論理思考、それはMBAの全体像において根底に位置する存在である。どれだけ素晴らしい知識やノウハウを手に入れても、論理思考力がなければ全くの無駄になってしまう。
また、コミュニケーションで重要な説得力も、論理思考力の一部である。論理思考力は意思決定能力と並び、ビジネスの生産性を向上させるうえで必須の要素といえる。
自分の意見に説得力を持たせるには、論点を把握しずれを防ぐ必要がある。論点にずれが生じるのは、「過剰」と「混同」が原因であることが多い。強く関心を寄せる事を過剰に考えたり、定義や前提へ過剰に執着したり、一般論と個別論を混同したりすると、論点はずれていってしまう。
論点のずれは、様々な無駄を生み出す。たとえば、本来の目的から脱線した会議を進めたばかりに決定事項が先送りされてしまうと、このうえないほどの機会損失が生じる。論点のずれを防ぐためにも、「何を考えるべきか」を最優先に考え、把握しておくことが重要だ。
「何を考えるべきか」という論点を把握したら、次は主張の根拠が必要だ。ひとつの主張における根拠の数は3か4つにするべきだ。それが説得力を高めるうえで適切な数字だからである。
加えて、説得力を高めるにはしっかりとした論理構造も必要だ。論理構造を組み立てるための考え方として、「ピラミッド構造」というものがある。頂点にメインとなる主張、その下に主張を支える3つ程度の根拠、さらにその下に根拠を支えるための根拠をつくる。その際、主張を支える根拠に高い納得感をもたせることが、ピラミッド構造を組み立てるうえで最も重要である。
客観的な視点で物事を考えることのメリットは計り知れない。にもかかわらず、人は物事を考える際、自分が置かれている状況を蔑ろにしてしまいがちである。一歩距離を置き、まるでもう一人の自分が自分自身を冷静に眺めているようなイメージ、つまりメタレベルで物事を見ることが大切だ。
客観的に自分を見ることで得られるメリット、そのひとつは思考の生産性向上である。客観的な視点をもつことで、正しい順番通りにステップを踏んでいるか、ステップを飛ばしていないかどうかが確認しやすくする。
また、自分を客観視できるということは、自分に必要な能力を高める方法がわかるということでもある。「自分をよく理解する」ことが、スムーズなスキルアップにつながる。
一見、不動の地位を築いている大企業でも、経営を一歩誤れば市場から消滅してしまう可能性は十分にある。ベンチャー企業であれば尚更だ。特にIT、グローバル化の影響により、戦う舞台は世界に移されつつある。急激に変化するスピードに対応しなければならないことはもちろん、これまでとは次元の違う争いを強いられている。
これを切り抜ける糸口になるのが、正しい戦略だ。
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