考える力がつく本の表紙

考える力がつく本

本、新聞、ネットの読み方、情報整理の「超」入門


本書の要点

  • 考える力をつけるためには、アウトプットを意識した大量のインプットが必要である。

  • 情報源はストックとフローを使い分ける。特にストックは不足しがちなので意識して触れるようにする。

  • 相手から話を引き出すときは、直接聞くのではなく、仮説をぶつけてみて反応を観察する。

  • リアル書店の本棚こそ、その分野の全体を把握するために最適である。

  • あるジャンルを勉強しようと思ったとき、まずは2~3冊の定本を見つけて読み込むべきである。

1 / 4

考える力をつけるためには

何はともあれインプットを増やす

Kim Carson/DigitalVision/Thinkstock

そもそも「考える」とは、自分の中にある情報(インプット)をもとに、自分なりの結論(アウトプット)を導き出す作業だ。質の高いアウトプットをするためには、まずはインプットが不可欠である。しかしやみくもにインプットを増やせばいいというものでもない。ショーペンハウエルは『読書について』という著作で、「読書とは他人にものを考えてもらうことである」と述べている。本を読むということは、あくまで他人の考えた過程を反復的にたどるに過ぎない。本を読んで賢くなったつもりになっていても、それは自分でモノを考える力がついたのとは違うというわけだ。本を読むのは、ザルで水を汲むのに似ているのかもしれない。読んだ後はわかった気になるけれど、すぐに水(知識)はザルの網目からこぼれてしまう。つまり忘れてしまう。大量に読んだり、熟慮を重ねて何回も読んだりすることによって、少しずつ水がたまっていく。読書とはそのようなものなのかもしれない。

効率的に知識を身につけるためには

はじめてインプットがスムースになったと感じたのは、NHKの「週刊こどもニュース」を担当してからだった。記者時代も記事を書いてアウトプットはしていたが、その時代はとにかく取材していたものを記事にしていただけだった。しかし、「週刊こどもニュース」では、小学校高学年の子供たちにもニュースをわかってもらわなくてはならない。そのための伝え方を考えるうち、さまざまなことを調べてインプットせざるを得なくなった。アウトプットはインプットの力を引き出す。知識が身についたかなと思ったときは、アウトプットをして確認することが大切である。わかりやすいたとえ話も、アウトプットを意識するからこそ、全体像をきちんと把握して情報の適切な取捨選択を行うからこそできる技術である。

2 / 4

新聞の読み方

考える力をつける、情報源の使い分け方

インプットをしようと思っても、テレビ、ラジオ、新聞、ネット、本と多種多様だ。私たちは普段の生活の中で、知らず知らずのうちにフローの情報を追っている。しかし考える力をつける上では、ストックの情報を活用することが重要だ。「フロー」というのは文字通り、流れていくもの。テレビやネットで見るニュースや新聞など、日々新たに伝えられ、すぐに消えていく情報だ。一方、「ストック」とは、本や辞典のように保存されて、いつでも見ようと思えば確認できるものだ。考える力をつけようとするならば、毎日のフロー情報の中から「わからない」を見つけることだ。それからわからない部分をストック情報に当たる。基礎知識がない場合には、まずはストックの情報をインプットすることが良い。するとフローの情報の見え方にも奥行きが出てくるのである。

新聞の読み方

Top Photo Corporation/Top Photo Group/Thinkstock

新聞の情報量を具体的に示すと、朝刊は文字にして20万字。これは新書2冊分に相当する。新聞を毎日読み続けていれば、知らずしらずのうちに膨大な情報量に接することになるのである。新聞の魅力は何かを問われたら、著者は「ノイズ」と答えるという。

もっと見る
この続きを見るには...
残り415/4112文字

4,000冊以上の要約が楽しめる

要約公開日 2017.05.22
Copyright © 2025 Flier Inc. All rights reserved.

一緒に読まれている要約

成功への選択
成功への選択
青木仁志
気づかれずに主導権をにぎる技術
気づかれずに主導権をにぎる技術
ロミオ・ロドリゲスJr.
1分で頭の中を片づける技術
1分で頭の中を片づける技術
鈴木進介
仕事がツライときの感情の整理法
仕事がツライときの感情の整理法
和田秀樹
記憶力を鍛える方法
記憶力を鍛える方法
加藤俊徳
大前研一ビジネスジャーナル No.12
大前研一ビジネスジャーナル No.12
大前研一(監修)good.book編集部(編)
考える力をつける本
考える力をつける本
畑村洋太郎
世界一速く結果を出す人は、なぜ、メールを使わないのか
世界一速く結果を出す人は、なぜ、メールを使わないのか
ピョートル・フェリークス・グジバチ

同じカテゴリーの要約

生成AI最速仕事術
生成AI最速仕事術
たてばやし淳
悩まず、いい選択ができる人の頭の使い方
悩まず、いい選択ができる人の頭の使い方
小川仁志
本質をつかむ
本質をつかむ
羽田康祐 k_bird
無料
なぜ、あの人との会話は嚙み合わないのか
なぜ、あの人との会話は嚙み合わないのか
米澤創一
年収UP・起業・自己実現できる! 副業の教科書
年収UP・起業・自己実現できる! 副業の教科書
大林尚朝
頭のいい人が話す前に考えていること
頭のいい人が話す前に考えていること
安達裕哉
これからのキャリア開拓
これからのキャリア開拓
田中研之輔山口裕二野澤友宏
努力の地図
努力の地図
荒木博行
すごいフィードバック~心が動き、行動が変わる!
すごいフィードバック~心が動き、行動が変わる!
戸田久実
無料
「やりたいこと」が全部できる! 自分の時間
「やりたいこと」が全部できる! 自分の時間
尾石晴