日本人は「持ち帰って検討」することが多いと言われている。本来なら一回で終わるところを「持ち帰る」のは、ずるずると仕事が終わらない大きな理由のひとつだろう。
グーグルでは、社内の誰かに質問すべき場面があれば、客席からでも直接チャットで担当者に質問して、回答をもらうのが一般的だ。そうすれば、帰ってから確認後にまた顧客にメールをするという手間をかけずに、仕事をスムーズに終えられる。
また、仕事を速く進めたいなら、「結論を出す」ことに期限をつけることだ。「一回で終わらせる」「今この瞬間に終わらせる」「お尻を決めてそこまでに集中して仕事をする」。こうした意識を持って働くと、その時間に得られる結果の密度も高くなり、仕事も速くなっていく。
グーグルであまり使われていないツールは、意外なことにメールである。仕事でメールが欠かせないと思われがちだが、メールの処理に追われて仕事が捗らない経験を持つ人も多いだろう。また、メールのやりとりではうまく意思疎通ができず、かえって仕事が遅くなることもある。電話をするか直接会って話をする方が何倍も速い。
メールのコミュニケーションでは、文章をまとめる手間がかかるうえに、一回のやりとりで解決しない場合は何日もかけてバラバラに作業をするという、非常に非効率な面がある。一方、オンラインチャットを使えば、メンバー全員がオンライン上で対話をしながら意見を出し、その場で一気に結論を出せる。物理的な距離も障害にならない。
今ならLINEなどのアプリも仕事上の重要なコミュニケーションツールだ。リアルタイムでコミュニケーションを取り、その場で全部解決するというスピード感が、10倍の成果を出すうえで、大きな違いを生む。
よそ見をせず「今この瞬間」に集中すれば、最大のパフォーマンスを発揮できる。日常生活で、ムダな時間はたくさんある。たとえば、スティーブ・ジョブズは常に同じような服装でプレゼンをしていたが、それは洋服選びに時間をかけず、本当に大事だと思っていることにのみ、頭のリソースを使いたいためだろう。
グーグルでは、「よそ見をしない仕組み」を数多く取り入れている。その具体例として、ランチの店探しの手間を省いてくれる無料のビュッフェ式カフェテリアや、リラクゼーションルームが挙げられる。これらは単なる福利厚生ではなく、社員が仕事以外のことを考えずに済むようにするためだ。
仕事の生産性を上げたいのならば、仕事の環境にこだわりを持つとよい。自分が心地よい高さに調整できるスタンディングデスクを使ったり、モチベーションが高まるような物をデスクに置いたり、必要なツールを手の届くところにまとめたりするなど、環境に気を配ることが最大の成果につながる。
会社のルールによって、外で仕事をするのが禁止されていたとしても、少し散歩に行くとか、椅子が合わなければクッションを使ってみるとか、できることがあるはずだ。
日本ではロジカルシンキングの本が流行っているうえに、分析が好きな人が多い。しかし、そもそも何のための分析なのかが明確になっていないと、無意味だと言ってよい。自社や競合商品の売上データなどをもとに、どれだけ精緻に売上の数字を分析しても、売上は上げられない。売上を上げるのは自社独自の商品やサービスで、そのもとになるのはロジックではなく思いつきやひらめきだからだ。数字やデータは「過去」を教えてくれたとしても、「未来」を生み出しはしない。
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