自分の主張や、自分が重要だと考えていることを相手に理解してもらうには、どうすればいいのだろうか。ここで注意したいのは、「あなたが言いたいこと」ではなく、「課題について相手に伝えるべきメッセージ」を伝えられているか、ということだ。メッセージとは、次の3つの要件を満たす必要がある。答えるべき課題が明快であり、その課題に対して必要な要素を満たした答えがあり、そして、そのコミュニケーションの後に相手に期待する反応が明白であるという3点である。
何かを相手に説明する際には、「課題」「答え」「相手に期待する反応」がセットになっているかどうかの確認を怠らないようにしたい。検討を進めるうちに、往々にして、他の課題に注意が奪われ、当初の課題とすり替わってしまうことは多い。そこで、商談や企画書作成の最初に、「自分が今、相手に答えるべき課題は何か」と自問自答するのだ。例えば「案件Aの事業化に取り組むべきか」という課題の会議ならば、相手にもその課題を認識してもらうことが第一である。
次に確認すべき点は「相手からどんな反応を引き出したいのか」である。相手から意見や助言を得たいのか、何らかの行動をとってほしいのか、というように、相手に期待する反応を明確にすることで、自らが伝えるべき内容の深さや広がりが変わってくる。
では、「課題」と「相手に期待する反応」を確認してやっと、「答え」の中身を考える段階に入る。課題に対する「答え」として備えるべき要素は、たったの3つだ。それは答えの核となる「結論」、結論の妥当性を説明する「根拠」、そして、結論が何らかのアクションを示す場合、どのように実行するかという「方法」である。結論・根拠・方法のいずれも、相手にとって明快で説得力があるものなのかを、伝え手が客観視することはなかなか難しい。そこで、次のポイントをチェックするとよい。
まず、1つ目「結論」については、「課題の答えの要約」になっているか、課題と、答えの核となる結論が整合しているかどうかを確かめたい。例えば「A社は製造小売業に参入すべきか」という課題に対し、「参入の是非を検討するには、事業の収益性と競合の動向を十分に分析する必要がある」という結論を述べるだけでは、「要するに、参入するのか、しないのか?」という「答え」が欠けてしまっている。
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