ずば抜けた結果を出せる。
ビジネスにおいて、ヒト・モノ・カネなどのリソースはいつも足りないのが現実だ。大切なのは、その中でいかに知恵を絞って結果を出すかである。
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