STRONGER「超一流のメンタル」を手に入れる

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おすすめポイント

レジリエンスとは、困難な状況にぶつかった時や、挫折をした時に、そこから立ち直る力である。高い能力や技術を備えていても、結果を出せる人と出せない人とに分かれるのは、レジリエンスが大きく影響している。

本書は、アメリカ海軍のネイビーシールズの調査をもとに、レジリエンスの高い人間の特徴と、それを身につけるための具体的な方法をわかりやすく示した一冊だ。レジリエンスを構成する主な5つの要素、すなわち、「能動的な楽観主義」「決断力と行動力」「道徳的な指針」「粘り強さ」「周囲のサポート」を挙げ、それぞれを各章で詳しく取り上げている。アップル社のスティーヴ・ジョブズ、イギリスの首相ウィンストン・チャーチル、大リーガーのカル・リプケン・ジュニア。こうした著名人の例を用いて、彼らがぶつかった困難やその時の決断、行動の背景にあった考え方などを解説しているのも、本書の魅力の一つだ。心打たれるエピソードも数多く、こちらも必読の内容といえる。

著者によると、レジリエンスは、年齢を問わず、小さな成功体験を積み重ねていくことで高められるという。また、各章の冒頭には、読者自身がレジリエンスの主な要素をどれだけ習得しているかどうかを診断できるように、「自己分析テスト」が掲載されている。心が折れそうな経験から自分を守りたいと考える方や、職場のメンタルヘルスの問題を解決に導きたいと考える方にとって、非常に示唆に富んだ一冊であることは間違いない。

ライター画像
河原レイカ

著者

ジョージ・S・エヴァリーJr. 博士(George S.EvelryJr.,Ph.D)
現代のストレスマネジメントと災害時メンタルヘルスの生みの親の1人。ジョンズ・ホプキンス大学医学部准教授で、精神医学と行動科学を教える。また、メリーランド州のロヨラ大学心理学部教授、UMBCトレーニング・センターでレジリエンス部門のエグゼクティブ・ディレクターを務める。さらに、ジョンズ・ホプキンス大学公衆衛生準備プログラムと国際保健学部でも教鞭を執る。連邦緊急事態管理庁、FBIアカデミー、アルコール・タバコ・火器及び爆発物取締局、連邦航空保安局でコンサルタントを歴任。クウェート首長府でシニア・リサーチ・アドバイザーを務めたこともある。

ダグラス・A・ストラウス 博士(Douglas A. Strouse, Ph.D.)
国際経営コンサルティング会社のウェクスリー・コンサルティング人材開発社パートナー。クライアントには、デュラセル、オールズモビル、ユナイテッド航空、フリトレー、GE、ゼネラルモーターズ、グッドイヤーなどが名を連ねる。データ管理会社のグローバル・データ・ソース創設者でもある。中小企業経営者に教育の場を提供するNPO、CEOクラブ創設者兼理事長。フィリピン、ドバイ、ギリシャにもCEOクラブの支部をつくる。
ジョンズ・ホプキンス大学精神医学部諮問会議メンバー。

デニス・K・マコーマック博士(Dennis K. McCormack, Ph.D.)
ネイビーシールズ創設時の隊員。ベトナムにおけるシールズの戦闘ドクトリンと戦術の開発に携わる。数学で学士号、カウンセリングで修士号、リーダーシップ学、人間行動学、職業心理学で博士号を取得。国防総省(陸軍)で心理学アドバイザーを務める。ジョージア州フォートスチュアートのウィン陸軍コミュニティ病院でチーフを務め、仕事ぶりを評価されて公式に表彰されたこともある。

本書の要点

  • 要点
    1
    レジリエンスとは、逆境から立ち直るだけでなく、それを糧に成功を手にする力を指す。
  • 要点
    2
    レジリエンスは5つの核となる要素から成る。それは「能動的な楽観主義」、「決断力と行動力」、「道徳的な指針」、「粘り強さ」、「周囲のサポート」である。
  • 要点
    3
    道徳的な指針に従って行動できるようになるには、「正直さ」「高潔さ」「誠実さ」「倫理的な態度」の4つを意識するとよい。

要約

【必読ポイント!】 成功者に共通する、超一流のメンタル「レジリエンス」

レジリエンスの5つの核となる要素

アスリート、アーティスト、ビジネスパーソン。どの分野においても、特別な才能を持っているのに、思ったように成果を上げていない人がいる。一方で、ストレスやプレッシャーを糧にして、成功する人もいる。両者を分けるものは、超一流のメンタル、つまり「レジリエンス」だ。レジリエンスとは、心が折れそうな体験から立ち直り、以前よりさらに大きな成功や幸せをつかむ力を指している。著者は、レジリエンスを「心のボディアーマー(防護服)」と呼ぶ。

レジリエンスには、5つの核となる要素がある。それは、「能動的な楽観主義」「決断力と行動力」「道徳的な指針」「粘り強さ」「周囲のサポート」だ。

能動的な楽観主義を手に入れる4つの方法
greenaperture/iStock/Thinkstock

まず、1つ目の要素「能動的な楽観主義」について紹介する。楽観主義は、物事の良い面を見る態度だが、「受動的」「能動的」の2種類がある。前者の人は、物事が良くなることを願うだけで、物事を他人や成り行きに任せている。つまり、自分の力で状況をコントロールできるとは考えていない。これに対し、後者の人は自分の力で状況を改善できると信じており、自ら変化を起こすという強固な決意を抱いている。

著者は、能動的な楽観主義を身につける方法として、成功体験を積み重ねる、すでに成功している人を観察する、周囲のサポートや励ましを活用する、自制心を身につけるという4つの方法を挙げている。これらの方法を実践して、自分を「成功体質」にプログラムしていくことが重要だ。

ポイントは、最初から難しすぎる挑戦をするのではなく、小さな成功体験を確実に積み上げていくことである。自分の手には負えないと感じたら、周囲に助けを求めることや、リハーサルを重ねること、成功する自分をイメージすることも、能動的な楽観主義の土台となってくれるだろう。

決断力と行動力を手に入れる

決断力は、逆境の中でも成長をもたらす
Bet_Noire/iStock/Thinkstock

レジリエンスの核となる2つ目の要素「決断力と行動力」を高めれば、逆境から立ち直るだけでなく、逆境のなかでも成長できる。

決断力の重要性を示す具体例として、ウィンストン・チャーチルを挙げよう。ヒトラー率いるドイツ軍は1940年、イギリス、フランス、ベルギーの連合軍をフランス北部で孤立させた。この時、イギリス首相だったチャーチルは、フランス北部のダンケルクにいた自国の軍を撤退させる決断をし、その際に負傷兵を最後に撤退させるようにという命令を下した。常識的に考えると、負傷兵を一番先に撤退させるところだが、チャーチルの狙いは、健康で戦える兵士を先に帰還させることにあった。結果として30万人の兵士を帰還させ、別の戦闘に参加させることができた。こうして、大胆な決断により、事態の悪影響を最小限にとどめられたのだ。

アップル創業者のスティーヴ・ジョブズは1985年に自分が設立した会社を解雇された。しかし、これを機に、アップル社がまだ手がけていなかったデジタル映画の分野に進出し、成功を収めた。ジョブズは、あるスピーチの中でこう語る。「成功者という重荷がなくなり、挑戦者という身軽な立場に戻れた。解雇のおかけで、人生でもっとも創造的な時期を迎えることができた」。決断力と行動力こそが、逆境を新しい創造のチャンスに変えるのだ。

決断力と行動力を妨げる7つの壁

著者は、「決断力と行動力」を妨げる7つの壁の一部として、次のようなものを挙げている。失敗が怖くて動けなくなる、人と違うことをしてバカにされるのが怖い、先延ばしの癖があり、行動を起こすまでに時間がかかる、挑戦の大きさに圧倒され、必要な情報とそうでない情報を瞬時に見分けることができない、長期の目標を見失い、代わりにその場だけいい気分にはなれるが、根本の問題を解決しないような行動を優先する、などである。

「失敗が怖くて動けなくなる」という壁について、著者は、「手に入れる価値があるものは、挑戦して失敗する価値もある」というシンプルな言葉を思い出すだけで、打破しやすくなると述べている。

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要約公開日 2017.06.22
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