ワーク・シフト

孤独と貧困から自由になる働き方の未来図
未読
ワーク・シフト
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孤独と貧困から自由になる働き方の未来図
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ワーク・シフト
出版社
プレジデント社
出版日
2012年07月31日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.5
革新性
4.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

二〇年後、私たちの働き方はどのように変化しているのだろうか。朝九時に出社し、夕方の五~六時に退社するといったこれまで当たり前だったスタイルは二〇年後の未来でも主流なのであろうか。

一九九〇年頃の世界と比較すると、二〇一三年の現在は驚くべきほど変化している。特にその変化が目覚ましいのがテクノロジーの分野だ。一九九〇年といえば、まだ携帯電話がほとんど普及しておらず、インターネット回線が引かれているオフィスもほとんどない世界であった。クライアントとは電話や手紙でやり取りをしていた時代だ。それが今では地球の裏側のチームともテレビ会議が行え、資料のやり取りもメールで簡単に行うことができるようになった。いったい二〇年後はどのような働き方をしているのだろうか。

本書は、テクノロジーの進化だけではなく、グローバル化、エネルギーなど五つの要素、三二の現象から未来の働き方を予測している。描かれる暗い未来を「漫然と迎える未来」、明るい未来を「主体的に築く未来」と表現し、二〇二五年に生活する登場人物の未来の生活をリアルに語っている。そのうえで、明るい未来を築くための我々が改めるべき発想を「三つのシフト」として論じている。

二〇二五年、働き盛りである若い世代に一読の価値がある。本書で語られる通り、未来の働き方はこれまでの常識が全く通用しないものとなるだろう。今後の人生の指針を考えるためには必読書である。

著者

リンダ・グラットン
ロンドン・ビジネススクール教授。
経営組織論の世界的権威で、英タイムズ紙の選ぶ「世界のトップビジネス思想家一五人」のひとり。ファイナンシャルタイムズでは「今後一〇年で未来に最もインパクトを与えるビジネス理論家」と賞され、英エコノミスト誌の「仕事の未来を予測する識者トップ二〇〇人」に名を連ねる。組織におけるイノベーションを促進するスポッツムーブメントの創始者。『HotSpots』『Glow』『Living Strategy』など7冊の著作は、計二〇ヶ国語以上に翻訳されている。人事、組織活性化のエキスパートとして欧米、アジアのグローバル企業に対してアドバイスを行う。現在、シンガポール政府のヒューマンキャピタルアドバイザリーボードメンバー。

本書の要点

  • 要点
    1
    テクノロジーの進化、グローバル化の進展、人口構造の変化と長寿化、社会の変化、エネルギー・環境問題の深刻化の五つの要因から未来の働き方は大きく変化する。
  • 要点
    2
    五つの要因から描かれる悲観的なシナリオでは、いつも時間に追われ続け、孤独にさいなまれ、繁栄から締め出される「漫然と迎える未来」となる。
  • 要点
    3
    五つの要因から描かれる好ましいシナリオでは、未来の働き方は、コ・クリエーションが行われ、積極的に社会と関わり、ミニ起業家が活躍する「主体的に築く未来」となる。
  • 要点
    4
    明るい未来を築くためには、①ゼネラリストから「連続スペシャリスト」へ、②孤独な競争から「協力して起こすイノベーション」へ、③大量消費から「情熱を傾けられる経験」へ、という三つのシフトをおこなう必要がある。

要約

なにが働き方の未来を変えるのか? ― 未来を形づくる五つの要因

要因1 テクノロジーの進化

いま途方もなく大きな規模の創造的・革新的変化のプロセスが本格的に始まろうとしている。未来になにが待っているかを知るためには向こう数十年を形づくる五つの要因について考える必要がある。その一つ目の要因がテクノロジーの進化だ。テクノロジーは常に、仕事のあり方と人々の働き方に大きく影響してきた。

特にこの要因については、①テクノロジーが飛躍的に発展しコストが急落すること、②世界の五〇億人がインターネットで結ばれること、③地球上のいたるところで「クラウド」を利用できるようになること、などといった現象に注目すべきだ。

iStockphoto/Thinkstock
要因2 グローバル化の進展

二つ目の要因はグローバル化の進展である。グローバル化の流れが本格化しはじめたのは、第二次世界大戦後のことだ。一九四四年のブレトンウッズ会議で世界銀行とIMFが設立され、本当の意味での国際貿易の制度が誕生したのである。

特にこの要因については、①二四時間・週七日休まないグローバルな世界が出現したこと、②中国・インドの経済発展が目覚ましく人材輩出国としても台頭してきていること、③世界の様々な地域に貧困層が出現すること、などといった現象に注目すべきだ。

要因3 人口構造の変化と長寿化

社会の人口構造と仕事の世界の間には、切っても切れない結びつきがある。具体的には、世代、出生率、平均寿命の三要素の影響が重要である。

特にこの要因については、①Y世代の影響力が拡大すること、②寿命が長くなり、ベビーブーム世代の一部が貧しい老後を迎えること、③国境を越えた移民が活発になること、といった現象に注目すべきだ。

iStockphoto/Thinkstock
要因4 社会の変化

私たちの意識がどう変化するかを予測することは困難だが、テクノロジーの進化など表面的な部分こそ変わっても、マズローが示したように人間の根本的な欲求に関する性質はおそらく変わらないだろう。

特にこの要因については、①家族のあり方が変わり規模が小さくなること、②女性の力が強くなること、③バランス重視の生き方を選ぶ男性が増えること、などといった現象に注目すべきだ。

要因5 エネルギー・環境問題の深刻化

私たちが未来にどういう働き方をするかは、エネルギーをどの程度利用できるか、そしてエネルギーの利用が環境にどのような影響を及ぼすかという点と密接に結びついている。エネルギー問題と環境問題は、第一次産業革命以降、悪化し続けてきた。二〇三〇年頃までには、エネルギーと気候変動の問題が世界の最重要課題に浮上しているはずだ。

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要約公開日 2013.10.31
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