いま途方もなく大きな規模の創造的・革新的変化のプロセスが本格的に始まろうとしている。未来になにが待っているかを知るためには向こう数十年を形づくる五つの要因について考える必要がある。その一つ目の要因がテクノロジーの進化だ。テクノロジーは常に、仕事のあり方と人々の働き方に大きく影響してきた。
特にこの要因については、①テクノロジーが飛躍的に発展しコストが急落すること、②世界の五〇億人がインターネットで結ばれること、③地球上のいたるところで「クラウド」を利用できるようになること、などといった現象に注目すべきだ。
二つ目の要因はグローバル化の進展である。グローバル化の流れが本格化しはじめたのは、第二次世界大戦後のことだ。一九四四年のブレトンウッズ会議で世界銀行とIMFが設立され、本当の意味での国際貿易の制度が誕生したのである。
特にこの要因については、①二四時間・週七日休まないグローバルな世界が出現したこと、②中国・インドの経済発展が目覚ましく人材輩出国としても台頭してきていること、③世界の様々な地域に貧困層が出現すること、などといった現象に注目すべきだ。
社会の人口構造と仕事の世界の間には、切っても切れない結びつきがある。具体的には、世代、出生率、平均寿命の三要素の影響が重要である。
特にこの要因については、①Y世代の影響力が拡大すること、②寿命が長くなり、ベビーブーム世代の一部が貧しい老後を迎えること、③国境を越えた移民が活発になること、といった現象に注目すべきだ。
私たちの意識がどう変化するかを予測することは困難だが、テクノロジーの進化など表面的な部分こそ変わっても、マズローが示したように人間の根本的な欲求に関する性質はおそらく変わらないだろう。
特にこの要因については、①家族のあり方が変わり規模が小さくなること、②女性の力が強くなること、③バランス重視の生き方を選ぶ男性が増えること、などといった現象に注目すべきだ。
私たちが未来にどういう働き方をするかは、エネルギーをどの程度利用できるか、そしてエネルギーの利用が環境にどのような影響を及ぼすかという点と密接に結びついている。エネルギー問題と環境問題は、第一次産業革命以降、悪化し続けてきた。二〇三〇年頃までには、エネルギーと気候変動の問題が世界の最重要課題に浮上しているはずだ。
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