ロジカル・シンキング

論理的な思考と構成のスキル
未読
ロジカル・シンキング
ロジカル・シンキング
論理的な思考と構成のスキル
未読
ロジカル・シンキング
出版社
東洋経済新報社
出版日
2001年05月08日
評点
総合
4.2
明瞭性
4.5
革新性
3.5
応用性
4.5
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おすすめポイント

「論理的な思考力を鍛えたい」。「企画が通るよう、説得力のあるプレゼンができるようになりたい」。そんなニーズを持つ人たちにとっての、ロジカル・シンキングの入門書の決定版が本書である。

ビジネス上のコミュニケーションにおいては、顧客や取引先、株主、上司、部下などの多様な利害関係者に対し、自分や組織の考えをわかりやすく伝えて、納得を引き出し、彼らを巻き込んで成果を生み出すことが求められる。そのときの有効な手立てが、論理的なメッセージを伝えて、相手を説得し、期待する反応を得る「ロジカル・コミュニケーション」だと著者たちは述べている。この重要性には誰もが頷くものの、体系だった、シンプルで再現性のある論理的思考の技術を学ぶ機会がない、という人も少なくないだろう。

本書には、マッキンゼーのエディターとしての著者たちの経験から紡ぎ出された、論理的にメッセージを伝えるためのポイントが凝縮されている。そのポイントとは、話の重複や漏れ、ずれをなくす技術「MECE」と、話の飛びをなくす技術「So What?/Why So?」だ。これらの技術を習慣づけることによって、論理的思考力・表現力が飛躍的に向上するはずである。また、実践に即した例題とその解答例、より応用度の高い練習問題が数多く掲載されているので、「学んで終わり」から一歩も二歩も先に進めることができるはずだ。

論理的な思考力・表現力の土台を身につけたいと考える新入社員や若手社員、ロジカル・シンキングが体得できているかおさらいしたい方に、本書をおすすめしたい。

ライター画像
松尾美里

著者

照屋 華子(てるや はなこ)
東京大学文学部社会学科卒業。(株)伊勢丹業務部広報担当を経て、1991年、経営コンサルティング会社マッキンゼー・アンド・カンパニーにコミュニケーション・スペシャリストとして入社。現在、同社と嘱託契約にて、顧客企業へのコンサルティング・レポートや提案書、記事等、さまざまなビジネス・ドキュメントを対象に、論理構成・日本語表現の観点からアドバイスを提供するエディティング・サービスに従事。
また、論理構成をはじめ、ビジネス・ライティング、口頭説明についての多数のトレーニングを顧客企業やコンサルタント対象に実施するとともに、ロジカル・コミュニケーションの手法の開発や論文執筆に関するエディティング等にも取り組んでいる。

岡田 恵子(おかだ けいこ)
慶應義塾大学法学部法律学科卒業。(株)日本交通公社出版事業局を経て、1989年、経営コンサルティング会社マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社。コミュニケーション・スペシャリストとして、顧客企業向けコンサルティング・レポートの論理構成や表現委関するエディティング・サービスやコミュニケーション戦略の立案・実施支援に従事。また、コンサルタントや顧客企業への論理構成のトレーニング等に携わる。1998年に独立。現在、マッキンゼー社をはじめとする企業への各種コミュニケーション・サービスの企画・提供、研修プログラムの開発・実施、論文や書籍の執筆サポート、取材・編集業務等を行っている。

本書の要点

  • 要点
    1
    相手に納得してもらう説明をするためには、「課題」「答え」「相手に期待する反応」が明確でなければならない。
  • 要点
    2
    話の重複・漏れ・ずれをなくし、伝え手の結論を相手に自然に理解してもらう技術を「MECE」と呼ぶ。MECEは、大きな重複や漏れ、ずれがないと思える議論の土俵を明快に示し、そこに相手を乗せ、理解を促す技術のことである。
  • 要点
    3
    伝え手の言いたい結論と根拠、結論と方法とのつながりを、相手に難なく理解してもらうには、「So What?/Why So?」の技術が重要となる。

要約

書いたり話したりする前に

相手に伝えるべきメッセージとは?

自分の主張や、自分が重要だと考えていることを相手に理解してもらうには、どうすればいいのだろうか。ここで注意したいのは、「あなたが言いたいこと」ではなく、「課題について相手に伝えるべきメッセージ」を伝えられているか、ということだ。メッセージとは、次の3つの要件を満たす必要がある。答えるべき課題が明快であり、その課題に対して必要な要素を満たした答えがあり、そして、そのコミュニケーションの後に相手に期待する反応が明白であるという3点である。

何かを相手に説明する際には、「課題」「答え」「相手に期待する反応」がセットになっているかどうかの確認を怠らないようにしたい。検討を進めるうちに、往々にして、他の課題に注意が奪われ、当初の課題とすり替わってしまうことは多い。そこで、商談や企画書作成の最初に、「自分が今、相手に答えるべき課題は何か」と自問自答するのだ。例えば「案件Aの事業化に取り組むべきか」という課題の会議ならば、相手にもその課題を認識してもらうことが第一である。

次に確認すべき点は「相手からどんな反応を引き出したいのか」である。相手から意見や助言を得たいのか、何らかの行動をとってほしいのか、というように、相手に期待する反応を明確にすることで、自らが伝えるべき内容の深さや広がりが変わってくる。

相手に自分の「答え」が伝わるようにするには?
monkeybusinessimages/iStock/Thinkstock

では、「課題」と「相手に期待する反応」を確認してやっと、「答え」の中身を考える段階に入る。課題に対する「答え」として備えるべき要素は、たったの3つだ。それは答えの核となる「結論」、結論の妥当性を説明する「根拠」、そして、結論が何らかのアクションを示す場合、どのように実行するかという「方法」である。結論・根拠・方法のいずれも、相手にとって明快で説得力があるものなのかを、伝え手が客観視することはなかなか難しい。そこで、次のポイントをチェックするとよい。

3つのチェックポイント

まず、1つ目「結論」については、「課題の答えの要約」になっているか、課題と、答えの核となる結論が整合しているかどうかを確かめたい。例えば「A社は製造小売業に参入すべきか」という課題に対し、「参入の是非を検討するには、事業の収益性と競合の動向を十分に分析する必要がある」という結論を述べるだけでは、「要するに、参入するのか、しないのか?」という「答え」が欠けてしまっている。

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要約公開日 2016.06.14
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