ヤフーの1on1

部下を成長させるコミュニケーションの技法
未読
ヤフーの1on1
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部下を成長させるコミュニケーションの技法
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ヤフーの1on1
出版社
ダイヤモンド社

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出版日
2017年03月24日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.5
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おすすめポイント

人材育成に携わる人たちの注目の的となっているヤフーの「1 on 1ミーティング(以下、1 on 1)」。毎週1回、原則30分間、上司が部下と対話するという制度であり、2012年の社長交代による新体制発足と同時に始まったものだ。この1 on 1がヤフーの活性化に大きく寄与しているのはなぜなのか。そして、ヤフー以外の会社でも1 on 1をうまく導入し、その効果を最大限享受するために、人事担当者や上司にあたる管理職は何を意識すればいいのか。

本書では、こうした秘訣が体系的に解説されており、1 on 1のNG例と成功例が描かれた漫画から、対話の勘所を押さえられるようになっている。また、実際のやりとりのスクリプトや、部下の内省を効果的に促すコツが惜しみなく紹介されているのもありがたい。

ヤフーがめざすのは、社員の才能と情熱を解き放つことで経営計画を達成し、人財開発企業になること。この目標を達成するために、部下の経験を血肉にし、成長につなげるためのコミュニケーションがいかに有用なのか、ヤフーの人事責任者でもある著者の言葉を追えば、ストンと腑に落ちることだろう。

もちろんヤフーでも何の問題もなく1 on 1が浸透していったわけではない。その効果を実感してもらい、支持者を増やすための試行錯誤も本書に克明に描かれており、それも読みどころの一つとなっている。人材の本領を発揮させ、組織を活性化させる仕組みを取り入れたいと願う人事担当者、管理職にとって、本書が学びの宝庫であることは間違いない。

ライター画像
松尾美里

著者

本間 浩輔(ほんま こうすけ)
ヤフー株式会社上級執行役員コーポレート統括本部長
1968年神奈川県生まれ。早稲田大学卒業後、野村総合研究所に入社。コンサルタントを経て、後にヤフーに買収されることになるスポーツナビ(現ワイズ・スポーツ)の創業に参画。2002年に同社がヤフー傘下入りした後は、主にヤフースポーツのプロデューサーを担当。2012年社長室ピープル・デベロップメント本部長を経て、2014年4月より現職。著書に『会社の中はジレンマだらけ 現場マネジャー「決断」のトレーニング』(中原淳・東京大学大学院准教授との共著。光文社新書)がある。

本書の要点

  • 要点
    1
    1 on 1の目的は、社員の経験学習を促進し、社員の才能と情熱を解き放つことである。
  • 要点
    2
    1 on 1は上司と部下のコミュニケーションをとるきっかけになっている。
  • 要点
    3
    1 on 1の効果を高めるには、アクティブリスニングとレコグニションで上司と部下との信頼関係を築き、コーチング、ティーチング、フィードバックを使い分けるとよい。
  • 要点
    4
    ヤフーでは、上司が1 on 1の技術を磨けるよう、1 on 1チェックやシャドーコーチング、社内コーチの養成などの工夫がなされている。

要約

1 on 1 ミーティングの基本

対話の中で上司が心がけるべきこと
BartekSzewczyk/iStock/Thinkstock

1 on 1を実施するにあたって大事なことは、部下に充分話をしてもらうことである。なぜなら1 on 1の目的は部下が自分の経験を具体的に言語化する中で深く内省し、成長に結びつけることだからだ。上司の役割はあくまで部下の学びの支援である。

上司は、自分の考えやアドバイスを先に言わずに、部下の話を最後まで聞くことが求められる。例えば部下がある社員の周囲とのコミュニケーションの問題について話している場面を想像してみたい。会話の途中で部下が、「(その社員は)一緒に働く周囲のメンバーとぶつかりがちで、ときどき険悪な雰囲気になることがあるんです」と発したとしよう。こんな場面では、上司は「まわりとの協調がうまくできていない……?」などと、自分の主観を加えずにニュートラルな言い換えを使うとよい。これをきっかけに、意味合いが違っていれば部下は言葉を修正するし、さらに掘り下げて問題の本質を探れるようになっていく。

その後、対話を進める中で問題の本質が明らかになっても、上司は次にとるべきアクションを先に提示してはいけない。部下自らが対処法を思いついて、上司に宣言し、実際にそれを行動に移す。こうしたプロセスを経ることで、1 on 1は部下にとって貴重な成長機会となる。

ヤフーが1 on 1に取り組む理由と、その効果

経験学習を促す

1 on 1の目的は次の2つである。1つ目は社員の経験学習を促進することだ。経験学習とは、職場での経験を学びに転換して、次の仕事経験に活かしていくという考え方を指す。経験学習をうまく機能させるには、経験を学習に換える振り返り、すなわち1 on 1が欠かせない。

ヤフーが採用している経験学習サイクルは、「具体的経験→内省(振り返る)→教訓を引き出す(持論化、概念化)→新しい状況への適用(持論・教訓を活かす)」というプロセスから成る。

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要約公開日 2017.08.07
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