グーグルに学ぶディープラーニング

人工知能ブームの牽引役、その仕組みをやさしく解説
未読
グーグルに学ぶディープラーニング
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人工知能ブームの牽引役、その仕組みをやさしく解説
未読
グーグルに学ぶディープラーニング
出版社
出版日
2017年01月30日
評点
総合
4.2
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.5
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おすすめポイント

10年ほど前、IBMの人工知能がチェスの世界チャンピオンを破り、大きなニュースになった。現在はグーグルが「ディープラーニング」と呼ばれる人工知能の技術を用いて、囲碁のトップ棋士を負かしたり、自動運転車を走らせたりしている。こうした成果はテレビのニュースや新聞などでも盛んに報道され、人工知能が雇用を奪う可能性まで真剣に議論されている。しかし、ディープラーニングが人工知能や機械学習においてどのように位置づけられる技術なのか、どのくらいの人が説明できるだろうか。

本書はこうした基本的かつ本質的な問いに対し、グーグルで人工知能やディープラーニングの先端に携わっている技術者が、きわめて平易に答えた書である。一読すれば、日進月歩の技術領域において、その全体像を示してくれる稀少な一冊だと気づくだろう。

本書のもうひとつの魅力は、ディープラーニングをはじめとする人工知能の活用に向けた日本企業の取り組み事例が豊富に記されていることである。活用の手法は、画像認識や音声認識、取引履歴の解析など実にさまざまで、読者は自らの業務に役立つアイデアを得られるのではないだろうか。

近い将来、人工知能の技術は、確実に人々の生活を変えていく。その時、私たちが属する組織はどのようなサービスを提供し、どのような課題を解決していくのか。「チェス」から「囲碁」までの快挙達成の期間がわずか10年ほどだったことを考えれば、今、本書を手に取って思索を巡らせることは、決して時期尚早ではないだろう。

ライター画像
ヨコヤマノボル

著者

「データ活用で成長戦略を描く」企業のための専門誌。
ビッグデータ×人工知能×IoT(Internet of Things)の活用事例を中心に取材し、定期購読者向けのWebサイトと月刊誌とで情報発信する。

本書の要点

  • 要点
    1
    ディープラーニングは機械学習の一種であり、人間の脳の神経構造を模した仕組みを有している。最大の特徴は、大量のデータがあれば、画像認識や機械翻訳といった複雑な処理の機能を、人間が処理方法を与えることなく、比較的簡単な手法で構築できるところにある。
  • 要点
    2
    グーグルは家庭のAIコンシェルジュ「Google Home」や、画像や動画を保存する「Googleフォト」などのさまざまなサービスにディープラーニングを取り入れている。

要約

ディープラーニングがすべてのビジネスを変える

AIファーストを打ち出したグーグル
solarseven/iStock/Thinkstock

本書は、人工知能、とりわけディープラーニングが今後どのようにビジネスで活用され、世の中を変えていくのかという疑問に対し、グーグルの技術者が解説した書である。人工知能はこれまでも、囲碁でトップ級のプロ棋士に勝ち、クイズのチャンピオンにも勝利するなど、特定領域で大きな成果を収めてきた。しかし最近、その活用領域は実世界へと急速に広まりつつある。グーグルは「AI(人工知能)ファースト」という経営方針を打ち出し、トヨタやソニーなどの国内企業、そして政府も人工知能の研究開発に注力する姿勢を示している。

こうした動きの背景には、ビッグデータの存在がある。あらゆる機器をインターネットに接続して稼動データなどを収集するIoT(インターネット・オブ・シングス)の浸透によって、実世界のデータ化、デジタル化が進みつつある。その結果、インターネット上のサービスを主な活躍の領域としていた人工知能の影響力は、製造業、流通業、医療、教育、人事などあらゆる業界に及んでいくだろう。

ディープラーニングとは何か?

ディープラーニングと呼ばれる技術は、プロ棋士を負かしたプログラムや、画像認識などに用いられている。しかしそれが何であるか、また人工知能や機械学習とはどう違うのか、説明できるだろうか。

グーグルの賀沢秀人氏によると、ディープラーニング技術は機械学習の一部であり、機械学習やディープラーニングは人工知能を実現するための手法だという。さらに同氏は、コンピューターの計算力が大幅に向上し、インターネットなどを介した大量のデータ収集により、ディープラーニングがこの数年で実用レベルに達してきたことにも触れている。

ディープラーニングの仕組みと特徴

コンピューターを用いて、ある入力から特定の出力を得る計算プロセスは「モデル」と呼ばれる。ディープラーニングは、特定領域では人を上回る能力を発揮することもある。もちろん、人間があらかじめ囲碁で最適な一手を選択するモデルや、画像認識を行うモデルなどを提供しているわけではない。コンピューターが大量のデータから、自ら答えを導きだすモデルを作り出しているのである。

ディープラーニングは、人間の脳の神経構造を模した人工知能「ニューラルネットワーク」を発展させたものだ。その特徴はとても単純なところにある、とグーグルの賀沢氏は語る。それは画像やテキストなどの大量のデータがあれば、画像認識や機械翻訳といった複雑な処理をする人工知能を、比較的簡単な手法で構築できるためであるという。

【必読ポイント!】 ディープラーニングの活用事例

グーグルにおける活用事例
scyther5/iStock/Thinkstock

グーグルは、すでに多くのサービスでディープラーニングを活用している。例えば「Gmail」では迷惑メールを判別するために、ディープラーニングが用いられている。また、「Google翻訳」でも翻訳品質の向上に大きく寄与した。さらに、同社のデータセンターでは、ディープラーニングを活用して冷却設備の設定を最適化した結果、電力消費量を大幅に削減できたという。

そのほかの活用事例として、家庭のAIコンシェルジュ、「Google Home」という機器も米国で市販され始めている。

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要約公開日 2017.06.12
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